新しい僕
クリスマスが終わると、今度は年末年始で街が色めく。学校も休校となり、僕は主にメイやウィリアムの相手をして過ごしていた。
「ねえ、年末年始はどっちで過ごすの?」
メイの質問に僕は曖昧に答えた。
「メイはどっちがいい?」
「そりゃ、ここにいて欲しいけど、貴方帰らなくちゃいけないんじゃない?お父さんとお母さんが待ってるじゃない。」
「まあ、そうだね。でも大丈夫。イギリスに残るよ。」
僕はきっぱりと答えた。
「弟は?弟は待ってないの?」
突然の質問をしたのはウィリアムだ。ウィリアムは僕の弟に共感的なようだ。
「さあ、まあ、最近話したし、良いんじゃないかな?」
メイが身を乗り出して来た。
「連絡先おしえてよ!」
「なんでさ?」
僕は笑って答えた。ウィリアムは今度は黙っている。賢明な判断だ。
「知りたいじゃない!あなたの弟でしょう?ねえ、教えてよ!なんで教えてくれないの?そっちの方が変よ!」
「別に教えないわけじゃないよ。」
僕はぶっきらぼうに答えた。
「ウィリアムもそうよ!ねえ!」
「僕は、別に……」
メイの食いつきように僕は困惑した。乗り切れるかどうか分からない。教えるべきだろうか。僕の逡巡は一瞬のことだ。僕に暴言を吐いた弟を思い出したからだ。
「いいよ。教えてあげる。」
自然と答えていた。喜んだメイは携帯を取り出した。すぐにでもメールを送りたいようだ。
「名前はなんていうの?」
「Kei。」
「さ、ウィリアムこっちに来て!みんなで写真を撮るの!ママ!パパ!おじいちゃんおばあちゃーん!」
事が大きくなってしまった。僕はドキドキして成り行きを見守っていた。家族が全員集合すると、メイは写真を撮った。僕は適当に笑っておいた。撮り終えると、彼女の視線を感じた。それが鬱陶しかったので、視線に背を向けてウィリアムと話をした。
「送ったわよ!あは!楽しみね!どんな子かしら、ねえ!」
浮かれているメイを無視した。彼女が近づいて来た。祖父母が僕と彼女の方を注視している。彼女は僕のそばに腰を下ろした。僕は彼女の方を見なかった。ウィリアムの方をずっと見ていた。
「年末年始はここにいるの?」
「そのつもりです。」
「そう……景君はどうだった?」
何も答えなかった。すると彼女はそれ以上何も言ってこなかった。だが、彼女は僕の顎を掴むと自分の方に向けた。僕は彼女の真剣な眼差しに射止められてしまった。
「また、電話してあげなさい。メイでなく、貴方がしてあげなきゃ。ね?」
彼女は宥めるように言ったので、僕は頷くことしかできなかった。




