見えないの世界
僕達は三人で義母の親族が用意してくれた家に住まわせてもらうことになった。弟は義母が引き取ることになった。静香さんと義母と弟自身の要求がすり合わさった結果だ。父親は弟を手放すのをしぶっていたが、弟の意思を聞いた途端は手のひらを返したように身を引いた。
「父さんはお前を手元に残しておきたかったが、お前は母親を選ぶんだな?いいんだな?」
父親はそう弟に凄んだという。兄弟の養育は義母が責任を持つことになった。
義母は毎日父親への怨嗟を吐いた。散々愚痴を吐いた後は後悔するらしく、決まって僕達に謝った。彼女は自分の感情をコントロールできないのだろう。
弟は始終暗い顔をしていた。口も開かなくなった。そして僕に絡んできた。義母の愚痴に付き合うのは弟の方が圧倒的に多い。、愚痴をやり過ごした弟は僕の部屋にやってくるのだった。ただ部屋のそこかしこに座ったり、僕のベッドにもぐりこんだり、僕を抱きしめたりした。一度拒否した時に彼は今にも泣きだしそうな悲しい顔をしたので僕は好きにさせていた。冷房をつけるのを忘れなければ問題なかった。
ここでの家族ごっこから僕は逃れたかった。義母が母親であろうとしたり、弟が僕に甘えてきたりすることは大きなストレスになっていた。結局は親の離婚というのは僕にとってどうでもよかった。二人と付き合わなければならないことは苦痛であった。しかし、僕はそのことを主張できなかった。あからさまに態度にだすことができなかった。そうとも。認めよう。僕は二人に同情していたのだ。それこそ僕は善良な人間であるかのように、二人に対して胸を痛めていた。僕はそれが辛かった。この出来事が今後の僕の未来を左右しそうで怖かった。




