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身勝手


 混ざりゆく

 因果は枯れ果て

 再生を繰り返す

 骨の瓦礫の姿、形は

 まさにそのもの……


 

 いつか見た夢のように、輝きながら、果てへと流れる運命、そして絆、愛、涙。

 あたし達は、何を選択し、道を歩いていくのか、まだ不透明。

 包まれているのは、希望?それとも絶望?

 夕月(あたし)には分からない……。


 

 見えていない所で、色々な事が起こり始めている。裏で隠れていた、行動そのものが表面化しながら、全てが刃に代わり、あたしへと矛先を向け始める。傍にいる雄介(ゆうすけ)、元の名前は慶介。そしてみっめの名前は漢字を少しいじって啓介と言うみたい。あたしの正体がバレたのと同時に、昔話を少しだけしてくれた。ガラスの破片みたいに、バラバラな言葉の節々を聞いていると、本当は優しい人間だなって感じるの。


 あたし以外の人間も、よく知れば、雄介(かれ)の事を好きになると思うのよね。それは恋愛感情ではなくて、家族愛に近いような感覚なんだけど、凄く新鮮なんだ。


 だから『癒智(ゆち)』も彼に心を開いたのだと思う。産まれたての赤子のような存在だし、真っ白しかしらない彼女は、純粋そのもの。人の悪や裏なんて考えてない、そして欲望も、何も知らない。あたしに対して敵意を向けたのも、彼の存在が原因だと思うの。人間なんかじゃないのに、人を守りたいと無意識に願う……。ほんとう、ゆち姉さんみたい。


 『ふふ。君が夕月とは思いもしなかったよ。だけど癒智(ゆち)が君の体へと移り住んでくれたから、私と出会えた。これは(えにし)だね』

 「……あたしの元の体は両手両足がないのよ。そんな体に彼女を閉じ込めて、どうするつもりなの?」

 『ん?どうもしないよ。それは癒智(ゆち)が自分で考える事』

 「それ無責任じゃないの?」

 『あの子を信じてる。それだけの事だよ。君が考える以上に、賢い子だからね』


 あたしはね、人間が大好きで大嫌い。だっていい部分もあるけど、こうやって無責任な事も言えるから。結局は個人の意見を尊重するでエンド。それってさ、何の解決もしないし、何も考えてないって事でしょ?


 信用してるから、信頼してるから、それで身勝手に作られた癒智(ゆち)をモノ扱いしているのと同じじゃないの?この人も『骨の瓦礫』に関係しているのなら、尚更だよね。

 

 「はぁ……」


 溜息しか出ないわ。



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