悲しみよ、こんにちは
弟の電話があった次の日、学校で、メイが絡んできた。彼女は最近とんと姿を見せていなかった。チャールズもアレクも寄ってきたので、皆で中庭でランチをとろうということになった。四人で連れ立って中庭のベンチに腰を下ろした。僕らの他にも多くの生徒が中庭で昼食を取るつもりらしい。多くの生徒で賑わっていた。
「ねえ!昨日景と話したんだけどね。貴方彼女出来たって本当?」
いきなり直球だ。チャールズとアレクは存外興味なさそうだ。
「またか。アレクといい、あいつといい、君まで!」
僕はうんざりした様子で答えた。
「だって!景が言うんだもの!彼ずっとそのことばっかりなのよ!」
メイはふくれっ面をした。
「僕もこの間聞いたけど、本当に違うみたい。」
アレクはチャールズのサンドイッチを頬張りながら言った。行儀が悪いぞ。
僕は肩をすくめるだけであえてなにも言わなかった。
「もう!私昨日疲れたんだから!景ってほんとブラコンなのよ。やんなっちゃうわ。」
僕もチャールズのサンドイッチを引っ掴んで頬張った。アレクとチャールズはびっくりした様子で僕を見つめていた。咀嚼して飲み込むんだ。うまい。
「困ったなあ。メイがなんとかしてくれよ。君なら出来る。」
。僕はサンドイッチのお礼に自分のパンをチャールズとアレクに分けながら言った。
「ふん!ちょっとがっかりだわ。彼いいと思ったんだけど……」
メイの落胆した様子を見かねて、チャールズが別の話題を振り、それで弟の話は終わった。
弟が僕に依存しているのは知っていた。仲がいい訳ではないのに、弟は何かと僕に関わろうとする。日本の家を出るときの弟の涙を思い出した。僕にしつこく電話してくる弟のことは嫌いだ。けれども、あの涙を思い出すとそうとも言えないような感情になる。この前まではどうでもよかったし考えもしなかった……




