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私達の想い(英語詩)

 もう二度と戻れない

 私達は一つの人間になるの


 私だけのものにしたい

 そう呟いても返事をしない幼い子供


 ≪うちだけの体なの。夕月は消えるんよ≫


 彼女はそう呟きながら

 私を支配しようと企む


 ≪あたしは……≫


 生きていきたい

 続きの言葉を伝えたいけれど

 飲み込んでしまう言葉


 ≪夕月は癒智の一部になるの≫


 人形から人間へと憧れる彼女の瞳は

 希望の瞳


 ≪そんなの許されない事なのに……≫


 何度説得しても聞いてくれない

 彼女にとって私の存在は無


 ≪うちの体。うちのもの。夕月の身体、冷たい身体≫


 奪われた体は戻らない

 私の体はもう……


 「夕月」

 『癒智』

 「起きて」

 『戻りなさい』


 私達の耳を刺激するのは別々の音色

 二人の男性の声が聞こえる

 ≪あ、慶ちゃん……じゃなかった『雄介』の声だ≫

 癒智は無邪気に笑う。

 ≪あ、雪の声だ。悲しそうな声……≫

 

 夕月は悲しそうに呟く。



 満月の中で入れ替わる私達

 体は一つ

 心は二つ


 ≪起きなきゃ。伝えなきゃ≫


 ≪起きたくない。このまま眠りたい≫


 私達の心は正反対

 感情も

 そして……願いも


 光が見える。あれは太陽の光。夕月は癒智の体へと還る。

 そして癒智は夕月の身体を喰らう。

 まるで狼。



 幕開けと終焉は隣り合わせ

 オリジナルの人間なんて

 もう私達の間には存在しない


 ≪≪起きるしかないんだよね…≫≫


 違う意味の溜息をお互い吐きあいながら。

 絵具のように混ざり合う私達の姿。

 私は心の中で呟く。


 ≪お願い……あたしの体を元に戻して、返して≫


 




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