入れ替わりと再生
誰かの声が聞こえた気がした
入れ替わった体は再生を繰り返し
失った手足を取り戻していく
他人のパーツを千切りながら
この体の一部へと……
うちと夕月は、夢の中で色々な情報を交換し合う事が出来る。嘘みたいな本当の話。うちは、けーちゃんに聞いたんよね。うちは、ある人を元に作られた、オリジナルと呟かれてる『ゆち』と言うシンガーソングライターを元に作られた実験体だって。夕月の身体を唯一再生出来る、能力の事を知ったのも、このからだに渡ろうと決めた、時に聞いたから。
最初、聞いた時、驚きしかなかった。自分の正体が、少しずつ明らかになっていく現実に直面しながら、戸惑いと言う人間の感情の一つを心で感じるんやから。
うちのきょうだいと言われる、ミカサ、ミオ、そしてうち、癒智。三体は人間の体のパーツで彩られた、ガラクタだと教えてくれた。人間のように見えて、人間ではないんやって。三人、それぞれ、能力と言うものがあるって、教えられた。けーちゃんが、どうして、それを知ってるのかは分かんないけど、チルドレンと一括りにされている、異質な存在。
その中でも、うちは特殊。他の二人は人に近くて、年齢を重ねる事が出来る……のに、うちには、それが出来ない。永遠にこの幼女のままらしい。
――どうして、うちだけなん?
ミオとミカサは人間のように、生きていけるのに、うちだけ違う。なんだか仲間外れにされてるみたいで、しょんぼりしてしまうんよ。
悲しくはないけど、複雑。
うちはうち。他の誰でもない、一体の実験体じゃなくて、人なのに……。
「どうして分かってくれないの?」
ミオは感情を持ち、心を再生する事が出来る『能力』の持ち主。
ミカサは殺戮の中で人を破壊していく『兵器』の存在。
そして、うち、癒智は、枯れた人の心を潤し希望を与える『光』そのもの。
「うちに出来るのかな、分からんわ」
まだ夢の中で取り残されたうちは、ゆっくりと光の道に引き寄せられながら、現実の扉を開いていく。 そこに、うちを待っている、あたらしい『家族』となる雪兎の姿が存在してるんよね。
もっと創造者の傍にいたかったんやけど、無理な我儘や。
うちの悲しみを癒してくれる人なんかな……雪兎って人間は。