新しい僕
家の中については昨日説明を受けていたのですぐ終わった。だが母親の部屋については特に色々聞いた。祖父母の瞳はなみだを浮かべていた。僕は彼らの母親への愛情が僕に向けられらであろうことを予感した。
午後には彼女がやってきた。二人の子供達を連れていた。
「さあ挨拶しなさい。あなたの従兄弟のお兄さんよ。
男の子がウィリアム、女の子がメイよ。」
「こんにちわ!」「……こんにちわ。」
元気溌剌とした声を放ったのは同い年くらいの女の子でか細い声で挨拶したのが物怖じしている小さな男の子だ。僕は笑顔で挨拶をした。自己紹介が済むと僕達は皆で学校に向かった。僕の家から1時間弱程で着いた。黒塗りの格子の門を抜けるて、美しい伝統的な大きな建物の中に入った。
僕の担当教師と顔を合わせ、二、三話をして、校舎内を見学した。日本とは違う壮健な校舎だ。メイが案内役となって色々教えてくれた。ウィリアムは僕の後ろをついて回った。彼女が担当教師と話し込んでる時、メイが僕に話しかけた。
「ねえ。日本てどんなとこ?」
「そうだなあ。学校に関して言えば、こことはだいぶ違うな。ここよりずっと小さいし、学生も少ないし、休みも短い。」
「じゃあ、慣れるのが大変ね。私がいるから頼ってね。ウィリアムはダメよ。愚図だから。」
「僕は愚図じゃないよ!」
「あら!じゃあ夜トイレ行けるようになったの?怖がりさん。」
「メイ!」
ウィリアムが悲痛な声をあげた。顔が真っ赤だ。メイは勝ち誇ったような顔をしている。
「ウィリアム、大丈夫だよ。僕も君くらいの歳まで夜中にトイレへ行けなかったから。」
嘘だ。でも真っ白な嘘だ。問題ない。
「えー。そうなの!意外!そんな風に見えないのに!「ははは、僕もウィリアムと一緒だよ。」
そう、僕らは同じだ。青みがかった瞳も、彫りの深い顔立ちも、ブロンドの髪も皆同じところから産まれたんだ。
「さあ!皆帰るわよ!どう?新しい学校は?気に入ってくれたかしら?」
「ええ、ここで勉強するのが楽しみです。」
スミスという先生が僕に手を差し出した。僕は握手した。スミス先生の掌は硬く、大きかった。
「待っているよ。」
僕らは学校を出て、カフェに寄った。そこにはたくさんの少年少女達でごった返していた。
「メイ!誰だいそいつは!」
駆け寄ってきた少年はメイの腕を掴んだ。
「やだ!嫉妬しないで。従兄弟のお兄さんよ。」
少年は僕を値踏みするように上から下まで眺めた。
少年の後ろから大柄の少年が出てきた。
「やめろよ。メイの邪魔してはいけないよ。アレク。
すいません。お邪魔して。失礼します。」
半ば引きずられるようにして連れ去られた少年は、座席についても僕のことをチラチラみていた。




