新しい僕
イギリスと日本の時差はノータッチで。
夢だ。
髪の長い、僕が初めて出会った時の彼女がいる。彼女の隣には僕の母親。母親と彼女は僕に背を向けて何か楽しそうに話している。そうだ。ここはイギリスだ。僕は帰ってきたのだ。僕は母親と彼女に声をかけた。
「お母さん、ねえ、お母さん。」
僕は今の僕ではなくて、ずっと小さかった頃の僕だ。駆け寄って母さんの背中に触れると、母さんは僕の方を向いた。腕に何か抱えている。それは小さな赤ん坊だった。弟だ。僕は瞬時に悟った。理由はないけれど、弟だと思った。
赤ん坊は僕を見つめていた。小さな手が空を掴もうとしている。僕は母親を見上げた。母親は僕の写真の母親と同じで静かに微笑んでいた。
そこで彼女が僕に声かける。
「着いたわよ。起きて……」
彼女が僕を揺すっていた。到着したらしい。薄暗い。夕方だろう。
車から降りると、すぐ側に白い一軒家が立っている。これが母親の家……そして僕の家だ。
「気に入ったかしら?」
「勿論。」
「ふふふ。さあ!おじいちゃんとおばあちゃんが待ちくたびれているわ。行きましょう!」
僕は大きく頷くと、彼女と一緒に家の中に入った。すぐにいい匂いがした。
「貴方の歓迎パーティーよ。いらっしゃい。」
歓迎パーティー。
僕は胸が熱くなった。これから僕はこうした当たり前のこと一つ一つを、当たり前に受け取れるのだ。祖父母は優しい人に違いない。きっと何もかもうまくいく。
「おとうさーん、お母さーん。着いたわよー!」




