表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冬の階段  作者: とどろき
25/68

新しい僕

クリスマスが終わると、今度は年末年始で街が色めく。学校も休校となり、僕は主にメイやウィリアムの相手をして過ごしていた。

「ねえ、年末年始はどっちで過ごすの?」

メイの質問に僕は曖昧に答えた。

「メイはどっちがいい?」

「そりゃ、ここにいて欲しいけど、貴方帰らなくちゃいけないんじゃない?お父さんとお母さんが待ってるじゃない。」

「まあ、そうだね。でも大丈夫。イギリスに残るよ。」

僕はきっぱりと答えた。

「弟は?弟は待ってないの?」

突然の質問をしたのはウィリアムだ。ウィリアムは僕の弟に共感的なようだ。

「さあ、まあ、最近話したし、良いんじゃないかな?」

メイが身を乗り出して来た。

「連絡先おしえてよ!」

「なんでさ?」

僕は笑って答えた。ウィリアムは今度は黙っている。賢明な判断だ。

「知りたいじゃない!あなたの弟でしょう?ねえ、教えてよ!なんで教えてくれないの?そっちの方が変よ!」

「別に教えないわけじゃないよ。」

僕はぶっきらぼうに答えた。

「ウィリアムもそうよ!ねえ!」

「僕は、別に……」

メイの食いつきように僕は困惑した。乗り切れるかどうか分からない。教えるべきだろうか。僕の逡巡は一瞬のことだ。僕に暴言を吐いた弟を思い出したからだ。

「いいよ。教えてあげる。」

自然と答えていた。喜んだメイは携帯を取り出した。すぐにでもメールを送りたいようだ。

「名前はなんていうの?」

「Kei。」

「さ、ウィリアムこっちに来て!みんなで写真を撮るの!ママ!パパ!おじいちゃんおばあちゃーん!」

事が大きくなってしまった。僕はドキドキして成り行きを見守っていた。家族が全員集合すると、メイは写真を撮った。僕は適当に笑っておいた。撮り終えると、彼女の視線を感じた。それが鬱陶しかったので、視線に背を向けてウィリアムと話をした。

「送ったわよ!あは!楽しみね!どんな子かしら、ねえ!」

浮かれているメイを無視した。彼女が近づいて来た。祖父母が僕と彼女の方を注視している。彼女は僕のそばに腰を下ろした。僕は彼女の方を見なかった。ウィリアムの方をずっと見ていた。

「年末年始はここにいるの?」

「そのつもりです。」

「そう……景君はどうだった?」

何も答えなかった。すると彼女はそれ以上何も言ってこなかった。だが、彼女は僕の顎を掴むと自分の方に向けた。僕は彼女の真剣な眼差しに射止められてしまった。

「また、電話してあげなさい。メイでなく、貴方がしてあげなきゃ。ね?」

彼女は宥めるように言ったので、僕は頷くことしかできなかった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ