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閉幕・魔王編 魔王の姫君

 星の力を削ぐほどに、長きに渡り人間と魔族の戦争が続いた異世界ラズベイル。

 人間という種が滅びないよう、星は人間に加護を与え、魔族に対抗できるようにした。星の力を与えるには、ある程度の素養が必要となるが、長き戦争の末、星の戦士になれる人間は失われた。

 星は残り少ない力を使い、干渉が可能な近い異世界に救いを求めた。この戦争を終わりへと導く、全く違う価値観や概念を持った異世界の人間。星の素養を持ち、現状や未来を変えたいと心の底で願う二人の男女を召喚した。

 異世界の戦士は年齢や職業、境遇や性格も異なるが、それぞれ己を変えたいという気持ちを密かに持っている。星の加護を与えれば、その気持ちが膠着した世界に変化をもたらす一つとなり、ゆくゆくはラズベイルを平和へと導くだろうと考えた。

 そしてその星の予想は的中し、つい二週間前に戦争は終結したのだった。

 この星の事情に巻き込んでしまった異世界の戦士二人は、それぞれこの世界での経験を経て大きく成長した。

 一人は人間不信。家族や身近な大人に恵まれず、何度も裏切られ努力を踏みにじられてきた。大人に対して強い敵対心を抱いていたが、この世界の人間と関わることで、元の真っ直ぐで素直な性格に戻り、更には自信までつけたようだ。

 一人は己の殻に籠り変化を拒む者。現状を変えたいと思う一方で、己の時間や自由を優先していた。この世界に来たことで己の習慣としていた日常がなくなり、他者と積極的に関わることで、心に変化が現れた。他者の生き方や優しさに触れ、その者たちに心を砕くことによって真の愛情が芽生え始めた。

『我が目に狂いはなかった。あの異世界の戦士を召喚し、本当に良かった』

 何もない真っ白な空間で、星の安堵した穏やかな声が優しく響いた。




 クロウリーとガイゼルによって引き起こされた戦争が無事終結して二週間が経った。

 長い間戦争が繰り広げられていた人間界の環境は荒れ、戦地だった大地は荒廃し、海は汚れ、森は破壊されていた。また魔界もクロウリーに洗脳されていた者の手によって荒らされ、各領域の一部で集落や橋、太古から伝わる建造物が破壊されていた。

 魔族代表の魔王と人間代表のロイド王は、戦争終結を二人で世界に向けて発信すると、引き続き魔族と人間が友好関係を結んでいくことを表明した。そして事情があったにせよ人間界を荒らしてしまったお詫びとして、魔族は今後復興作業に積極的に協力していくことを約束した。


 人間側の最終決戦地となったアレキミルドレア国の王都シャドニクスでは、クロロとカイト、佐久間、セイラの手によってガイゼル王が捕らえられた。最後までクロウリーから譲られた機械魔族をけしかけて抵抗したようだが、空気を読まないサラマンダーとフォードが城を破壊して外から玉座に乱入したため、その混乱に乗じて呆気なくガイゼルは戦闘不能に追い込まれたそうだ。ある意味サラマンダーたちのお手柄である。

 竜人族や空賊団、おじいちゃんの魔法で大暴れしたせいで、シャドニクスを取り囲む城壁や街、城はあちこち破壊され、瓦礫が散乱している状態だった。

 戦争終結後、カイトたちユグリナ騎士団やレオン率いる獣人族が協力し、そしてクロロが開発した瓦礫撤去作業車を用いながら復興作業にあたっている。

 また、独裁者だったガイゼル王によって国民たちは一種の洗脳状態になっており、王が捕らえられてユグリナ王国に幽閉されている今も、王に怯えてまともに生活できないものが続出していた。

 そのため、セイラやメルフィナ、ディベールの僧侶たちが配給を行いながら、洗脳された国民一人一人に寄り添い心のケアを行っている。


 凪と佐久間はヤマトの国へと戻り、戦争中に津波に見舞われた村の復興作業や汚れてしまった海岸の清掃作業に尽力している。シラナミ海岸から臨む、血や火薬等で汚染された周辺の海については、ネプチューンの側近であるタイガが先頭に立って魚人族総出で浄化活動をしていた。

 ちなみに我儘な女王様は面倒事を配下たちに全て任せ、自分は治安維持と称して魔界の領域に閉じこもってのんびりしている。

 魚人族たちの不満と女王からの我儘の板挟みとなり、タイガはいつも苦労している様子で、その姿を凪と佐久間はいつも憐みの目で見守っていた。


 ジャックたち植物人は戦地となった人間界を巡り、荒れた大地を修復しながら植樹活動をしている。各地で荒れて痩せていた大地が潤い、緑が増えて花が咲き、それを見た人間たちは大いに感動して植物人たちをもてはやした。争いを好まない平和主義者の植物人は行く先々で受け入れられ、今最も人間界で人気の高い種族となった。

 これから人間と交流を続けていく上で、とてもプラス材料になると魔王は喜んでいた。


 復興作業で欠かせない物資の輸送に関しては、決戦準備の時と同様、サラマンダー軍とフォードの空賊団が手分けして行っていた。物資を輸送中はくれぐれもレース勝負はしないよう、魔王とロイド王は両軍にきつく言い聞かせた。その甲斐あって荷物の荷崩れは一件も発生していないが、物資を輸送後は、相手を妨害するため軽い戦闘を交えながら、次の目的地までレース勝負を毎度繰り広げている。

 これがサラマンダーに片想い中のフォードなりのアプローチなのだと周囲は呆れながらも一応理解しているので、フォードの気が済むまで放っておくことにした。それにしても頭の片想いに黙ってついてきてくれる子分たちは、本当に心の広いできた子分たちだ。


 ドラキュリオ軍はクロウリーの領域に残り、崩壊したクロウリー城の探索を行っている。何故今更崩れた城を掘り返しているのかと言うと、ドラキュリオが偶然確保した蜘蛛型の機械魔族に理由があった。

 ドラストラに寄生していた蜘蛛型の機械魔族は、戦争終結後にクロロの手によって解体された。分析した結果、その機械魔族は寄生した対象の負の感情を増幅させ、最終的には理性を失くし魔力を暴走させる仕組みになっていた。

 これがまた悪用されるようなことがあってはならないと、魔王はドラキュリオに命じてクロウリー城跡地を念のため調べさせている。何者かが残骸を漁って利用しないとも限らないからだ。

 復興作業と違いジャックのように人間にチヤホヤされる仕事ではないので、ドラキュリオはしょっちゅうサボっては魔王に怒られる日々を過ごしている。

 時折人間界のオスロに行っては、一方的に仲良くなったニコに愚痴をこぼしながらカードゲームで遊んでいるらしいが、もちろんいつも負けて帰ってきている。ニコからは毎度愚痴を聞かされて迷惑していると苦情が入っていた。


 そしてクロロは戦争終結後、各地の情報収集や復興人員配置の調整、今後の魔族と人間の同盟条項の作成等、激務をこなす傍らバラバラに壊れてしまったメリィの修理もしていた。

 幸い魔王の手によって核は守られたので、つい先日メリィは無事に目を覚ました。記憶の異常も見られず、洗脳されている感覚ももうないと言う。

 復帰を果たしたメリィは、早速魔王に何度も深く謝罪し頭を下げていたが、機械の体と言えど魂は叔母なので、魔王は気にしていないと鼻で笑って許していた。それからメリィはこれまで通り魔王城の家事全般をこなしている。

 ちなみにこっそり魔王のことを叔母として大事にしているのか、恋愛対象として好きなのか聞いてみたが、顔を真っ赤にして家族のように大事にしているだけだと怒られてしまった。どうやら亡き兄、フェイラスに息子のことを頼むと言われていたらしい。赤ん坊の頃から知っているので、目に入れても痛くない可愛い甥として想っているそうだ。

 私が本気でずっと勘違いしていたと悟ったメリィは、周りに首を突っ込んでいる暇があったら自分をもっと見つめ直せと説教してきた。相変わらずメリィはツンの要素が多い。


 ジークフリートはいつも通り魔王城の門番として毎日仕事熱心に働いているが、先日珍しく一日だけお休みを取ってペガサスに乗ってどこかに出かけていた。興味本位で魔王に訊ねると、人間の時の生まれ故郷に里帰りしに行ったと聞かされた。

 何でもジークフリートの故郷はかつてクロウリーに滅ぼされ、クロウリーの城でジークフリートが戦った赤髪の騎士は当時彼の下で働いていた部下だったそうだ。詳しい事情までは聞けなかったが、ジークフリートの中で気持ちに整理がついて、故郷の人たちに一連の報告をしに行ったようだ。クロウリーによって人生が捻じ曲げられた犠牲者は本当に多いのだと実感した。


 そしておじいちゃんはと言うと、クロロと同様毎日休む暇もなく働かされていた。クロウリーに味方していた、主に三つ目族の一部が行方知れずになっているため、残党狩りと称して魔界をあちこち飛び回っている。

 機械魔族や洗脳されていた者たちはそこまで害はないのだが、クロウリーと同じ三つ目族だけは油断ができない。長の意志を継ぎ、同じ危険な思想を描いて再び魔王に牙を剥く恐れがあるからだ。

 そのため、おじいちゃんは老体に鞭を打ちながら領域を巡り、見つけ次第三つ目族と戦闘を重ねている。

 報告がてら城に戻って来た時は必ず私のところに顔を出し、存分に精神面を回復させてから再び旅立っている。

 こき使われ過ぎているおじいちゃんが可哀想だったので、この間魔王に直談判してあげたのだが、じいは魔族の中でもタフだからあのくらいでは疲れん、と一言で片づけられてしまった。魔王はおじいちゃんにだけは厳しいというか、頼りきっているというか、とにかく甘えまくっている。幼い頃からの付き合いだからだろうか。




 各地で復興が進む中、私は今日魔王とケルベロスと共にスターガーデンへとやって来ていた。

 二日前にクロロ伝手でロイド王から、星と少しの間だけだが会話ができるようになったと報告を受けたのだ。星が私と話しがあるとのことで、今日はここでロイド王、カイト、佐久間と待ち合わせている。

 私は久しぶりに訪れたスターガーデンの花々を愛でながら、待ち合わせ場所である星の宿り木に向かって坂を上る。

「この場所は本当に綺麗なところだよね~。戦争とは無縁って感じ」

「このスターガーデンがある島は、島全体が星の加護に包まれていますからね。いくら我々魔族でも傷つけることはできません。もちろん人間も荒らせませんよ。この地は星にとって人間たちと交流が取れる唯一の場所ですから」

 ケルベロスは私の手を引きながら、以前来た時より星の力が満ちているように感じると呟いた。

 魔王はケルベロスの指摘に頷き、星が会話できるほど力が回復した影響だろうと言った。

「お前はこの世界に来る時に星と話したことがあるのだったな。確か女の声だったと」

「うん。女の人の声に聞こえたよ。優しい感じ」

「フン。人間にばかり加護を与えよって。星の力が回復したら、魔界をもっと豊かにするよう訴えるか」

「魔界をもっと豊かにって、そんなに劣悪な環境だったっけ?魔界って」

 私は思い出すように首を傾げた。全ての領域を見たことはないが、暮らせないほど環境が悪いのは異常気象地帯くらいなのかと思っていた。

「戦争期に全員が好き勝手に大暴れしていたせいで、環境が破壊されている領域が多々ある。あとはお前も知っている異常気象地帯を変えてほしいところだな。あそこは環境が最悪な割に領土が広いからな。普通に住めるようになったら大分助かる」

「後半は良いとして、前半は自業自得だから星も力を貸してくれないんじゃない」

「なんだと。元は奴が生み出した魔界だろう。荒れたら元に戻すのが筋じゃないのか」

「どういう理屈よそれ」

 魔王の言い草に呆れながら緩やかな坂を上っていると、宿り木の下で佐久間がこちらに手を振っていた。私はそれを見て笑顔で手を振り返す。

 私たちが宿り木の下に到着すると、先に来ていたロイド王とカイト、佐久間がにこやかに迎えてくれた。



「久しぶりッスね、神谷さん。決戦前に会ったきりですよね。たまにはヤマトの国にも顔出してくださいよ。復興も順調で落ち着いてきてるんで」

「うん!今度お邪魔するね!メルフィナに聞いたけど、お祭りもやるんでしょ?楽しみだなぁ~。日本みたいに屋台とか出る感じ?」

 私と佐久間が盛り上がる横で、魔王とケルベロスはロイド王とカイトと挨拶を交わす。

「しばらくぶりだな魔王よ。少し顔に疲れが見えるが大丈夫か」

「フン。そっちと違って小僧のように素直な奴ばかりではないからな、うちは。優秀で働き者もいるが、サボってばかりの問題児もいてな。毎度説教するだけでも疲れる」

「ハハ。この間ニコも困ってるって言ってたよ。ドラキュリオが愚痴を言いに部屋に入り浸るんだって。フォードとは違った意味で要注意人物に加えているらしい」

「はぁ~。困った人ですね、キュリオは。せっかく植物人のおかげで魔族を見る目が友好的になっているのに、魔王軍の株を下げないでほしいです」

 ケルベロスは耳を垂れてため息を吐く。

 いざという時は頼りになる男だと魔王とケルベロスも理解はしているが、如何せん平時が不真面目すぎる。

 私と佐久間の話が一段落着いたところで、ロイド王は星の宿り木へと私たちを導いた。

「戦争が終結して世界が落ち着いてきたからなのか、少しだけ星の力が回復したようだ。短い間だけなら会話ができるようになった。カイト」

「ハッ!」

 カイトはロイド王に答えると、宿り木に手を当てて星に呼びかけた。

「我らを育みし星、ラズベイルよ。異世界の戦士二人を連れてきました。御言葉をお聞かせください」

 カイトの声が届いたのか、宿り木はゆっくり青白く発光し始めた。その光はまだとても弱く、幹以外の枝や葉にはあまり光が満ちていなかった。

『我が戦士カイトよ。二人を呼んでくれて感謝します。……久方ぶりですね、異世界の戦士よ。えりはこの世界に召喚して以来ですね』

「あの時の、声……」

 私はこの世界に来る際、何もない真っ白な空間で聞いた声の主とようやく対面した。あれ以来その声を聞くことはなかったが、不思議とその声は耳に残っていた。

「久しぶりッス。声が聞こえなくなって心配してましたけど、少しは元気になったみたいで良かったッス」

『…ようやく声が少しだけ届けられるようになったので、大事なことだけ伝えておこうかと思いまして。時間が限られているので、要点だけを伝えます』

 穏やかな口調ではあるが、とても急いているように聞こえ、本当に星にはあまり時間がないことが察せられた。

 初めて星の声を聞く魔王とケルベロスは、この機会に彼女から色々と聞き出そうと思っていたようだが、仕方なく口を挟まず星の御言葉を聞くことにした。

『まずは異世界の戦士、勇斗、えり。突然の召喚にもかかわらず、我が星ラズベイルを救ってくれてありがとう。この世界の常識に囚われない異世界の二人だからこそ、今回の平和に結びついたと考えています。また、この世界での経験を通し、二人自身も大きく成長できたようで、それも喜ばしいことだと思っています。見知らぬ世界に呼びつけておいて、何も得るものがないようでは申し訳ないですからね』

 姿は全く見えないのだが、ラズベイルは小さく笑ったような気配があった。

 この世界に来る前より成長していると言われ、私は目を瞬かせた。神様とはまた別の存在だが、ラズベイルは召喚した後も陰ながら見守っていてくれたようだ。

(大きく成長、ねぇ。成長したかな私。妄想力は確かに伸びた気がするけど。それは果たして成長と呼べるのだろうか。妄想の力が伸びるって、単純に聞くとヤバイ奴に聞こえるよね)

 私は目を閉じて自分を悲しく見つめ直す。

『さて、こうして星の危機が無事去りましたので、責任をもってあなた方二人を元の世界にお帰ししなければなりません』

「「「「ッ!?」」」」

 ラズベイルの言葉に、ロイド王とカイト以外は息を呑んだ。

 私と佐久間を呼んで来いと星から言われた時点で、ロイド王とカイトは薄々察していたようだ。

『こちらの世界で数か月もの時間を過ごし、とても不安に感じていることと思いますが、元の世界にお帰しする際は召喚した時間と同じ時間に戻すつもりです。ですから家族や友人に心配をかけることはありません』

「えっと、つまり、元の世界では時間が経っていない状態で戻してくれるってことですか?」

『そうです。その方があなた方もすんなり日常に戻れるでしょう』

 ラズベイルの配慮に、私はほっと胸を撫で下ろした。

 こっちの世界に来てから数か月以上が経っており、元の世界では捜索願が出されて大変なことになっているだろうと密かに心配していたのだ。ここに来る直前の時間軸の世界に戻してくれるのならば、何の問題なく元の生活に戻れるだろう。

(ただ、数か月も経ってるから、やりかけの仕事とか全部忘れちゃってるけど。大丈夫かな…)

 一抹の不安を感じている横で、魔王とケルベロスは複雑な表情を私に向けていたが、私は自分のことで頭がいっぱいで気が付かなかった。

「………あの、それって、絶対元の世界に帰らなくちゃいけないんスか?このままこっちに居続けることは駄目なんでしょうか」

「佐久間君!?」

 私は驚きの声を上げたが、カイトとロイド王はあまり驚いた様子はない。私より長く佐久間と接している二人は、佐久間の事情に詳しいのかもしれない。

 元の世界に帰らないという選択肢を聞いて、魔王とケルベロスはラズベイルの発言に注目した。

『……勇斗よ。あなたはこの世界に来てから大きく変わり、肉体的にも精神的にも成長しました。恐らく元の世界に戻っても、十分自分の力で未来を切り開けるほどに。それでも、全てを捨て、この世界で新しい人生を生きていくことを選びますか?』

「あぁ!俺は、これからもこっちで凪さんの側近として、亡き日向さんの分まで凪さんを支えていく。日向さんにも最期に約束したッスから」

 迷いなく即答した佐久間に、私は言葉も出ずに彼の横顔を見つめて固まった。強い意志を持った瞳に自信に満ちた表情。その顔には今下した選択に、後悔など微塵もなかった。

 佐久間はあっさり元の世界の未練を断ち切ったが、私にはとても無理な話だった。

(一生こっちの世界で生きていくって、本気なの佐久間君。こっちには家族や友人はおろか、ゲームや漫画、アニメや動画、はたまた音楽や文明の利器さえないんだよ~!連載途中の漫画の続きはどうするの?来春発売されるゲームは?スマホの進行中ゲームイベントは!?とてもオタクには切り捨てられない世界ですけど!)

 私は絶句しながら信じられない目で佐久間を見続けてしまう。

 そもそも制服を着てる時点でまだ高校生だろう。勉学はどうしたんだと心の中で冷静に突っ込んでしまう。

『どうやら決意は固いようですね。えりと違い、あなたは一度元の世界に戻ったら二度とこの星には戻れないでしょう。あなたの気が変わらない限り、好きなだけこの星にいるといい。我が加護を持つあなたはもう、我が星の子の一員なのですから』

「あ、ありがとうございます!」

 佐久間は満面の笑みで答えると、安心して体の力を抜いた。ロイド王やカイトも心なしか嬉しそうな顔をしている。一緒に戦ってきた仲間と別れずに済んだからだろう。

 喜ぶ人間たちをよそに、魔王は気になったある発言についてラズベイルに直接問いただす。

「おい、星よ。さっきの『えりと違い』、とは何だ。その物言いだと、えりならば自由に両方の世界を行き来できるかのような言い方だが」

『魔界を統べる王よ。あなたの言う通りです。えりに与えし星の能力をもってすれば、再びこの星に来ることが可能でしょう。強く妄想さえすれば、空間転移と同じ要領で来れるかと』

「ほ、本当ですか!?良かったぁ~!私はとても佐久間君みたいに元の世界を切り捨てられないから。家族にも会いたいし、まだまだやりたいことがあっちにはいっぱいあるから」

「フン。小童と違って未練たらたらではないか」

 魔王が不機嫌そうに睨んでくるので、私はむくれながら彼に言い返した。

「当たり前でしょー。むしろ佐久間君の決断が男らしすぎるの!普通は元の世界に帰りたいってば。そりゃあ私だってせっかく仲良くなったみんなと別れるのは嫌だけど、家族にだってやっぱり会いたいよ。突然こっちに連れて来られてずっと会ってないんだから」

「そうですよね。お姉さんの感覚が普通です。…でもお姉さんの能力があれば、もし帰ったとしてもまた会えるんですから、そこまで心配する必要はなくなりましたね」

「フン!」

 ケルベロスは魔王に同意を求めたが、魔王は鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまった。何故かすっかりご機嫌斜めである。困った王様だ。

『今日あなたたち二人を呼んだのは、元の世界に帰る意志を確認するため。勇斗は残るようですが、えりは帰るということでいいですね』

「あ、はい!でも…、それって今すぐ帰らなきゃダメですか?まだあちこち復興途中で、ちゃんと手伝ってから帰りたいんですけど」

『もちろんあなたのタイミングで帰ってくれて構いません。帰りたい時は再びここに来てくれれば、我が元の世界に送ってあげましょう』

 その後ラズベイルは魔王とロイド王双方に、魔族と人間のこれからの行く末を託すと、また力を回復するために眠りについた。

 星との対話を終えた私たちは、各地の復興具合や問題が生じていることなどを話し合ってから、それぞれの場所へと帰って行った。




 それから数日後。私は食堂で朝食を食べ終えると、護衛役のケルと一緒に王都シャドニクスへと向かおうとしていた。獣人族の配置先なこともあり、連日ケルと一緒にシャドニクスの復興作業に協力している。

 私たちは魔法陣のある正面庭園を目指して廊下を歩いていたが、ちょうど玄関に向かう途中でネプチューンと遭遇してしまった。

 私とケルは心の中で同時にしまった、と叫んだ。

「えりよ。また今日も人間界の復興作業に行くつもりじゃな。一体いつになったら妾の領域に遊びに来るのじゃ。ずっと待っておるのだぞ。今日という今日は妾と一緒に来てもらおうか」

「ネ、ネプチューン。誘ってくれるのは嬉しいんだけど、戦争が終わったばかりだし、元の生活に戻れず困っている人がたくさんいるから、復興作業のお手伝いをしないと。このままじゃいつまで経っても元の世界に帰れないし」

 私が苦笑いを浮かべながら言うと、ネプチューンは目の色を変えて私の行く手を阻んできた。

「元の世界に帰るじゃと?フェンリスからこの間聞いたが、本当にお主元の世界に帰るつもりか。それを聞いて、妾が大人しくここを通すと?尚更人間の街になど行かせられぬ!妾と共に海底神殿へと行ってもらうぞ!」

 ネプチューンは私の手首を掴むと、グイグイと引っ張ってきた。目的地は同じ正面庭園の魔法陣だが、ネプチューンと一緒ではその魔法陣の行先が異なる。

 ケルは慌ててネプチューンの腕を掴むと、私を解放しようと力任せに強く握った。

「お姉ちゃんを離してよネプチューン!お姉ちゃんはケルと一緒にシャドニクスに行くんだから!」

「この!無垢の番犬め!妾から手を離さぬか!行くならお前一人で行けばいいじゃろう!えりは妾に譲れ!そもそもお前は年中えりと一緒にいるであろう。たまにはえりから離れよ!」

「ケルは魔王様からお姉ちゃんの護衛役を任されてるの!お仕事なんだから離れないぃ~!ネプチューンこそお姉ちゃんの手を離して!そもそもネプチューンはヤマトの国の海を浄化する任務を与えられてるはずでしょ!サボってるくせにお姉ちゃんを連れていこうとしないで!」

「なんじゃとこの犬っころが!」

 私を横に立たせたまま、獣人族対魚人族の言い合いが勃発した。このままではいずれ戦いに発展すると思い間に割って入ろうとするが、二人の熱が思いの外強すぎて入り込む余地がない。

 私がほとほと困っていると、騒ぎを聞きつけたメリィがいつものデッキブラシと雑巾を持ってやって来た。掃除の途中だったようだ。

「一体これは何の騒ぎ?」

「え~っと、復興作業に行きたい私たちと領域にご招待したいネプチューンの戦いです」

「はぁ~。私が寝ている間に面倒なのに気に入られたわね。リアナ姫の時も強引に連れ去ろうとした事件があったから」

「見た見た。メリィの記憶で。私にもよく分からないんだけど、いつの間にかすごい気に入られちゃったんだよね」

 メリィはデッキブラシを構えると、何の躊躇もなく私を掴むネプチューンの手に柄を叩き込んだ。クロロが修理ついでに性能をパワーアップさせたおかげで、かなり強烈な一撃だったように思う。

 ネプチューンは痛みに叫び声を上げると、赤く腫れ始めている手の甲を撫でた。

「いきなり何をするんじゃ暗殺人形!いくら先代様の妹と言えど今のはやりすぎじゃぞ!」

「それは悪かったわね。口で言ってもどうせえりを解放しないだろうから、最初から実力行使をさせてもらったわ」

 メリィは悪びれもせず真顔で淡々と述べる。

 メリィに宿る魂の正体を一部の人にバラしたので、良い機会だからと戦争後に魔王は全員にメリィが先代魔王の妹だと教えていた。

 特にサキュアが一番驚いており、それからメリィに胡麻を擂るように気さくになったという。まずは魔王の叔母を味方につけようとしているのだろうか。

「さぁえり。私が相手をしておくからさっさと行きなさい。長くはもたないわよ」

「ありがとうメリィ!帰ったらお礼するね!」

 私はケルを連れて玄関へと駆けて行った。

 その場に残されたネプチューンは、邪魔をしたメリィを睨みつけながら納得のいかない顔をする。

「………てっきりお主はフェンリスの味方かと思ったのじゃが。このまま復興が進めば、近い内にえりは元の世界に帰ってしまうぞ。能力によってこちらの世界にまた戻って来れるそうじゃが、それでもあの子はきっと寂しい思いをするじゃろう。何とか阻止して姫君になってもらわねば。あの子にはこれからもえりが必要じゃ」

「誰をご自分の姫君に選ぶかは魔王様がお決めになること。外野が口を挟むことじゃないわ。それに…、元の世界に戻りたいというえりの気持ちも分からなくはない。そして、その気持ちを尊重して魔王様も特にお止めになる様子もない。ならば、私はいつも通り二人に接するだけだわ」

「むぅ。歯がゆいのう。せめてえりがこの世界の人間だったならば良かったのに」

「分かってないわね。『異世界から来たえり』だからこそ、魔王様は惹かれて心を許したのよ。『異世界』から来た別の女でも、たとえこの世界に生まれた『えり』だったとしても、魔王様は惹かれなかったでしょう。価値観の違う世界から来た、えりという女性を好きになった。魔王様風に言うならば、馬鹿で間抜けなお人好しのお節介で、警戒心のない明るく優しき娘に惚れたのでしょう」

 メリィは薄く笑うと、これから事がどう転ぶのか、二人の行く末を黙って見守るようネプチューンに諭すのだった。




 ケルと共に王都シャドニクスへとやって来た私は、瓦礫が取り除かれた通りを進んで街の中心部へと向かった。

 クロロが開発した瓦礫撤去車のおかげで、今はもう撤去作業が終わり、城壁や道、家屋の修復作業に移っている。細かい作業はユグリナ騎士団が担当し、資材の運搬やその他力仕事は獣人族が担当している。人間と魔族は関係なく適材適所で働いており、作業効率は通常の倍速いだろう。

 中央広場までやって来ると、教会の建物の前でセイラとメルフィナが朝の配給の後片付けをしていた。

「セイラちゃ~ん、メルフィナ~。おはよ~」

「おはようございます、えり様。ケル様」

「あ、えり。おはよう。今朝は遅かったじゃない。寝坊でもしたの?」

 メルフィナは作業の手を止め、セイラは礼儀正しく会釈をしながら挨拶してきた。

「いや~。寝坊したわけじゃないんだけど、会ってはいけない人に朝から出会ってしまってね」

「お会いしてはならない人、ですか?」

「ネプチューンだよ。お姉ちゃんを無理矢理連れ去って、自分の領域に招待しようとしてるんだ。配下に仕事を押し付けて、自分は暇なんだよ」

 セイラとメルフィナは遅れた理由を聞いて苦笑いを浮かべる。

「とんでもないのに気に入られたわね、アンタも」

「アハハハ。多分私をリアナ姫の代わりにしてるのかも。大好きな親友を亡くした寂しさを、同じ人間の私で埋めようとしてるんじゃないかな。全然リアナ姫と似てないけど私」

「ん~?そんなことないわよ。同じ魔王の姫様っていう共通点があるじゃない。だからネプチューンもえりのこと気にかけてるんでしょ」

「……ハ?今、なんて?」

 私はしばし時間が止まりかけたが、ガイゼルの洗脳から回復した子供たちが無邪気に通りを駆けていく声を聞いて思考を取り戻した。混乱した私が首を傾げるのを見て、セイラとメルフィナは顔を見合わせた。

「えり様が、魔王様の姫君だと仰ったんですよ」

「え、えぇぇ~~!ちがうちがうちがう!いつからそんな話になってるの!?二人とも勘違いしてるよ!私は魔王の姫君じゃないから!」

 にこやかな笑顔で言ってきたセイラに、私は全力で事実を否定した。私の慌てっぷりに、セイラとメルフィナは顎に手を当て否定した事実を更に否定してくる。

「そうなのですか?わたくしたち星の戦士の間では、えり様と魔王様は戦争終結前からもうかなり親しい間柄だと認識しておりましたが。キナリス国跡地での戦いでは、えり様は魔王様を助けるために能力を使い、魔王様はえり様を目覚めさせるために奮闘しておりましたし。相思相愛なのかと思っておりました」

「それに人間のアタシたちを頼らず、ずっと魔王城に住んでるじゃない。サキュアから聞いたけど、アンタ魔王の部屋で寝泊まりもしてたでしょ。そんなに愛されてるのに姫じゃなかったら、もはや魔王の神経を疑うわ。一緒に寝ておいて遊びで終わらすなんて、王のすることじゃない。一夜の関係で済むのは遊び人か傭兵くらいよ」

「ちょっと待って!とても大きな誤解をしている!フェンリスと私はその、男女の関係にはなってないからね!?寝泊まりはしてたけど、フェンリスはいつも作戦会議室で寝てたから!」

 耳まで真っ赤にして否定する私をじぃっとメルフィナは見つめ返す。まるで熟練の尋問官のようだ。

「会議室で寝てた~?じゃあ一度も彼とは寝たことがないと?アタシが記憶している限り、アンタが過去に戻る能力を使ってぶっ倒れた時、ずぅ~っと彼はアンタに付きっきりで夜は寝てたって聞いたけど」

「え!?え~……、それは、そうなのかもしれないけど。でもその時は私の意識がなかったから何も問題ないでしょ」

「ふ~ん。意識がないからこそ、無防備でやりたい放題とも言えるけどね」

「ちょ!フェンリスは無抵抗な人に手を出すような男じゃないってば!そもそも、…色気も何もない貴様を襲うほど飢えてないって言われたし」

 自分で言っていて悲しくなったので、後半はそっぽを向いて音量を落とした。しかし、妖しく目を光らせているメルフィナは小さな声だろうと聞き逃さなかった。

「確かに色気は足りてないかもね~。それで誘惑したのに寝てもらえなかったの?」

「誰が誘惑するか!ていうか決戦前夜の話だし!そんな場合じゃないから!普通に…、添い寝しただけです…」

 何故か上手く乗せられて色々カミングアウトさせられており、私はこのままここにいてはまずいと感じ始めていた。

 普段は教会勤めのセイラは恋の話に飢えているのか、目を輝かせながら私の話の続きを待っている。

(これ以上メルフィナに詰められるとまずい!早く復興作業に移らなくては!)

 私が方向転換して配給の後片付けをしようとすると、すかさずメルフィナが肩を掴んで無理矢理正面を向かせてきた。

「全く男の経験値のないえりにアドバイスしてあげる。それこそアンタに何の興味もなかったら、魔王はそもそも添い寝なんてしないわよきっと。逆にただ発散したいだけの男だったら、いつでも好きでもない女を抱ける。彼は添い寝するほどアンタに好意を持っていて、でも状況と場を考えて我慢できるほどアンタを大事に想ってる。…もっと自分に自信を持っていいわよえりは」

「メルフィナ…」

 また根掘り葉掘り聞かれて冷やかされるのかと思いきや、恋愛強者のメルフィナは私を励ますアドバイスをしてくれた。自信に満ちた彼女に言われると、全てメルフィナの言う通りに聞こえてくる。

「いっそのことえりから告白してみたら?十中八九断られないから。魔王のこと好きなんでしょ。そうでなきゃ一緒に夫婦役をやったり、彼のために過去に戻る妄想したり、彼のベッドで寝たりできないわよね~」

「うっ!」

 ニヤニヤした笑みを向けられ、私は口ごもる。セイラも笑みを向けながらこくこくと頷いていた。

(………今まで三次元の人に恋をしたことはないけど、私の中で確かにフェンリスは特別な人だと思う。出会った頃は魔王の殺気にビビッてろくに目を見て話せなかったけど、今はちゃんと彼の内面を知って、普通に冗談を言ったり口喧嘩もできるくらいになったし。魔界を平和にするために、魔族のみんなを引っ張って苦労して頑張ってきたのを傍で見てたから、私も色々力になってあげたいと思って支えてきた。家族以外の誰かのためにこんなに親身に力を貸したいと思ったのは、多分生まれて初めてだよね)

 偉そうな見た目とは裏腹に、魔王の優しさや誠実さに触れ、私はいつの間にか彼に尽くしてしまうほど惹かれていたのだろう。しかし顔を突き合わせると素直になれないので、結局いつも喧嘩ばかりしているが。

「……でも、さ、正直なところ、フェンリスのためを思うなら、私が姫君になるのは止めたほうがいいよね。いつも一緒にいられるわけじゃないし。私は異世界の人間だから、しょっちゅう異世界に戻って不在になる姫より、ずっと傍で支えてくれる身近なお姫様を探したほうがいいと思う。ただでさえフェンリスはハーフの魔王で、歴代の魔王よりたくさん苦労するんだから」

 魔王のことを特別に想っているからこそ、私は真面目に彼の今後のことを考えた。

 魔族と人間の共存の道を選んだ彼は、これから様々なことで苦労することが目に見えている。戦争が終わった直後の復興時期だからまだ大きな問題は発生していないが、落ち着きを取り戻して時間が経ってからのほうが、心に余裕ができて人間と魔族双方に不満が出始めることもある。そうした際、魔王に寄り添って常に支えてあげられる人の方が姫として望ましいだろう。

 私が思い詰めたような真剣な顔つきをしているので、セイラとメルフィナは揃って口を開こうとしたのだが、それまで黙って話を聞いていたケルが一瞬早く話し始めた。

「大丈夫だよ!お姉ちゃんは何も心配しなくて大丈夫!」

「え?」

 元気な声に視線を落とすと、ケルは笑顔で私の両手を握り尻尾を振った。

「魔王様は強くて優しい人だから、ちょっとくらいいなくなっても許してくれるよ!離れていても心さえ寄り添っていてくれれば、魔王様は頑張れる!なんといっても魔王様は、愛情では誰にも負けない先代様の息子だからね!お姉ちゃんのことも大事にしてくれるよ!」

「ケルちゃん…」

 曇りのない無垢な瞳で笑うケルに、私は顔を少し赤らめながら、ありがとうと笑顔を返した。

 私の気持ちが浮上したところで無駄話はお終いとなり、それから私たちはガイゼルの洗脳が未だ解けていない人々の心のケアに当たった。




 それから三日後。私が自分の部屋で寝る支度をしようとしていた時、ケルが魔王の伝言を伝えにやって来た。伝言内容は一言、いつもの開かずの間の先で待っている、だった。

 私は指示通りランタンを片手に開かずの間へと向かうと、人間が開くことのできる白い扉を開けて暗い階段を下りて行った。

 暗い廊下を抜けて風が吹き抜ける花畑に辿り着くと、花畑の途中で魔王が佇んでいた。私は持ってきたランタンを入り口に置くと、花畑を進んで魔王に駆け寄った。

「どうしたのフェンリス?わざわざケルちゃんに伝言までして。何かあったの?」

「……話がある」

 私を見つめる魔王はいつもと様子が違い、眉間に皺は寄っていないものの、何かをためらうような迷ったような表情をしていた。

 私はまた配下たちには相談できない話でもできたのかと思い、彼が話し始めるまで辛抱強く待ってあげた。

 無言のまま一分以上が経過し、目を閉じたり視線が流れたりと色々な葛藤の末、ようやく魔王は口を開いた。

「………ケルから言われた。お前が不安に思っているから、早くきちんと言葉で伝えてやって安心させてほしいと」

「え?」

 急に突拍子もない話が始まり、私は目をパチクリさせてしまう。どうやら全然予想と違う話らしい。

「踊り子にお前の方から気持ちを伝えたらどうかとも言われたらしいな。お節介な女め」

「え?え!?」

 魔王の言葉を聞いて、私はようやく事態が飲み込めてきた。

(ちょっと待って!フェンリスが言ってる話って、もしかしてこの間シャドニクスで話した話!?ケルちゃんあの時のことフェンリスに話しちゃったの!?一体どこまで!?)

 私は途端に焦り始め、嫌な汗をかき始める。とりあえず何をどこまで聞いたのか探りを入れようと口を開いた。

「フェンリス、あのさ」

「お前は何も言わなくていい。男の俺から伝えなければ、父上にも呆れられそうだからな」

 魔王は私の言葉を遮ると、一呼吸間を置いてから真っ直ぐ私を見据えて言った。

「お前を俺の姫君にしてやろう。光栄に思え、えり」

「…………」

 あまりにも彼らしい想いの伝え方に、私は声も出さずにきょとんとしてしまった。目を瞬いて我に返ると、私は思わず声を出して笑ってしまう。

「アハハ!どんだけ上からなのよ!フェンリスらしいと言えばらしいけど。それで断られたらメチャクチャかっこ悪いよフェンリス」

「断るだと?」

 魔王は眉間に皺を寄せると、笑いを堪えきれずに声を出す私の頬を摘まんだ。私は今までの経験から反射的に笑い声を引っ込める。魔王はすこぶるご機嫌斜めの顔だった。

「笑うな」

「ご、ごめんごめん。まさかそんな言葉で告白されるとは思わなくて。……でも、本当に私でいいのフェンリス?ケルちゃんにも話したけど、ずっと傍で支えてくれるこっちの世界の人を選んだほうがいいんじゃない?」

「その話ならケルから聞いた。お前が真剣に俺のことを考えてくれる気持ちは嬉しいが、俺が自分の意志でお前を選ぶんだから、お前は黙って俺についてくればいい。何も心配するな」

 魔王はそう言うと、私を引き寄せて抱きしめた。

「…それとも、お前の方こそ元の世界の人間と結ばれたいか?」

 抱き締められているせいで表情は見えないが、魔王の声音には少しだけ不安な感情が混じっていた。

 私は小さく笑うと、そっと彼の背に手を回した。言葉だけじゃなく、温もりからも私の気持ちが届くように。

「ううん。私も時々会えなくなるとしても、フェンリスを選びたい。誰かを傍で支えたい、一緒にいたいと思ったのは、フェンリスが初めてだから」

 魔王のフッと笑った気配がし、その後優しく頭を撫でられた。

「姫君として迎えるからには、フェイラスさんがリアナ姫を愛した以上に大切にしてくれるんでしょ?」

「フン。当然だ」

 私が顔を上げて悪戯っぽく微笑みながら言うと、魔王は余裕の笑みを浮かべながら愛し気に私を見つめて答えた。惹かれ合うように顔を近づけ合うと、私たちは目を閉じて唇を重ね合った。触れ合う唇と交わる吐息からも彼の愛と優しさが感じられ、私は高鳴る心臓の音や火照る体温さえも心地良く感じた。

 この世界に来る前は知らなかった恋や愛。ずっと二次元で満足していた私だが、これからは彼の愛情なしでは物足りなくなりそうだった。



 ゆっくり体を離した魔王は、フイッと目線を逸らしながら話し始めた。少しだけ照れているらしい。かくいう私も顔が火照って大変なことになっているが。

「踊り子や聖女がお前に余計なことを吹き込んだせいで、当初の俺の予定が狂ってしまった。もう少しで準備が整うところだったんだが」

「準備?何の?」

「姫君用の戴冠の儀だ」

 魔王は私に視線を戻すと、密かに準備していた戴冠の儀について教えてくれた。

 姫君用の戴冠の儀というのは、魔王の寵愛を受けた者が、歴代の姫君に受け継がれしティアラを魔王から戴く儀式だそうだ。そのティアラには歴代魔王の魔力が込められており、先祖からも祝福や加護が得られるらしい。

 儀式を行うことで、魔界全体に姫君の存在を周知するお披露目の儀式でもあるらしく、今回は星の戦士たちも城に招こうと考えていたそうだ。

「お前が元の世界に帰る前に、戴冠の儀だけでも済ませようと準備を急がせていたんだがな」

「ちょっと待って。わざわざ段取りをして準備してくれていたのは嬉しいけど、それは一体いつ私に伝えるつもりだったの?」

「もちろん儀式の当日だ」

「いやいやいや!そんな直前に言われても困るから!全然サプライズじゃないよソレ!もし当日に私が姫君になるのを拒んだらどうするつもりだったの!?」

「フン。魔族の幹部や星の戦士たちを呼んでおいて、当日断れると思うか?」

 ニヤッと不敵に微笑む魔王を見て、私は開いた口が塞がらなかった。

(まさかの外堀を埋めて断れないようにする作戦だった!?なんて卑怯な!)

 私は事前に告白を受けることができて本当に良かったと安堵してしまった。

「たとえ当日に告げたとしても、お前ならば俺の気持ちを断らないだろう。今だって実際受け入れたのだから。少し早いか遅いかの差だ」

「それは……、そうかもしれないけど。でもこっちにだって心の準備ってのがあるんだから、もしそんな直前に言われたら困ります」

 好きだと認めてしまった手前、自信満々な彼に否と言えない自分が無性に悔しかった。これが惚れた弱みというやつか。

「ならば事前に想いが確かめられて良かったな。クロロに手配させているが、来週には準備が整うはずだから、今しばらく待っていろ」

「えっ。復興作業と同盟関連の仕事以外にそれもクロロに頼んでるの?いつか過労で倒れるんじゃないの?おじいちゃん並みかそれ以上にこき使ってるけど」

「フン。大丈夫だ。あいつはじいと違って賢くて要領がいいからな。手を抜くところは手を抜いて休んでいる。人を使うのも上手いし、自分一人で抱えて仕事をしている訳ではない。とにかく、来週の戴冠の儀を楽しみにしていろ」

 魔王はポンッと私の頭に手を乗せると、すっかり上機嫌で目を細めるのだった。




 次の週。各地で復興が一段落し始めた頃、魔王は宣言通り姫君の戴冠の儀を行うため、城に配下と星の戦士たちを招いた。戴冠の儀は謁見用の玉座の間で行われるため、みんなはもう交流がてら早めに玉座の間に集まっている。

 そんな中、私は自分の部屋で結婚式さながらの身支度に追われていた。以前リアナ姫のドレスを着る時に手伝ってくれた、城勤めの鳥人族が今回も手伝ってくれている。

「さぁ姫様!本日は魔王様がご用意したこちらのドレスを着てください!きっとお似合いになりますよ!」

「姫様って、気が早いなぁ」

 私は自分の柄じゃないなぁと思いつつ、むず痒い気持ちで姫呼びを受け入れた。

 差し出された純白のドレスを受け取りながら、私は胸元や裾のラインに広がる見事な花柄の刺繍に歓声を上げた。所々にワンポイントで音符の刺繍もあり、変わったデザインになっている。植物の蔦の刺繍の上に音符が乗っていることから、蔦が楽譜になぞらえているようだ。

「わぁ~!変わった可愛いデザインだね!」

「歌を歌うことが好きな姫様のために、音符を取り入れたデザインにするよう魔王様がわざわざ頼んだそうですよ。素敵な仕上がりですよね!」

「私の、ために?」

 思わぬ不意打ちのサプライズに、私は嬉しさに胸がいっぱいになった。普段は頬を引っ張ったり意地悪なことを言ったりするが、こういう気配りや優しさを見せられると、一気にキュンとくるものがある。

「さぁさぁ、皆様お待ちですから急ぎましょう!ドレスを着たらアクセサリーにお化粧、ヘアセットもありますよ!」

「う、うぅ…。何だか本当に結婚式みたい。お手柔らかにお願いします」

「いえいえ!手を抜かずに完璧に仕上げますよ!そして一年後の結婚式には、今よりもっと綺麗にしてあげますからね!」

 腕をまくって気合を入れる鳥人族の娘に、私は遠い眼差しを送って諦めた笑みを見せるのだった。




 魔王城の玉座の間へとやって来た私は、珍しく兜を取っているジークフリートが開けてくれた扉から、ゆっくり部屋の中へと足を踏み入れた。

 玉座の間は四階に位置して天井が高く、玉座の後ろの大きな窓からは太陽の光がたくさん差し込んでいた。私は祝福の拍手に包まれながら、赤い絨毯の上を真っ直ぐ歩いていく。右手には七天魔や幹部クラスが立っており、左手にはロイド王と星の戦士が立っている。ふと右手に注目すると、ドラキュリオが太い蔦で拘束されており、サキュアがネプチューンとメリィに挟まれて行動を監視されていた。ついさっきまで二人が暴れていたのがすぐに分かった。

 苦笑いを浮かべながら絨毯の続く先を見ると、階段を数段上った玉座に魔王とクロロが控えていた。私が階段の下まで来ると、魔王が手を差し伸べて私を玉座へと導いてくれた。

「それではこれより、魔王様の姫君となられる、えり様の戴冠の儀を執り行います」

 私と魔王が玉座まで上がると、進行役のクロロが儀式を始めた。途端に玉座の間は静けさに包まれる。

「では魔王様、宣誓を」

 黒い正装に身を包み、いつもより豪華で物語のダークヒーローっぽさが増した魔王は、威厳のある声で高らかに宣誓した。

「今日、この時より、我、魔界を統べし王フェンリスの姫として、この者、神谷えりを迎え入れる!我と共に魔界を支えし新しき姫君として、全身全霊をもって皆仕えるよう命ず!」

「「「「「ハッ!」」」」」

 魔王の宣誓を受け、その場にいる魔族たちは跪いて礼を取った。サラマンダーやネプチューンもちゃんと跪いており、少し前だったら考えられない光景だと密かに思ってしまった。

 次にクロロが赤いクッションに乗せられたティアラを魔王の前に差し出し、魔王は慎重にそれを受け取った。

(あのティアラは、メリィの記憶で見たやつと同じ。リアナ姫が行事とか式典の時につけてたものだ)

 私は宝石が散りばめられた綺麗な輝きを放つティアラを凝視した。ダイヤモンドのように見えるが、他にも違う宝石がはめ込まれているようだ。

 魔王は髪を一部編み込み下ろしている私の頭を一度撫でると、手に持っていたティアラをそっとつけてくれた。そしてティアラにはめ込まれている一番大きな宝石に魔王の魔力を込めた瞬間、ティアラから温かい魔力が発せられて私の体を包み込んだ。

(これは…!?もしかして、歴代魔王の魔力!?……とても温かい。優しく、包み込むような…)

 私を包み込んでいた魔力が治まると、クロロは戴冠の儀が無事終了したことを告げた。

「歴代魔王の祝福も受け、これで無事戴冠の儀は終了となります。これより一年間は姫君としての心構えや覚悟を学び、その後正式にご結婚となります。えり姫は今までの姫君と違って異世界に行き来する関係で短い期間に感じられるかもしれませんが、別に二年でも三年でも恋人期間は続けられるので心配ありませんよ。ただ一年経たないと結婚の儀が行えないというだけなので。一年後すぐに結婚しなければならないとは決まっていませんから」

「そーそー!もちろん一年後、姫君を解消するってのもアリだからネ!言わば単なる恋人だからまだ。結婚するまではまだ全然チャンスあるよネ☆」

「いやねぇよ!諦めの悪いやつだなおめぇも。いくら吸血鬼の王子でも、魔王様相手じゃ分が悪いぞ」

「あぁ。たとえキュリオと言えど、今日はさすがに空気を読んだほうがいい」

 レオンとジークフリートは蔦に巻かれたままのドラキュリオを呆れた様子で見た。

「分が悪かろうが関係ないヨ!だってボクの方が先にえりちゃんのことお気に入り認定したんだもん!抜け駆けはズルイよ!サキュアだって魔王様のこと諦めてないだろ?」

「諦めてはいないけど~。えりの味方が想像以上に多すぎるわよ!サキュアだって昔から魔王様の姫君に選ばれたかったのにィ~!」

 サキュアは両脇で目を光らせているネプチューンとメリィの間で地団駄を踏んだ。同じ魔族のサキュアではなく、人間の私を支持してくれる者が意外に多い。先代の姫君が人間だったおかげで、もうあまり人間に抵抗がないようだ。リアナ姫の時は反発する魔族も多かったようだが、今はもう人間に対する見方が変わったようだ。

「お綺麗ですわね、えり様。無事魔王様と結ばれて良かったです」

「本当に。一時はどうなることかと思ったけど、やっぱり紛うことなき両想いだったわね」

 セイラとメルフィナは視線を交わすと、楽しそうに一緒に笑い合った。

「えりさんが魔王の姫となれば、我々もこれから安心ですね、王様」

「そうだな。これからも魔族とは長く友好関係が結べるだろう。実にお似合いの二人だ」

 ロイド王は階段を下りてきた魔王と姫君に温かい拍手を送った。

「フォッフォッフォ。お嬢ちゃんが姫君になってくれたから、これから少しは休みがもらえるかのう。お嬢ちゃんは友達想いじゃから、魔王様の無茶振りを諫めてくれるじゃろ」

「何を甘えたことを言っている、じい。明日からまたきりきり働いてもらうぞ。休みなら今日一日で十分だろう」

「姫様~!助けてくれい!」

「あ、あはは。フェンリス、おじいちゃんにもっと優しくしてあげて」

「おい!俺じゃなくじいの味方をする気か?」

 顔をしかめる魔王の横で、おじいちゃんは嬉しそうにいつもの調子で笑う。

 ざわつく玉座の間の隅では、フォードがサラマンダーに猛アタックしていた。私と魔王の幸せな空気に当てられ、どうにかサラマンダーともっと親密になろうと奮闘している。妖艶な笑みを浮かべるサラマンダーも満更ではなさそうなので、いつかは上手くいくのではないかと思われる。

「お主の言う通り、黙って見守っておいて正解じゃったな。二人とも幸せそうで何よりじゃ。きっとリアナも安心していることじゃろう」

「えぇ。リアナ姫も先代様も、きっと星の輪で二人を祝福しているわ。…星の戦士とはいえ、えりは人間だから、今度こそ必ず守り通さなければ。魔王様が悲しまぬように」

 メリィの静かな決意を聞き、ネプチューンも同意して深く頷いた。

 同じ異世界人の佐久間は、私と魔王が配下たちに囲まれ笑い合っているのを、どこか羨ましそうな目をして眺めていた。隣に立つ主は、にこにこしながら側近に話しかける。

「同じ異世界人の神谷殿が幸せになって良かったでござるな。ヤマトの国に伝わる伝統の白無垢も良いが、白のドレスというのも美しいものだ。我が妹の桃華にはどちらが似合うと思う?勇斗」

「エッ!?どちらって言われても…。姫様ならどちらもお似合いになると思いますよ」

「そうか?なら今度は勇斗の番だな。桃華の花嫁姿を見るのを楽しみにしておるぞ」

「ちょ!?ちょっと凪さん!?」

 焦って顔を朱色に染める側近を見て、凪は楽しそうに笑うのだった。

 凪たちの隣では、蔦の拘束から抜け出したドラキュリオに迷惑しているニコがうんざりした顔で立っていた。

「いくら騒いでも無駄だと思うよ。僕の勘が神谷さんと君が結ばれることはないって言ってる」

「ちょっと!何てこと言うのさ神の子!神の子の予言は当たるって有名なんだから、思ってても口にしないでヨ!」

「ごめんごめん。いつまでも君がうるさいからつい。現実を叩きつけてやろうかと思って」

「ひど!やっぱりボク、神の子キライ!ねぇ~ねぇ~、えりちゃん。今からでも遅くないよ。ボクに乗り換えない?」

「貴様は全くしつこい奴だなドラキュリオ」

 いい加減ドラキュリオの絡みにうんざりし始めた魔王は、隣に立つ私を引き寄せると上を向かせて唇を奪った。突然の行動とみんなが見ている前だったので、私は目を見開いてフリーズしてしまう。配下や星の戦士たちも目を丸くして驚き、その後すぐに祝福ムードの者たちは歓声を上げた。

「あぁ~~~!!えりちゃんに何てことすんのさ!」

 絶叫して取り乱すドラキュリオに、魔王は勝ち誇ったような笑みを向けて鼻を鳴らした。

「フン。諦めの悪いお前に引導を渡してやったのだ」

「何だってぇ~!喧嘩売ってるなら受けて立つよ!」

「ちょ、ちょっとキュリオ君!今日はおめでたい日なんだから喧嘩はなしだよ!」

 ジャックは駄々をこねて先ほど蔦から解放したドラキュリオを、再度蔦でぐるぐる巻きにしていく。

 ドラキュリオが叫びながら暴れている横で、サキュアもツインテールを振り乱しながら悔しがっていた。

「魔王様の口づけがぁ~!ズルイズルイ!サキュアの方がずっと付き合い長いのに!サキュアも魔王様とチューしたぁ~い☆口づけの際に魅了をかければ、効き目が倍増してあわよくば落ちるかも♪」

「そんなことあるわけないでしょ。魔王様に魅了は効かないよ。ほらサキュアも、魔王様とお姉ちゃんの邪魔しちゃダメだよ」

 魔王の唇を狙うサキュアに、ケルは即座にツッコミを入れてサキュアを後方へと下がらせる。

 周囲の歓声や冷やかしの声を聞きながら、私は耳まで赤くして魔王に抗議の声を上げた。

「ちょっと!みんなの前でキスするなんて何考えてんの!?」

「何をそんなに怒っている。お前はもう俺の姫なのだから構わないだろう。ドラキュリオのような悪い虫がついては敵わんからな。見せつけておくに限る」

「み、見せつけないでいいから!恥ずかしいからもう人前は禁止!」

 私が照れて顔を下に向けると、魔王は優しく微笑みながら耳元に顔を近づけて囁いた。

「我が姫君よ。これからも俺の良き理解者となり、共に歩み、ハーフである俺を支えてくれ」

「…はい、もちろんです!」

 私だけに聞こえる声で囁かれた言葉に、私は満面の笑みで彼に返した。魔王の手が頬に触れ、自然とまた私たちは口づけを交わす。プロポーズのような彼の温かい言葉のおかげで、今度は人前でも恥ずかしさを感じることはなかった。

「また見せつけてる~!」

「はいはいキュリオ君、暴れないで。それじゃあ、戴冠の儀恒例の祝福の花びらを!」

 ジャックは魔力を上空に解き放つと、色取り取りの花びらを降らせた。祝福のフラワーシャワーを浴びながら、私は人生で初めてできた愛しい人との、これから訪れる幸せな未来を妄想するのだった。



 こうして蒼白い流星に導かれて始まった私の物語は、種族間を越えた絆を結んで困難を乗り越え、王子様ではなく、魔王様と結ばれるハッピーエンドで幕を閉じたのでした―――。

ここまでお読みくださった読者の皆様ありがとうございます。お楽しみいただけましたら、ブックマークやご感想、下の☆から応援をしていただけると嬉しいです。

まだ別のキャラクターのお話を読んでいなければ、ぜひそちらもお読みください。

どうぞよろしくお願いします。

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