戯れ
今までと変わってしまった私を見兼ねて、同僚から飲みに誘われた。同僚と言っても形だけの存在であって、実際は私の方が有能なのだが、昔のよしみもあり、その関係のまま留まらせている。
『あんた最近変じゃない?何を考えてるのか分かんないけど‥』
そう問いかけてくると、すぐさま煙草を点ける。私が煙草嫌いなのを知ってるはずなのだが、お構いなしだ。一種の嫌がらせ、嫌味にも取れる、その行動は人としてのマナーの欠如さえも感じる。
「‥煙草はやめろ」
『なんですか?よく聞こえませんけど?』
私は小さな溜め息を吐くと、一言もういいと呟き、会話をシャットダウンする。これだから人間関係は面倒なのだ。得にこいつとの関わりは‥。
『気分転換した方がいいんじゃない?こういう時は酒でしょ?』
「‥好きにしろ」
ここで反論すれば、こいつのマシンガントークが降ってくる。それが一番面倒くさい。そう思った私は無言で深い溜め息を吐いた。
『よし。じゃ行きましょ。仕事終わったらrimするから』
「‥‥」
スマホなんて興味がなく、ガラケー使いだったのに、こいつが煩いからスマホに変えた。
その時に横からしゃしゃり出てくるこいつにスマホを取られ、通話アプリのrimをダウンロードされてから異常な絡みで、嫌になってきている。嫌なら消せばいいだけだが、同僚であり、幼馴染みであるこいつには逆らえない理由があるからダルい。横目ではしゃぐこいつを睨むと、過去へとタイムスリップしてゆく。過去と現在を行き来する思考。今でも忘れられないあの光景。私は目頭に熱いものを感じ、ふいに目を瞑った。