タネ明かし
自分のものにしたかった
欲しくて欲しくて仕方なかった
それは本当の自分の気持ちだったのだろうか?
自問自答しても、何も答えは返ってこない
まるで誰かに、操られているみたいだ……
操りたくて操っている訳じゃないから。そう呟く御笠は、言葉とは裏腹ににっこりと微笑みながら、圭人を見つめている。
「……」
何も答えるつもりもない、自分の罪でもあり、過ちでもあるのだから、否定も出来ないし、肯定も出来ないのが本音。
見たくない、直視したくない現実から逃れるように、グッと力強く瞼を閉じると、見えてくるのは、今まで自分が行ってきた『残酷』な行為そのもの達。
『今までの自分のしたことを見つめなおして、言いたい事ある?圭人』
「……」
『何も言わないと分からないんだけど……。これだから人間はめんどう』
「……得にない」
『へーそうなんだー。ミカサも可哀そうだよね、最も一番、哀れなのは圭人、あんだだけどねー』
御笠と名乗る、ミカサに生き写しの少女の言葉を聞きながら、ふと違和感を覚えたのは言うまでもない。言葉使いはミカサとは全然違う、別人のようだが、全てを知っているんだと主張している部分と並んで、雰囲気が一致している気がするのだ。
「きみは……」
もしかしてと、不安になりながらも、続きの言葉を語ろうとすると、御笠は邪魔するように、言葉を遮り、少しずつタネ明かしをしていく。
『やっと気づいた?あたしと『ミカサ』は同一人物だよ、気付くでしょ、普通。ほんと、ワロタわ』
まるで人間そのものの行動と言葉、そして感情を表に出す彼女が『ミカサ』なのか?あの子は創られた人間。元人形で、チルドレンの一人でしかない。人間ではないのに、どうして、このような異変が起きているのだろうか……。
「何がどうなって……」
驚きを通り越して、軽くパニックになっている。こんな自分を感じてしまうと、完璧な人間なんて、何処にもいないのだと実感するしか知らない。
『あたし『ミカサ』は人間の『御笠』と言うのよ。貴方達の部下が私の身を守って、記憶を入れ替えてくれたの。この時が来るまで、あたしは人形の『ミカサ』として、生きるように』
彼女から聞かされる言葉は、夢の中で聴いているような感覚で、微睡んでいく。グニャリと歪んでいく、世界が、日常が、そして、私の心が、弾け飛んだ気がした。