18/68
新しい僕
「ねえ。どうして今までイギリスに来なかったの?」
何故かって?僕があまりにも弱かったからさ。
「うーん、遠いからかなあ?君達だって来れなかったろう?」
「そっかー………」
ウィリアムは寝てしまった。僕は仰向けになって天井を見た。僕はイギリスに来たかった。それを許さなかったのは父親だ。父親が僕を手放したのは何故か。僕は頭の隅でずっと考えてた。その答えは父親が僕に耐えられなくなったからとだと思う。母親に似た僕を手元に置いておきたくなかった。僕の母親は父親にとって過去の遺物であったのだろう。母親は父親に嫌われている。僕は鼻をすすった。なんてかわいそうなんだろう。日本に馴染めずに苦しんだ母親。僕と出会えずに死んでしまった母親。そして孤独な僕。涙がこぼれた。僕はすぐにそれを拭うとウィリアムの寝顔を眺めた。僕と同じ人達だ。ここへ来て僕は救われるだろう。僕は目を閉じた。夢の中で愛しい人に会えたらというけれど、僕はそれでは満足できないだろうと思う。僕は母親を思って眠った。




