クラス会議(柚希Ver.)
次の日、いつも通り顔を洗い朝飯を食い早めに家を出た。
今日は体育祭のクラス会議があるのだ。
行事に力を入れているこの学校は1日丸々クラス会議の時間が取られる。
そんなに必要ないじゃないかと思うかもしれないが、意外と時間は足りなくなる。
なぜなら、作戦会議だけでなく選手決めなどもすべてこの日にまとめて行うからだ。
今日が終わればあとは残りの期間は放課後の練習時間しかないので延長は効かない。そんなプレッシャーの中クラス会議が始まった。
「みんな、おはよう。今日はクラス会議だから、けじめつけてテキパキやってくぞ!」
「「おう!!」」
このみんなの返事を聞き少し安心した。うちのクラスはかなり積極的でしっかりやってくれる事を忘れていた。
ちなみにクラス替えはこの学校がないため俺達はもう二年目の付き合いとなる。朝の心配もスッキリ晴れ、個人種目決めから始めることにした。
「よーし、個人種目決めてくよー。とりあえず、やりたいもの言ってってー。」
「はい!私障害物競走やりたい!」
こう元気に即答で答えてくれたこの子の名前は佐倉叶恵。陸上部のエースでありとても活発。クラスの雰囲気を明るく保つムードメーカーである。ここでひとつある疑問が
「叶恵って陸部だよな?普通に走って1位取れんじゃねえか?」
そう、あくまで障害物競走は運動が苦手でもできる競技として作られているのだ。ここまで足が速いやつが出る必要があるはずない。
「いや、だって楽しそーじゃん?ねえ、いいでしょ?」
「クラスとしては走ってほしいもんだがなあ」
そんなことを呟いた瞬間、
バシッ!!
「痛てー!おい、いきなり蹴るんじゃねえ!」
「じゃあやらせてくれるよね?障害物競走。」
怖ぇ。そうこいつはすぐに手や足が出るのだ。それも手加減なしに。俺はこいつにいくつあざを作られたか数え切れない。だが、そんな感じでボディタッチもかなり多いため。人は自然と集まる。不思議なもんだ。
「んー、分かった。じゃあそうしよう。」
俺は渋々答えた。逆らった回数分だけ蹴りが飛んでくるんだからしょうがない。
「やったー!サンキュー柚希!」
そう言ってこちらに向かってサムアップしてきた。俺も控えめにサムアップを返しておいた。
そうすると、満足気に自分の席に帰っていった。
「んじゃほかもどんどん決めていこーぜ。な、柚希」
「ああ、そうだな。」
「んじゃ俺借り物競争出てえな。そこにきーめた。」
このどんどん引っ張っていってくれるこいつは浦安隼。
俺の親友でいつも助けてくれる。お調子者なところは長所であり短所でもある。
そんなクラスの2人の影響もあり、つつがなく個人競技は決まっていった。
「俺のクラスはまとまりがあって楽だなあ。ほんとに俺がいなくてもいんじゃないか?」
「いや、柚希がいるからこうやってまとまるんだって〜。自覚した方がええよ〜。」
そんな能力身につけた覚えは無いんだがみんながそう言ってくれる。
もしかしたら黙って引っ張っていけるタイプなのでは?と一瞬思ったがやめた。
だって…
俺には才能がないから。
今回は柚希の会議だけだったのでかなり少ないです。次は麗奈の方の会議の予定ですので乞うご期待ください。