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チルドレン(癒智)

 自分が何故この人といるのか思い出せない。毎日が新しい始まりなの。過去なんてうちにはないから。何が過去で何が未来なのか分からない。うちにも「きょうだい」とかいるんやろか。いたらきっと楽しいと思うけど、現状のうちを見たら、どんな偏見をされるんやろか。


 「えーっと啓介さん?」

 「癒智、啓ちゃんでいいよ?」

 「でも初対面ですし」

 「今の癒智とはね、でも昨日の癒智を知っているよ?君からしたら初対面でも俺からしたら同居人なのだから」

 「置いてもらっている事は感謝します」

 「ああ、そんな謙遜しないで」

 「はい」


 なんやろうか、この人は。昨日のうちを知っている?そんな事を今のうちに言う事なんか?それに優しそうに見えて、この人本当は笑っていない。うちには分かる。この人はキケン。そう思っとるのに、何故かここを出て行く気にならんのは何でや?


 ≪それはね昨日の『うち』が知っている事実。記憶だけじゃない『性格』も毎日別人になる≫


 昨日の癒智が微笑む。けいちゃんは優しいよ、うちに似てて、だから今の『癒智』も気に入ると思う。毎日移り変わる『癒智』三桁にも超える『癒智』が重なり合いながら、闇になる。


 「「癒智は最高傑作。覚醒は近い。その引き金は啓ちゃんが導いてくれる」」

 (なんなんこれ……)


 うちが話している訳じゃないのに声が聞こえる。そんなうちの変化に気付いたように啓介がニヤリと微笑んだ気がした。まるで『悪魔』の微笑みのようで、背筋がゾクリとした。悪寒は巡りに巡って、脳内を駆け巡り痺れを誘い出す。脳のリミットが外れる時は近い。光の「癒智」と闇の「癒智」がリアルの「癒智」を浸食していく。


 (ああああああああああああああああああああああああああ)


 うちは誰やっけ?ここは何処?分からない……。


 深夜0時を回るとリセットされて違う『癒智』になる。脳がマグマで溶けているように、癒智自身の存在も溶けて、混ざる。そして、未来の癒智が完全になれば、後は夕月のデーターを打ち込むだけ。夕月を壊す必要がある。


 「あの……」

 「おはよう癒智」

 「癒智?」

 「君の名前さ」

 「え…貴方は?」


 そう聞かれて、今回はどんな役柄を演じようかと妄想に更け、楽しむ自分がいる。でもね、今回は自分の事を語るつもりなんてなかったのに、つい口を滑らした。


 「君の創造者おやだよ?」


 こんな事言うつもりなかったけど、気が変わったのさ。計画の中にも刺激と喜びを入れないと、楽しくないだろう?僕は……あはは。


 ここは『骨の瓦礫』の創造者おやとして言おうか。私は見てみたいのだよ。自分の創り上げてきた傑作品がどこまで耐えれるのか。壊れても、また修復すればいいだけ。


 あははははは。


 私の心が狂喜する。やっと壊命シナリオを塗り替えれると。所詮『あれ』は過去の産物。今は私が骨の瓦礫シナリオなのだ。


 「おとうさん?」

 「そうだよ、君の創造者おとうさんだよ?」


 違う意味だけどね。

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