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遑神 ーいとまがみー  作者: 慶光院 周
え?今からこの展開ってマジですか?
64/80

大迷宮!!  丙

▼ゴーレムは犠牲になったのだ!

???


「ZZZZ zzzz―――」




****



勇者(?)視点


 『ライト』の光だけを頼りに右、左、また右と落石で塞がれいない道を歩いていく。

 確かクロスはここを第五階層で最深部だと言っていた筈だ。けど今までの階層のようにどこかしらの天井に穴があって光が差し込むなんてことはない。まるで第一階層のようだ。

 詳しいことは分からないが今言えることは空気が足りていないし少し寒い。日の光が差し込まないのも原因かもしれないし、階層を下りるごとに火山から離れたていくのかもしれない。


 「おい勇者(?)様、クロス様いないのに突っ走っていいのかよ。見たところ地図も書いてないし」

 

 全員無言で足運びする作業に終止符を打ったのはチビ―――ハリスだった。

 ハリスは最後尾についたので必然的にに俺が後ろを振り向く形になる。実際に首を後ろに向けると薫に重なるように後ろから灰色の髪が見える。


 「は?地図?」

 「そうだよクロス様いないんだから適当な物にでも書いておかないと道に迷うぞ」


 聞き返すと薫の影からひょっこりと全身を出した灰色がこの先神殿ってやつを探すんだから必要だろ、と付け加えた。

 というか勇者って言った後絶対に(?)ってつけたよなこのチビ!


 「そんなのno problemデス! 拓也には必要がありマセン!」

 「え、私は必要だと思うけど……薫もそう思うでしょ?」

 「ええ、そうです。この先は甘える事が出来ない最終階層、なんでも用意出来るものはしておくべきです。無駄な体力を消費するのを防げますから」

 「………あー、おお……」


 美海とアデリーナがハリスの意見に賛成を表明した。薫も遅れて返事をする。

 佳奈は三人がハリスの味方をするように見えたのか口を尖らせる。


 「美海とアデリーナはworrywartデスね。ススメば必ずgoalはありマス!」

 「ええ、佳奈さんの言う通り進めば終わりが必ずあるわ。でも私は地図も必要だと思うわよ?」

 「フブキ?!」


 佳奈の意見にも賛成の意を見せつつ吹雪さんは美海やアデリーナの意見にも賛成をした。

 俺は―――悔しいがハリスの言う通りだと思う。俺とした事が少し情けない。始めから書いておくべきだった。


 「そんな!」

 「佳奈、吹雪さんと美海の意見に従おう。地図は確かに必要だ。これは俺が始めからやっておくべきだったんだごめんな」

 「そうデスか、ワカリマシタ! 拓也は自分のmistakeを認めるンデスネ。エライ!」


 パーティでの意見の食い違いを防ぐのも俺の仕事だ。

 俺は食い下がる佳奈の腕を掴み目を見て説得する。佳奈は少しがっかりしてはいたが俺を褒めてくれた。





 うん、やっぱり褒められることは好きだと思った。


 出来ればもっと褒めて欲しいが今までクロスの監視がある中で行動していたら俺が褒められる事あんまりなかった。

 でも今はレモーネはいないけどあいつもいないし絶好のチャンスだ。ここでクロスの力を借りずに聖剣エクスカリバーンを手に入れてやる!!!


 「よし、みんな! 少し時間はかかるかもしれないけど確実に神殿とやらを見つけるためだ。仕切りなおすぞ!!」

 「「「「ええ!! (うん!!)」」」」

 「おー……」

 「……何やってるんだあいつら?早く進めよ」


 頭の中で既に聖剣を取ったその後を思い浮かべながらみんなと改めて意気込む。なのにハリスは一人だけ参加することなく先を急いて進んでいく。

 あいつノリが悪いな。それとももう既に数々の修羅場を潜り抜けているから意気込みなんて必要ありませんとでも言いたいのか?

 やっぱムカツク!



****


 扉は岩で完全に塞がれている。しかしこの下に行くにはこの道しかない。


 『肝心なところが潰れてどうすんのさぁ! さぁ、クロの助け“焼き払え!!”』


 岩の前で立っていると後ろから新月に押されて岩へと倒れ込む。ほんの一瞬だけ浮遊感を味わう。

 咄嗟に手を前に出したから激突して歯が折れるなんてことは無かったが。


 「っ―――、危ないだろ。それに私は巨神兵じゃないぞ」

 『言っちゃあなんだけど合ってるでしょ?』

 「岩を破壊して崩落が再開したら“腐ってる。まだ早過ぎたんだ”なんて言うのか?」

 『そうしたら俺が“金色の野”に降り立ってやるよ。んで“らんらん♪らんらぁらんらん♪”してあげるよ』

 「お前が降り立つのを想像したら戦火渦巻く世界の終焉を背景に凶悪な満面の笑みを浮かべる場面しか思い浮かばん」

 『なんで?!』

 「お前実際にやっただろ。ほらこの前の新聞にも書いてあるぞ」


 【無限の胃袋】から雑用用にと放り込んでいた折り畳まれていた古新聞を取り出し大見出しを開き赤い瞳に押し付ける。

 そこにはこう書かれていた。


 「『“正義に義賊怪盗レッドアイのαと炎の紳士β、領地の乙女を貪り食う式色伯爵の屋敷をロースト!!!” αは燃え盛る屋根の上でタップダンス!!! 伯爵は後悔、領民は痛快?』


 とな。色々盛られ過ぎだが屋敷丸ごとローストしたというのは本当なんだろ?」

 『チゲーし、正確には火がちゃんと通るように巨大鉄串ぶっ刺して焼いたんだから“ロースト”じゃなくって“グリル”!! あと“タップダンス”じゃなくって燃えるということで“フラメンコ”っすよ先輩!! オ・レ!! ってね!


 いや~あの式色伯爵が焼け焦げたボロ布身にまとって茫然と燃える屋敷見てたから俺も“ザマアミロ!!” と思いまして燃える屋敷の屋根伝いにダンスしちゃいましたよ。おかげてお尻と足が熱かったけど』

「やりすぎだ。次の日


『火傷した〜! クロ慰めて!』


 って言ってたのはそのせいか。思いっきり自業自得だろ。慰めて欲しいのはその式色伯爵だろうに」

 『あっっっっっっんなやつもっと後悔すればいいんだよ! 第一あいつはクロを陥れて排除した後俺やつーちゃんをR-18禁にしようとしてたんだぞ! ハリスくんは眼中にないようだったけどこれはけしからん事態なのですぞ!』

 「分かった、分かった。理解したかから足にしがみつくのはやめろ歩き辛い」


 本当にああ言えばこう言うやつだな。そんなに文書を打つ暇があるなら離れて欲しいのだが。私は足にコアラを接着したまま動く程時間に余裕がある訳ではないし。

 コアラを力技で引き剥がし足を前に出すが進めない。もしや、と思い後ろを振り返ると新月が裾を掴んでいた。

 離せ、と腕を取り払うと今度は手を前へと差し出した。

 手を見つめていると今度は両手が差し出される。握れと言いたいらしい。仕方なく右手を掴んで握ると左手にしな垂れてくる新月。


 こいつは何がしたいんだ?




 「新月、邪魔だ」

 『えー、せっかく久しぶりに二人で歩くんだからカップル繋ぎぐらいしたいんだけど』


 邪魔だとはっきり言った筈だが逆に指が絡み付いた。所詮恋人繋ぎというやつだ。私も知識としてはあるが勿論やったことのない分類に入る。

 実際にやると邪魔でしかないんだな。しかしこの白頭はこのまま歩くらしい。


 『よーうし、久しぶりのデートだ。思いっきりいちゃつこう! ねークロぉ♡』

 「何がいちゃつこうだ。そんな暇ない、まずはこの邪魔な岩をどかすぞ」


 腕に絡みつきくねくねとする新月の頭を叩く。が本人に反省の色はこれっぽっちも見えない。実に面倒な―――ガジャン、


 『特殊スキル【エンパス】が発動しました。危険です回避して下さい』



 『へ、く、クロぉ~もしかしてなんですけど只今現在進行形で俺の嫌な感が作動してございまするぅ。これはもしかしてだけど〜♪ もしかしてだけど〜♪ 


 これぇ~ってフラグってやつなんじゃないのぉ~♪そういう事だろぉ~♪ ジャン! でござるか?』

 「ああ、団体様のお出ましだな。今回は規則正しい足音だからレベルが上がって知性も身につけてきたらしい。新月、スタシスを出せ」

 『え、ここでいいの?』


―――ッポロォン♪


 突然サングラスを取り出して装着するとギター―――の代わりか子供用のウクレレで弦をかき鳴らして熱唱し始めた新月が目を大きくして固まった。

 同時に弦に力を入れ過ぎて切れた。間抜けな音が私達の間に響く。


 「ああ。加減の練習には丁度いいレベルだ」

 『oh、練習用とは団体様にはご愁傷様ですな。チーン』



 ご愁傷様と言う割には哀れみのカケラもない、寧ろ小馬鹿にした様子で亀裂が入った通路側に合掌をしたあとスタシスが出てきた。

 金属音はこちらに向かって着々と歩を進めている。


 「Buuuuuu――――」



 足、


 腕、


 胴体、


 頭、


 順番に顔を出していく部品、装置が作動する時の独特な機械音。

 ものから見るにあの馬鹿なロボット戦隊だが大きさはこちらの方が約二倍程丈が大きいしこちらは石の槍を持っていた。ついでに出てきて早々、先頭のボスが私に向かって槍を振り下ろしてきた。


 『まじが?! それじゃあ練習を開始しまーす!』


 「『せーの、」』


 新月の声に合うようにスタシスでこちらも槍を相殺する。風圧で土と小石が舞った。


 『ウルツァイト・ナイトゴーレム 【種族】ゴーレム 【Lv】87』


ーーーーーーーーーー

 火山の残留物で作られたゴーレムのナイト。

 普通のゴーレムは最上位がオリハルコン製だがこれはレアボスなので亜種と考えるといい。一応ナイトなので普通のゴーレムより三つ程格上でちょっぴり知能が搭載されている。

ーーーーーーーーーー


 ボスゴーレムの正体はこれだった。部下を調べてみるとこちらは一般的な金鉱石ゴーレムとちょっと珍しいミスリル製ゴーレムがいた。金は倒した後溶かして延べ棒にミスリルは武器屋にでも纏めて売っておこう。


 「金になりそうないい鴨だな」

 「「「Faaa―――?!」」」

 『まじ! じゃあまた買い物行きたい!』

 「は?―――「「「Boooo―――!!! Booo―――!!」」」」


 呑気に今後のことを考えている新月に呆れた声が出てた。

 しかし部下ゴーレムが拳の雨を振り下ろしてきたのと機械音で声がかき消された。機械が警告音に変わった。

 鴨、と聞いて青ざめているのだろうか、関節から出る金属音も五月蝿い。


 風を切る速さで落ちる鋼鉄の物体を避けて腕の関節から切り取る。スタシスを振った腕を切り返して部下ゴーレム一体を縦に分けた。

 まずは一体、その調子で二体目を胴で真っ二つにすると電池の切れたガラクタへと成り下がった残骸が二つ出来上がった。


 『ね~、いい?』

 「何を呑気な」

 『お願いしますお代官様~! なにとど、なにとどぉ~~~!!』

 「分かった。この場合を一時間以内に切り抜けれるように大人しくしてくれればな」

 『いぇーい(≧▽≦)』


 答えなかったら返事を催促された。今はそれどころではないのに呑気なやつだな。なんでそんなに買い物をしたがる。

 五月蝿いので条件を付けると場違いな歓声が上がった。現金なやつだな。


 ボスゴーレムの腕に大きなアームの関節帯を分断したが三流時代劇の台詞に邪魔されて皮一枚、いやプレート一枚の宙吊り状態になった。

 失敗した。やり直してもう少し強く握って背中を向けていた部下ゴーレムの右肩から胴にかけて分断する。今度は力を入れ過ぎてさらにその前に立って石槍を構えていたもう一体にも余波で亀裂が入った。

 今度は力の入れ過ぎだ。こいつがいなかったら迷宮の脆い壁がやられていた。


 助かった、よくやったぞ部下ゴーレム。


 「あのゴーレムには助けられたな。あいつの犠牲でここの壁に亀裂が入らなかった」

 『部下ゴーレムあはれなり』


 ぼそりと聞こえた声は無視しよう。これは必要な犠牲だ。





 少々手間を取られたが一時間と数分で片付けると辺りは金属の小山がいくつも出来た。使える物を回収しても足の踏み場が無いほどだった。


 『で、どうしよっか?―――……あ! 地上の穴あったじゃん?そこまで戻ればokよ! 名付けて“リアルアリス体験!” 作戦!!!』

 「この岩をどかしたほうが早い。なんでそんな面倒なことをしたがるんだ」


 なんでそんな時間のかかりそうなことをしてるんだこのアホは。岩を退かせばいいだろうに、

 先を塞ぐ岩を特殊能力【念力】で浮かして移動させる。この間も駄々をこねるアホを置いて進もうとしたが服の裾を掴んで重石になっているのはここに一人しかいない。


 『アリス! アリス! レースとフリルいっぱいの服を着てイケメンな帽子やと未知の世界へ! ってやってみたいじゃん。んで白兎系美少年を追ってハートのSM女王の城へ……』

 「ストーカーか、トランプの兵隊(警察)に連行されろ。あとSM女王ってなんだ。鞭でも持って蝶の仮面を付けて出迎えるのか?それに帽子屋が一緒に行動するわけないだろ。原作崩壊させる気か」


 現代の美化に美化を足してさらに擬人化を溶かし込んだ女主人公一人に対して男が数人の何処でもありきなゲームが数本、脳内で再生される。

 整った顔立ちの男が何人もいるのに女主人は顔が見えないアレだ。新月が適当に買ってやっていたが本人は『甘゛っまい!!』と言ってたな。

 確かにあれは作り物だと理解していなければ矛盾する点も理解出来る。

 


 再生を打ち切るように否定すると赤い瞳はぱちぱちと目を瞬きして慌て出す。


 「え゛?! じゃ、じゃあトランプの兵隊に囲まれたところで剣を持った凛々しい帽子屋くんが再登場! ってのは?!』

 「誰がストーカーの手助けをするんだ?そんなストーカーがアリスなら帽子屋はアリスなんて放置して優雅に紅茶でも飲んでるぞ」

 『え~~~』

 「えー、じゃない。それよりも先に進むぞ。こんな下らない会話で時間を取らせてどうするんだ。行くぞ」


菓子をねだる子供のように五月蝿い新月をすくい上げて小脇に抱える。


 『え――――――――!!! 俺だってアリスになりたいぃぃぃぃぃいいいい!!』

 「ハウス!」

 『ワン!』



****


ハリス視点



 「よし、多分こっちだ! 俺の感がそう言っている!」


 分かれ道を感で決めた勇者(笑)のやつに疑いを持ちつつ最後尾でついて行く。

 何が『俺の感だ!』だと言いたいけどクロス様があいつ運だけはいいやつだって言ってたんだよなぁ。今のところ厄介な魔獣が出て無いから楽と言えばそうなんだし。


 「分かりました。しかし皆さんもお疲れではないですか?実は私もなのです。……少し休憩しません?」

 「yes……I‘m tired.拓也、休みまショウ」

 「ちょっと、佳奈さん!

 でも空気があまり無い場所だもの。クロスがやっていた魔法なら教えて貰ってるからかけ直せるけど気力の回復はしばらく待った方がいいわ」

 「そ、そうだな」


 俺が決めた方向へ進もうとしたのに三人が疲労を訴えて突然休憩が入った。先を急ぎたいが俺以外の全員が口を出したために渋々壁に背中を預けて剣を腰から外す。それを了解だと捉えたやつから順々に迷宮の床に座っていく。

 佳奈と吹雪さんはちょっと話し合っているけど元気があまり無いように見える。疲れているなら仕方ないんだけどな。





――――パシャ、


 壁にもたれ掛かって休んでいると遠くから液体が弾く音がした。でも水音じゃない。

 何か分からないその音は疲労から口数が減った俺達の間には耳をすませなくてもよく聞こえた。


 「先程の音は一体?」

 「なんでショウ?」

 「分からないわ。でも何か聞こえた」

 「何も見えないけど水かな?」


 全員が音のした方角、俺達が来た道の先に目を向けるが近場しか照らさない『ライト』では真っ暗な闇しか見えない。


 「ちょっと見て来るね」


 音に興味を持ったのかそう言って美海が立ち上がった。

 自身で『ライト』を出して暗闇へと杖を持った手を前に歩いていく。


 「美海、あまり遠くに行くなよ!」

 「分かってるー! すぐ戻るから!」


 付いて行こうかと思ったが壁に預けた身体が上手く立ち上がってくれない。俺も以外と疲れが溜まっていたらしい。

 動かない身体の代わりに口を動かすと美海は一度振り返って手を振り、来た道を戻っていった。













―――すぐ戻る。

その言葉に嘘偽りが無いと当たり前のように考えていた。しかし俺達は二つのことを理解していなかった。


ダンジョンの最下層がどれほど過酷なのか、俺達を守る安全 (クロス)がどれだけの強さを誇っていたのかを。









****

ハリス視点


 「分かってるー! すぐ戻るから!」

 『ん?これ新月さんが見てた死亡フラグってやつじゃね?』


 俺の脳は駆け出していく黒髪の女を目で追いながら葛藤していた。



~我が脳内ハリス会議~


 「俺どっちに付いてけばいいのぉぉ?!」


 脳内に置かれたテーブルの一席で一人目の俺が頭を抱えて唸り、テーブルに頭を押し付けた。


 「んなの放っておいていいんじゃないか?」


 そう言ってテーブルで頭を抱える俺 ハリスの隣に座った俺 ハリスは真逆にだらりと椅子に背中を預けて手で蚊を払うような仕草をした。完全にやる気はない、っと全身で物語っていた。


 「あの人たちは疲労してるからここにいたいんですけどあの女の人のみではいささか無理があります。あちらも心配ですね。と言っても俺 ハリスの身体は一つしかありませんが」


 そう言って答えたのはメガネをかけた俺 ハリス、優雅に足を組んでメガネをかけ直すのがさまになっている。


 「それなんだよな~」


 そう言ってやる気のないハリスが腕を組んで椅子に全体重を預けた。


 「「「う~~~ん」」」


 三人の俺 ハリスが唸り声を上げた。


 「しかし来た道戻ってるということはクロス様と新月さんと鉢合わせするのでは?」


 自身の考えを言うだけ言って黙り込む俺 ハリスに鶴の一声をかけたのは真っ白でたっぷりのちょび髭をつけた俺 ハリスだった。


 「「「はっ!!」」」


 三人の俺 ハリスがぱっと顔を上げた。


 「あ、そうだ! で、でも結構進んでるし……あ、クロス様『レーダー』持ってるから行けるかも?」


 一番弱気な俺 ハリスが指を立ててテーブルのさらに隣にあるホワイトボードを指さす。そこにはいままで無視されていたが今現在の状況が描かれていた。


「「「確かに」」」


 三人が首を縦に振った。


 「では一応『ノータス』使ってクロス様に教えるということで良いのではないでしょうか?」


 そこにさらに髭を付けた俺 ハリスが付け加えると他三人は深く頷いた。


 「では話はまとまった。これにて脳内会議を終了とする! 以上、解散!!」


 髭をつけた俺 ハリス木槌 ガベルをたたき会議場から引き戻されて現実に戻った。




 ん~~~、じゃあ『ノータス』を使っておくか!


ハリス「手間がかかるやつ多すぎ!!」

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