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新しい僕
弟に電話した。一回コールが鳴って直ぐ弟は電話口に出た。
「あのさ……メイがその、お前と連絡が取りたいって、それで教えたんだけど、……」
「うん。別にいいよ。…兄さんは楽しそうだね。よかったね。」
そう言った弟の言い方に棘はなかった。
「……離婚はどうなったんだ。」
僕は本題を切り出した。
「問題ないよ。今んとこは。」
弟は黙り込んだ。弟はまだ怒ってるのだという確信が僕にはあった。あの時の弟の叫びを無視したことが尾を引いているのだ。お互い無言が続くと僕は居心地の悪さをひしひしと感じ始めた。
弟が一つため息を吐くのがきこえた。
「兄さんは…ずっとイギリスにいれるわけじゃないでしょ。」
「だから?」
「別に。兄さんはそれわかってるかなって、思っただけだよ。」
形容できない不快感がこみ上げる。なぜかは直ぐわかる。触れられたくない部分に触れられたからだ。
「俺メイと仲良くするよ。兄さんは嫌かも知れないけれど、俺の交友に口出しする権利なんて兄さんにはないもんな。」
「勝手にしろ。」
「兄さん、またね。今度は俺から電話する。」
「…ああ。」
僕は電話を切った。




