友人の話*閑話
僕は、父親の離婚や彼女の言葉や祖父母の視線、
それから弟との会話をなかったことにして、いつも通りの日々を送ることにした。そうだ。クリスマスだ。皆にプレゼントを買ってやらなくちゃいけない。メイには女の子らしいアクセサリー、ウィリアムにはブックカバーを贈ろう。彼女と祖父母にはそれぞれ手袋か靴下それか帽子を贈りたい。
学校でチャールズとアレクと話しているとメイがやってきた。
「チャールズ!きょう空いてる?」
「ダメだ、ダメだメイ!チャールズは今日予定が入ってるんだよ。」
またチャールズの取り合いが始まった。僕とチャールズは目配せをした。僕らはこそこそ話を始めた。
「チャールズも大変だな、毎日毎日騒がれちゃ。」
「はは、そうだね。恥ずかしいけどまあいいよ。ちょっぴり嬉しいからね。」
僕が怪訝な顔をすると、チャールズは僕に教えてくれた。
「アレクが嫉妬してくれるだろ?」
僕は驚いてチャールズの顔を見た。チャールズは照れ臭そうに笑った。
「ちょっと!コソコソしないで!」
「そうだぞ!二人で隠し事なんて許さないからな!」
授業が終わるとアレクとチャールズと三人でクリスマスプレゼントを買いに行った。学校の近くにいいお店があった。僕は商品の前でしかめっ面をして一生懸命選んだ。その様子をアレクが写真に撮っていて後で見せてくれた。それを見て僕ってこんな顔出来るんだなって思った。お店を出て、僕らは近くの公園で遊んだ。辺りに雪が積もっていたから、雪だるまを作ったり、雪合戦をしたりした。疲れ果てると、じゃんけんをしてそれに負けたチャールズが飲み物を買いに行った。
アレクは三人の中で一番薄着で寒そうだった。彼の鼻の頭は真っ赤だった。
「寒くないよ。慣れてるからね。」
アレクはそう言ったが、僕は心配だったので自分のマフラーをアレクの首にまいてやった。
「どうも。…今日さ、チャールズと何話してたの?」
「うん?アレクとメイに囲まれて大変だねーって話をしてたんだよ。」
「嘘つけ。そんなんだったらコソコソしなくていいじゃんか。」
「なんで?知りたいの。」
僕がそう聞いてみると、アレクは困ったような顔になった。
「あいつ、最近変わったよ。お前がきてから、なんか俺についてこなくなったし……」
「はあ。」
恐らく、チャールズはアレクの反応を試しているんだろう。僕はそう思ったけれども黙っておいた。
「聞けばいいじゃないか。最近チャールズのことが気になるんだけどなんか変わったことでもあったかって」
「変な言い方するなよ。」
アレクは苦虫を潰したような表情をした。
「聞けばいいんだよ。素直に。」
僕はアレクの鼻をつまんだ。
「おい、やめろよ。」
そうは言いつつも、アレクは僕の手を振り払ったりはしなかった。アレクの後ろにチャールズがこっそり近づいてくると、手に持ってた雪をアレクの背中に突っ込んだ。
「うわあ!冷た!」
アレクはびっくりして飛び上がり、後ろに立ってたチャールズを巻き込んで雪の上に転んだ。アレクはすぐにチャールズの上にまたがり、片手に掴んだ雪をチャールズの口の中に突っ込もうとした。チャールズはアレクの指を舐めた。
「おいおい」
僕は苦笑した。そばに置いてあった飲み物から缶コーヒーを選ぶと、それを飲みながら、二人の成り行きを見ることにした。
アレクは驚いて手を引っ込めようとしたけれど、チャールズはその手首を掴んで、アレクの指を舐め続けた。アレクはあっけにとられてしまっている。
「チャールズ、それくらいにしてやりなよ。」
僕がコーヒーを飲みながら、そう言うと、チャールズは笑い出した。呆けていたアレクも我に返ったように笑い出した。僕はそんな二人を黙って見てた。




