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チルドレン(ミオ)

 いつもいつも私は『ミカサ』のお守り。周りはそう勘違いしているけど、真実は逆なのに、誰も気付かないのが現実。私の方がミカサよりも劣っている。ミカサは一番『チルドレン』の中で有能で立ち回りが上手。それに比べ私は…何なの?不安が押し寄せて、暗闇が私を支配し『亡骸』にしようとする。私は、まだ壊れたくない、まだ生きていたい。ミカサは私達の事を『人間』とは呼べないと言うけど、私は違うと思う…思いたい。


 「ミオは危ないね。遊離や圭人…そして裏の人に付け込まれるよ。そうなったら助けれないから」

 「…貴女は強いね、ミカサ…」

 「強くなんかないよ。自分の役割をこなしているだけ。ミオは人間みたいな感情を持っているね」

 「私は人間だよ?」


 私のその一言でミカサが呆れたように溜息を吐く。そして話の続きを始める。


 「沢山の人達の命を奪って成り立つのが『人間』な訳?」

 「私達が望んだ事ではないよ。あの人達が勝手にした事」

 「それでも…あたし達はその犠牲者のお陰で産まれてきた。事実だよ」

 「……ミカサ」

 「もう取り込まれているのかもしれないね」

 「え?」

 「ミオ、貴女がだよ」

 「私は、ミカサの言う通りに…」

 「あたしを言い訳にして、自分は隠れてる。卑怯だよね」

 「そんな」

 「もう話す事はないよ。好きなようにして『おねえちゃん』」

 「ミカ……」


 そう言葉を吐くだけ淡々と吐いて、私の前から姿を消した。ミカサが何故怒っているのか、私には理解出来ない。だって、私は生きている事の素晴らしさを知ってしまったから、もう後戻りは出来ないと思うの。これは『生きる執着』私の身体は出来合いのものなのかもしれないけど、心は私のものだから。


 例えミカサでも、それを否定する事は出来ないと思うの。それは私の甘えなのかもしれないし、現実から逃げる口実なのかもしれない。人の為に生きる…そして私達『チルドレン』は消える。

じゃあ、私は何の為に創られたの?産まれてきたの?ミカサにはない『心』を持ってしまった『ミオ』はどうしたらいいの?これが人間の心?綺麗に見えていたものが一瞬にして真っ暗闇になる。これが人間の闇?あんなに美しく感じていたものが、急に色あせて見える。これが人間の悲しみ?誰も教えてくれない感情が私を縛りながら、どんどん苦しめていく。今まで傍にいた『ミカサ』は私を捨て『癒智』を取り戻しに向かったのかもしれない。私の方がミカサの傍にいたのに、支えてきたのに、どうしてあの子なんかに…。


 「あっ……」


 このドロドロした感情、これがもしかして


 「嫉妬?」



 

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