麗奈との複雑な関係
会議室から職員室まではそこまで距離はなくすぐ着いた。中に入るとそのまま応接間に通してもらった。
「さて、とりあえず用件なんだが、もう八千代と白井はこの体育祭が終わったらクラス委員長、副委員長は引退なのは知っているな。だからその引き継ぎをしたいのだが2人に聞いたところ是非君達にやって欲しいと言っていたんだ。確かに君達なら適任であるし、是非とも任せたいのだが、本人達の意思も尊重したいのでな。どうだ、やってくれないだろうか?」
しばらく考えた後
「私は構いません。ぜひやらせていただきます。」
と、麗奈。そして俺は
「少し考えさせてもらってもよろしいですか?」
「時間もまだあるからよかろう。体育祭の後にでも返事を聞かせてくれ。」
「ありがとうございます。」
そんな簡単に決められなかった。
やはり、先輩達がこなしてきた仕事はそう簡単なものではないって分かっているし、それに自分がこなせる自信が無い。あの場でやりますと言えた麗奈が少し羨ましかった。
「では、気をつけて帰るんだぞ。」
俺達は先生に会釈して、職員室を出た。
「なぜあそこで返事をしなかったの?」
麗奈が首を少しかしげながら聞いてきた。
なんかいつものクールな感じとは違うあどけない感じがとても可愛らしい。
「いや、なんつーか自信がなくてさ。すぐに答え出す気にはならなかったんだよ。」
俺は顔を赤らめながら正直に答える。信用は出来るやつなのでそこら辺は気を使わなくていい。
「そう…そこまで自分を過小評価する必要も無いと思うけれど?」
麗奈の意外な言葉に少し驚いた。
しかし、
「だって、私と張り合えているのよ。かなり自信を持っていいと思うわ。」
ほらこの通りである。
彼女はしっかり自分の能力をわかっているが上に、ここまでのナルシストとも取れる発言がなんの躊躇もなく出てくるのだ。
普通のやつに言われたら多少いらつくが、麗奈に言われるともう何も思わない。
「俺を過大評価し過ぎだ。ってかあくまでライバルなんだな…」
「私がそんなできないやつをライバル視するわけないでしょう。あなたは間違いなく倒しがいがあるわ。そして、あなたが言う友達関係というのになる気はサラサラないから。」
ああ、少し俺が戦意を向けられている理由がわかった気がする。こいつはかなりの勝負好きで人と競い合うことを楽しんでいる。
そして、何故か過大評価されている俺はその勝負相手としてずっと戦意を向けられ続けていると言ったところか。
俺としてはもっと女友達として接したりしたいのになあ。あくまでライバルらしい。
はあ…
「倒しがいがあるってなんだよ。まあ俺もそこまで言われると少しは自信が出るってもんだな。よし、クラス委員長、副委員長の件は前向きに考えるよ。」
そう言って俺は軽く手を振りその場を去った。
俺はそのまま家に帰りすぐさまベッドにダイブした。
マジでなんでこんな事になってんだろ。
多分女子とあんな感じで不思議な関係になってんの世界中の男子高校生探しても俺だけだろうよ。何となく孤独を感じていると、
「お兄ちゃん、いきなりどしたの?」
ああ、瑞希か。でもちょっと今は一人でいたい気分だ。
「あん?ちょっと疲れてるだけだよ。ほっとけ」
「そんな言い方ないでしょ?ちゃんとお兄ちゃんがなんかやばそうだったから妹としてなにかしてあげようかなって思ったのに。」
うーん、できた妹なのは重々承知の上なのだがこの問題ばっかしは瑞希に言ってもどうしようもないのだ。
そのことを伝えると
「分かった。麗奈さんとまた不思議な感じになったんでしょ?」
は?なんで分かってんの?こいつは人の考えが分かっちゃったりするのかよ。これには唖然とするしかなかった。そんな様子を見た瑞希は馬鹿にした様子で
「そんなのわかるに決まってんじゃん。大体、麗奈さんと何かあるといっつもこんな感じで1人で何とかしようとするでしょ?」
これは参った。流石、俺の妹である。
「もうなんでもいいから話してみそ?ちゃんと聞いてあげるから。」
「ああ、すまんな。んじゃ少し聞いてくれ。」
そう言って俺はこれまでのことをはじめて妹にすべて話した。これまでは特に麗奈の名前が出てくることは無かったのでなんとか有耶無耶に出来たが今回に限ってはそうもいかなかった。そしてすべて聞き終えた瑞希は、
「ああ、麗奈さん少し変わってるからなあ。でも、勝負してる時の麗奈さんって生き生きしてるよね。お兄ちゃんもそう思わない?」
「いや、確かに生き生きしてるけどありゃなんか俺を倒すことを楽しんでるだけだろ。」
瑞希は俺の返答が気に入らなかったのかうーんと頭を抱え込んでいる。
「でもそれだけじゃない気もするんだよなあ。うーん、なんかピンと来ない。でも、勝負することが嫌いなわけじゃないんでしょ?」
「まあそれに関してはそこまでは悩んでないんだ。」
これに関しては間違いなく言える事だ。別に勝負が嫌なわけじゃない。逆に少し楽しんでるぐらいだ。しかし、問題はそこじゃないのだ…
そうこう話しているうちに、
「あ、瑞希もう夜ご飯作らなきゃ。なんかうまいことアドバイスできなくてごめんね。」
まあしょうがない事だ。そう簡単に分かることでも無かろう。
「ああ、大丈夫だ。なんかサンキューな。」
小町は静かにうなづいて部屋を出ていった。でも、少し話しただけでも気持ちは軽くなった。
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