新しい僕
「誰あの子?」
僕が聞くとウィリアムが元気に答えてくれた。
「元彼のアレクサンダーだよ。メイが捨てたんだ。酷いやつだなあ、メイは!」
「子供っぽいのアレクって。」メイが僕を理解を求めるような目で見た。
「あら私はアレクは可愛くて好きなのに。メイったら見る目ないのね。」
彼女も会話に加わった。
「隣の子は誰?」僕は大柄の少年のことを目で示した。
「チャールズよ。あなたと同学年になるわ。私今彼を狙ってるの。脈ありだと思うの。」
メイは僕なんかよりずっと多感な少女のようだ。
僕らはひとしきり話すとカフェを出た。驚いたことにアレクとチャールズが僕らが出てくるのを待っていたようだ。彼らは僕に真っ直ぐ近づいてきた。チャールズに突かれてアレクが口を開いた。
「メアド教えろよ。」
「うんいいよ。」
僕はアレクとチャールズ、二人とメアドを交換した。すかさずメイも名乗り出た。
「私も!ついでにママのも登録しといてあげるからね。」
交換し終えると二人は去っていった。
家まで帰ると僕達は祖父母と皆で夕飯を食べた。一気に騒がしくなった食卓は僕をびっくりさせたけれども嬉しかった。最後に皆で写真を撮った。僕がお願いした。写真の中央にある僕は満面の笑みを浮かべている。僕は写真を保存して、皆に送っといた。その夜はメイとウィリアムが家に泊まることになった。それで二人は僕の部屋にやってきた。
「ねえ!あなたの家族の話をしてよ!」
僕は曖昧に笑った。
「なんで?」
「だって!日本にいたんでしょう!気になるじゃない!それに、弟!あなた弟がいるって!ママが言ってたわ!」
僕は上手く笑えているだろうか。答えたくない質問を突きつけられた場合、それについて話したくない場合にはどうやって切り抜ければいいんだろう。僕は日本にいる彼らをメイやウィリアムに教えたくない。イギリスまできて彼らのことを考えたくはない。
「えー、皆元気だよ。」
「それだけえ?写真はないの?」
メイがふてくされた。
「ここにくる前に携帯水につけちゃってデータが無くなったんだ。ごめんね。」
これは真っ赤な嘘だ。気にしない。
「弟って何歳?」
ウィリアムが聞いた。
「14歳だよ。」
「会ってみたいな!あなたみたいに留学にこればいいわ。どう?聞いてみてくれない?」
ごめんだ。そんなことあってはならない。
「それはないよ。日本で進学するさ。本人はその気なんだ。」
僕はきっぱり答えた。僕はこの場所に弟がいることがなぜか恐ろしいことに思われた。
「残念ね。」
「メイは男と聞けばすぐがっつくんだ。いやらしいぞ。」
「なんですってえ!」
メイが金切り声をあげてウィリアムに掴みかかった。僕はウィリアムを後ろにかばった。メイは恐ろしい形相をしている。そこでドアがノックされた。祖父が顔を出した。
「メイ、ウィリアム、もう寝なさい。」
「きいてよ!ウィリアムが!」
「メイ!おじいちゃんの言う通りだ。もう寝たら?」
メイは僕を睨んだ。
「ウィリアムの味方をしちゃあダメよ。また明日!」
彼女はいいすてると祖父のそばを通り抜けて出て行った。
「さ、ウィリアム。君も行くんだ。」
「嫌だよ!殺されるよ!」
涙声のウィリアムは僕の服を掴んで離さない。笑いながら祖父は提案した。
「じゃあ、今日はこの部屋で眠りなさい。ウィリアムは小さいから問題ないだろう。」
こういうわけでウィリアムは僕と寝ることになった。僕の隣でウィリアムは大人しく横になった。こんなに人と距離が近いのは初めてだ。ウィリアムが僕に言った。




