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ハーミット・ブルー  作者: 狐宮
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弟一章『ラシュティエート強襲』 Ⅱ

 弟七話 『流水疾風』



 速い、幾度もあのシアル・ランを越えた事があるのだろう。険しき山道を意に介さず、

  さしたる疲労も伺えない。ただ目的地へと、足早に私を乗せて走る。

 流石にあの白馬、レゼント程では無いだろうけれど、それでも駿馬と呼ぶに相応しい。

  これは即ち、戦の日はそう遠くない。という意味でもあるのだろう。

 この日は、夜遅くにテリゼットの村に辿り着く事が出来て、馬も休める為、ここで泊まる事にした。

  そこで、シェジェ老と再会し、先日の戦の経緯を尋ねられ、知り得る限りを伝える。

  「ほっ…十年がかりの策とな? そこまでやりおるか。ノブナガという若造は」

  「人の命をただ弄ぶ。それが、策と言えるのでしょうか…」

  「悪くいえば、戦において人は駒。駒をどう扱うかが勝敗を握るものじゃ」

 事実、兄弟の命を持って、ラムザ軍を見事に包囲せしめた。

  「今、ラシュティエートに足らぬは、象徴…影響力じゃのう」

  「象徴…確かに、あの場に強い影響力を持つ者がいれば…」

  「包囲されなかったじゃろうな。 ラムザもまだまだ未熟」

だとすれば、その場にセリスが間に合っていれば…いや、間違いなく真っ先に突っ込んだ…か。

 白い髭を蓄えた老人は、熱いお茶を一度口で啜ると一息つき、ぽつりと一言。

  「ワシの居る場所は、やはり畑では無く、戦地かのう。

    ふ…ふ。 次なる戦の知らせは届いておる。 人も足らず」

  「シェジェさん?」

柔らかな物腰、長く垂れた白い眉毛の隙間から、齢90を迎えるとは思えない、

 鋭い眼光が一瞬だけギラリと光って見えた。

  「ほっほっ…年甲斐も無く、滾りおるわ…、少年、君は今、自分のすべき事をなしなされ。

    何、心配には及ばん。 このワシが立つ」

  「え、は、はい」

一体何だったのだろう。エステシアさんとも、クリアネルさんとも違う。

 けど、何かが似ているソレがブルーを驚かせた。

  「時に少年よ。ユゼの片割れと出会ったかな?」

  「え? 姉妹剣を遺して…と、セリスから聞きましたが」

その言葉に、少々安堵の息を漏らし、その剣の事の知り得る限りを伝えた。

  「修羅の剣は知っておるな?」

  「はい、そこまではセリスから…関係が…」

  「修羅道に堕ちる、それは人を棄てると同意じゃ。

    何より、クリアスベルはそれを望まぬ」

  「シェジェさん、母をご存知なのですか!?」

慌てて椅子から腰を上げてしまったブルーに、右手を翳し、慌てるでない…と。

 君の母との面識は無い。さりとて古の聖女との面識も然り。

長い髭を弄び、少し焦らすように間を開け、乾いた唇を塗らすかのようにお茶を啜る。

  「シェジェさん…あの、続きを」

  「おお、そうじゃな。クリアスベルは争いを望まぬ。然し、強い。

    修羅を斬る剣を携えたと聞くが…振るう事なく、生涯を終えた」

  「あの、それはもしかして…」

  「十二星将 星巡り。お主がいまだ得られぬ剣技の名じゃよ?

    ユーストリアの血筋の少年」

  「な、何故それを…。そもそも、それとユゼの姉妹剣にどういう繋がりが…」

伝えるべきか、伝えざるべきか、シェジェは悩んだ末、後者を選ぶ。

 伝えずともいずれは知る。そしてユゼをも救い出してくれるじゃろう。

そう思い、老人はそれ以上、姉妹剣に関して口を開く事は無かった。

  「さて、明日はアレに師事を仰ぎに往くのじゃろう?

    早く寝て、体力を温存しておきなされ」

  「シェジェさん、まだ知りたい事が私には…!」

  「今の未熟な君が、知った所で何も出来ん。今はただ前に進むと良い」

…。ユゼの姉妹は生きている? 彼女と出会う事に何かしらの意味があり、

 それが星巡りと…判らない。情報が少なすぎて。けれど一つ判った事。

 この細剣はやはりただの剣では無かった。それが何かまでは判らないけれど、

 老人に感謝の言葉を伝え、その夜は早く寝る事にした。

暖かく燃える暖炉の傍で、椅子にもたれ掛り、壁際に立てかけられた姉妹剣を老人は見やる。

 うっすら…とではあるが、長い黒髪を右側に縛り、茶色の厚手の衣服を来た女が見えた。

  「ほ…、ワシも堕ちておったか」

そう呟くと、静かに老人は瞼を閉じた。

 そして、姉妹剣の側に立つ女は虚ろな瞳で、眠るブルーをただ見ていた。


**水の民の町『フィルフィス』**


穢れる事を拒み、ただ清らかに、世界の安寧を願い涙する。

 決して穢れる事なかれ、清く、正しく、美しく生き、滅世の涙を起こす事なかれ。

水の民の髪は青、色素が薄いのは珍しい。

 青というよりも水色、水色よりも更に淡い色をした長く美しい髪を持つ女が、

 運河の辺で、古くより種族に伝わる教えを口ずさんでいた。

ひとしきり言い終えると、彼女は下らない…と、それを否定する。

 視線を運河に落とすと、透き通るような色合いの水色に、日光の白が反射し、

 あたかも宝石の如く輝いている。それをただつまらなさそうに見ている。

彼女、クリアネルは特に剣の修練もしない。する必要も無い、必要な時に必要なぶんだけ

 剣を振るうのみ。その所為か、その体は細く、なんとも女性らしい。

水と緑に彩られた町、その風景はとても美しくあるが、彼女の目には全てが灰色に見えていた。

 色盲ではなく、ただその瞳に移る全てが汚く見えるのだ。

その所為だろうか、彼女の目が酷く冷たく見えるのは。

 そんなクリアネルの耳に聞きなれない馬の蹄の音が聞こえるが、やはり興味も無し。

 振り返る素振りすらみせず、ただ水面を見ている。

何者かが馬から下り、足音が近づき、立ち止まる。

 「ブルー…か。まだ一年は経っていない。場所も違う」

その言葉に、頷いたブルーはそれは承知していますが、今回はお願いがあり、参りました、と。

 「戦の助勢か? 他を当たれ」

 「いえ、そうではありません…」

ならば何用か、と、少なからずの興味を示した彼女が振り返り、

 目にしたのは深々と頭を下げ、跪いているブルーの姿だった。

 「意味が、判らないが…」

彼女を前にし、剣を抜く者は数多く居た。然し、跪かれたのは初めての事らしく、少し困惑する。

 「君の頭は、そんなに軽いものなのか…」

 「いえ、貴方が初めてです」

…。細い右手の人差し指を軽く曲げ、顎に宛がい不思議と首を傾げる。

 何故、私に跪く理由が…と。

 「で、初めて人に頭を下げ、跪き、何の願いがあると?」

 「私に、剣を、貴方の技を授けて下さい」

単刀直入である。これもまたクリアネルには初めての事だった。

 つまりは弟子にしろ…と。これから幾年も斬り合う仲となった筈。

 であるのに、斬る相手に師事を仰ぐ。おかしな話だ。

 「ノブナガとの一合、そこまで堪えたか」

 「…はい。今の私では…全くの無力。どうか、お願い申し上げます」

無力、確かに無力だろう。今のままでは一年後もたかが知れている。

 旅をし、ついに強敵と呼べるものはエステシアのみ、しかも余り彼女は乗り気では無い。

このままでは、ただ年老いて死ぬのでは…と、常々思っていた。

 もし本当にこの世界に私に敵う者が居ないとすれば、それはつまらない。

 探しても結局見つからず、ただ渡れぬ運河を妬ましく見ているのみの現状。

居ないのであれば、育ててみる。それもあり…か。

 「此処より暫く南に下った所に、傍迷惑な竜刃種『ヴォイド』が居る」

 「…それを私が倒す事が出来れば…でしょうか」

 「違うな。立って構え、そして、私を斬るといい」

そう言うと、ブルーを構えさせ、いつもと違う構えをとった。

 やや右前方に下げた細剣を一つの構えとし、ゆっくりとブルーに近づいてくる。

 彼は慌てて無構えから、斬りあげた。いくら剣筋は拙くとも、この至近距離で

 ブルーの方が確かに早く、確かに届いた筈だが、非常に緩やかな動きで踏み込んでいた。

傍から見れば、ゆっくりと動いたように見えたが、ブルーからしてみれば、瞬く間に視界から

 消え、心臓の位置に剣の柄を当てられていた。

 「…くっ!」

振り切った剣の柄を彼女の右肩に落とそうと、無理矢理に力の軌道を変え、柄から振り落とした。

 然し、またしても今度は彼女の剣の腹がブルーの喉を捉えている。

短い時間の間に何回殺されただろうか。全ての斬撃、打撃を息が届く程の距離で交わされては、

 一撃を寸止めされ、ついに体力と精神力が尽きたのか、剣を地に落とし、ガクリと膝をついた。

 「私の剣では無いが…。水の民に伝わる秘伝の体捌き、確か流水の理。そう、呼ばれていた筈」

そう言うと、視線を運河に移し、そこに流れる河に顔を出す岩を指差した。

 「いかに強大な物でも、水の流れに削られつづけ、いずれは形を無くす。

   教えるのは、ただの一度。それを得る為、ヴォイドに挑め」

 「流水の…理。判りました、行って参ります」

ただ一度見せただけで、会得出来る難易度のモノとは思えない。

 然し、得る為に挑め、と言う事はそこに切欠が在ると言う事なのだろうか…。

少し不安に駆られながらも頭を下げ、馬に乗ろうとした所を、歩いていけ、と止められた。

 仕方なく、歩いて運河を南下していくブルーを、不思議そうに見ているクリアネル。

 そして、その影に、心配性だろうあの人の影が…。

 「また覗きか…」

 「む? いやーバレちまったか。にしても案外優しいもんだね。

   けど、ありゃあ竜刃種じゃない。竜の純種、叫竜ヴォイドだ。

   なんで嘘を教えた?」

 「ただ叫ぶだけの鈍重な愚図だ。純種と呼ぶには弱過ぎる」

 「だからアンタの物差しであの子を計っちゃ駄目って…あーもう」

紅い蓬髪を掻きながら、心配そうに運河の南を見ているエステシアは、

 背後の強い視線を感じながら、少し肩を落とした。 

どうにもアタシは手助けさせてくれそうにないね、こりゃ…と。


**運河 南の辺**


 いつまで南下すればいいのだろうか。運河に沿うは見渡す限り平原。

  さしてそれっぽい竜刃種は見当たらない。そろそろ陽も暮れてきそうではある。

 夜になれば、竜刃種の活動が活発になり、それこそ手強い奴も這い出てくる。

  なんとか、早いところに見つけておきたい所…。

 辺りを見回すも居ない。河にいる奴なのか? と、覗き込むが居な…え。

  水面に映し出された空に、黒い影が確かに映っている。

 しかも、それが段々と大きくなり、大きな水飛沫と轟音を上げ、降り立ってきた。

 全身が灰色で、いかにも頑強そうな鱗に覆われた巨躯。

  更に目立つのは、頭が取り分け大きく閉じる事を拒むかのように口が丸く、歯が無い。

  何よりも、大きな二枚の翼を有している。

  「これ…は、純種? そんな…」

 勝てる筈が無い。 体躯ですら、以前の竜刃種に勝るとも劣らない大きさ、

  加えて純種の証である翼を有している。恐らく、ブルーが見た中では最強の竜族だった。

 それだけで手が、足が震え、思うように動かない。とてもでは無いが戦えない。戦える筈が無い。

  「無理だ、逃げ――――」

 逃げようと判断した瞬間、ヴォイドの丸い口から放たれた咆哮は水面を抉り、瞬く間にブルーに

  届き、吹き飛ばす。そのまま大きく弾き飛ばされ、地面へと強く背中を打ち付ける。

  「が…はっ」

 肺に蓋でもかかったように息が出来ない。声も出ない。手足が痺れて動かない。

  そんなブルーをいたぶろうとでも言うのか、ゆっくりと運河からあがり、水浸しの三つ指の足跡を

  つけて近づいてくる。

 なんとか呼吸を取り戻したブルーは既に冷静な判断力を失い、逃げる場所のみを探そうとするが、

  そんな彼に何の躊躇いも無く、巨大な前脚が振り下ろされた。

 辛うじて、本当に辛うじてではあるが、避ける事には成功したが、少なくとも左肩が犠牲となった。

  砕けたか、それは判らないが焼けるように熱く、痛みで頭の芯まで響いてくる。

  「ぐ…」

 避ける。そう避ける事は何とか出来た。見た目以上に動きが遅いのは理解出来た。

  だが、避けれたから何が変わるものか、あの頑強な鱗を貫く一撃を見舞えるのか?

 既に心は折れたのか、逃げ道を探す為…いや、別の方法を見出しだろうか、考える。

  停滞のロストスキルを使わず避ける事が出来た。なら使えば避けられる。

 流水の理は確か、相手に纏わり続ける『体裁き』だった筈。

  見様見真似では不可能だが、停滞を使えば、可能…!

  「…良し」

 活路が見えたのか、痛みを堪え、次の攻撃を待つが、それは竜が持つブレスに属するモノ。

  音のブレス、咆哮だった。先程はそれなりの距離だった為、大したダメージはなかった。

 然し、今度は至近距離でそれをまともに喰らう事になり、またも大きくはじきとばされる。

  更には痛めた左肩から落ち、我慢していた痛みが更に強くなり、頭の芯を何か大きな針で

  突き刺されたかのような痛みと、平衡感覚が失われたのか、視界が歪み、回る。

 然し、飛ばされた距離も距離、向こうに飛ぶ気が無い、その上で音のブレスの連続は無いようだ。

  ゆっくりと鈍重な動きの四足歩行で歩み寄ってくる。

 その間に、息を整え、静かに眼を閉じ、失った平衡感覚を取り戻そうとする。

  酷く重く、大きな足音がゆっくりと近づき、止まる。

  「…くる!」

 瞬間、ブルーは目を見開いた。そして、同時に技の開眼に成功したとも言える。

  『停滞』により、ヴォイドの右前脚の重撃が襲い来る寸前、全ての世界が止まる。

  当然、ブルーもまた動けないが、精神だけは別。僅か数瞬ではあるが全てが止まって見えた。

  そして、時は動き出し、流れるように避けつつ、懐に飛び込み、斬り払う。

 金属音にも似たソレが響き渡り、ヴォイドの灰色の鱗には傷一つ無い…。

  「やはり…硬い! だが…」

 相手の左前脚に立て続けに斬撃を見舞い、幾度も金属音が響く中に混じり、怒りの咆哮ともとれる

  それが天に向かって響き渡った。

  「ヴォァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 まるで子供の地団駄。土煙をあげ、前後左右の脚をひたすら地面に叩き付ける。

  然しブルーは臆す事なく、交わしては斬り払いを続けていた。

 一撃で確実に死を与える大槌の雨。それを疾風の如く搔い潜る様は、狂人とも呼べなくも無い。

  声も出ない、息が苦しい、だが…これなら、これならば!!

 同じ事をただひたすらに繰り返すが、相手に決定打を与えられない以上、どうするのか…。


 そんないつ終わるとも判らない戦いを、遠くから見ている二人が居た。

  赤髪の一人は目を丸くして、両手と口を開き、何て無茶苦茶な戦い方を…と心配を露にしている。

  水色の一人は、勝負、あったな…と、口元に笑みを浮かべていた。

   「あ、あぁぁああ…なんだいあの気の触れた戦い方は…」

   「ふむ。よもや流水…その先へと開眼するとは、流石は東の息子…」

   「開眼も何も…まさか、あの重撃の雨の中、弱点を探ってるってのかい?」

   「それ以外にどう見える。ふ…ふふふ、流水からの派生『流水疾風』とでも呼べば良いか」

 薄暗い笑みを浮かべるクリアネルを、嫌そうな顔をして見るエステシアは、やはり心配なようだ。

  いくら避けても、弱点を探しても、其処には無いのだから。


白い、何もかもが白い。息継ぎもしているのか判らない。

 ただ避け、纏わりつき、斬る。その繰り返す中、ついに重撃の雨が止み。

何年も聞いてなかったようにも思える、ヴォイドの咆哮が空に木霊し、翼を羽ばたかせた風圧が

 ブルーを叩く。 そして、倒しきれないとヴォイドに悟らせ、その場を去らせたのだ。

去り往くヴォイドの背を見ながら、彼は膝からガクリと地に倒れた。

 地面の冷たさが頬に気持ちよく伝わる中、彼の意識は途絶えようとした。

その僅かな時間の中で、おぼろげではあるが、不思議そうに彼を見下ろす女性の姿があったが、

 そのままブルーは意識を閉ざしてしまう。


**水の民の町 フィルフィス**


 「なぁおいネル。大丈夫なのか?」

 「ふむ…。左肩の骨が砕けただけだ…後は大した傷は無い」

 「砕けた!? なんて事だい。やはりアタシが助け…」

 「助けていれば、いずれ死んでいただろう。 だが、それを回避する術を手に入れたのだ」

左肩は時間をかければ治るだろう、いや、此処は水の民。そのぐらいの治癒なぞ造作も無い。

 それを知る彼女だから、砕けただけ、と言ったのだろうが、知らない者は大怪我だと思うわけで。

 「全く冷たい女だね。それだから浮いた話の一つも…あ、いや、なんでもない」

ジロリと、睨まれてそれ以上言葉を口にしなくなったエステシアに、ネルが一つ提案を申し出た。

 残念ながら、叫竜に勝る竜種はこの近辺に居ない。ともすれば…だ。

 「アタシかい?」

 「他に誰がいる」

僅かではあるが、確かに以前、抱いた感情はある。

 この少年と一合だけでも…と。

然し怪我人…だが、片手で純種を追い返したのも事実。

 流水疾風…、どれ程のものか、試したい、通じそうか? ノブナガに。 試さねば。

 大事な愛娘の婿になるかも知れない。そんな子をむざむざ死なせるワケにゃいかない。

 「そうだねぇ。ま、傷がもう少し癒えたらだがね」

 「水の民の治癒術、舐めてくれるな」

そう言って、二人はブルーに二通りの期待を秘めた視線を送り、クリアネルの寝室を出た。

 これより時間の許す限り、来るべき戦に備えて、二人の強者は鍛え上げる。

一人は修羅へと堕とそうと、一人は堕とさせまいと、一振りの剣を鍛え上げる。

 




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