鐘が鳴る
だいぶ遅い投稿になりました。
気長に待ってくださると助かります。
これからもよろしくお願いします。
弟は僕のことを好きらしい。その事実は僕にとってはどうでもよかった。好きにしてくださいという感じだった。ただ弟を意識するようになった。自分の受け答えや口調が素っ気ないものになるように気を配った。だが電話は以前より頻繁に僕を呼び出した。緊張している僕を他所に弟は好きなだけ話をする。ただいつもと違って、聞き取れないくらい早口になったり、涙声になったり、怒鳴ったり、一方的に電話を切ったりした。僕は弟の想いの深さについて考える時間を割かなかった。つまり極端な話だが、もし彼が怪我したり死んだりしても、僕は何にも思いはしないだろうということだ。
「どうするの?」
メアリーは楽しそうに聞いてきた。彼女は弟のことを気に入っているのかもしれない。そう思うと嫌な気持ちになった。
「どうって言われても…期待させないようにする、としかなあ…」
メアリーは何だか困ったような顔をしながら言った。
「もっと真剣に考えてあげないとダメよ。」
その後、メアリーと少し話をしてから電話を切った。自室を出て、階下に降りる。祖父母が居間で楽しそうに話をしていた。僕はこっそりと家の外に出て、扉の横に置かれている木製の椅子に腰を下ろした。時刻は17時であり薄暗い情景が広がっている。向かいの家々の明かりが辺りについている。僕は少しの間、肌寒い風に身体をさらすつもりだった。
電話が鳴った。弟からだ。僕は通話ボタンを押した。
「はい。」
「兄さん?今何してるの?」
「何もしてない。」
「家?」
「そう。」
弟は電話の向こうで安堵のため息をついた。僕は本題を切り出した。
「お前電話し過ぎ」
「うん?そうかな、迷惑?」
少し躊躇った。でも言った。
「僕忙しいんだ。正直迷惑してる。」
「そんなこと言わないでよ、傷つくじゃん。」
弟は沈黙した。僕も黙ったままだった。本気であることは伝わったと思う。
「俺宗一郎がいなくて寂しい。宗一郎の声だけでも聞きたいんだ。はじめはそれだけだったんだ。」
僕は携帯を耳から話した。弟の話を聞く代わりに、目前の灰色の景色を見つめていた。
少ししてから携帯を耳に当てた。
電話は切れていた………




