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遑神 ーいとまがみー  作者: 慶光院 周
え?今からこの展開ってマジですか?
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新技無双

みっかめ

 謁見の間に人が集まるとに老人の声が私まで響く。年は相当取っていて少ししわがれ声だがはっきりと聞き取れる程、明瞭としていた。

 この声の持ち主が国王だろうか? というのも私達はまだ扉の外で待機を言い渡されているのだ。しかし――――





 『特殊スキル【エンパス】が発動しました。危険です回避して下さい』

 『特殊スキル【エンパス】が発動しました。危険です回避して下さい』

 『特殊スキル【エンパス】が発動しました。危険です回避して下さい』

 『特殊スキル【エンパス】が発動しました。危険です回避して下さい』

 『特殊スキル【エンパス】が発動しました。危険です回避して下さい』


 ………………………………………

 …………………………

 ………………




 おぉ……凄い勢い、危険回避が大量に出て来た。偉く重宝するな【エンパス】は、と感動しているとあまりにも【エンパス】が出てくるので隣にいた新月、後ろに私の従者という形で控えているハリス、ツァスタバが一斉にこちらに顔を向ける。


 『クロ、【エンパス】発動しすぎじゃない? やばいよ(ここ)!! 』


 【エンパス】大量発生により音が聞こえた範囲にいた三人には丸聞こえだったらしい。

 黒、赤紫、をベースにした上半身はぴったりフィットしたジャケットにジャボ・カラーと言われる類の無駄にフリルが多い襟飾りの中心にカメオの勲章を着け。

 下は差し色としてオフホワイトのリボンを使ったパニエでふっくらと膨らみ丈が長めのツーピースドレスといった服装を着込み、何処と無くクラシカルな雰囲気を醸し出している新月が【以心伝心】を使って語りかけてきたので同じように返す。

 近くにいる人間に聞かれても困るし、けどこいつ喋らなければ見た目が随分と変わるな。


 『だな、用心するに越したことはないだろうな。アデリーナ……王女以外』

 『え?! クロがどうでいい人間の名前を覚えているだと?!! 』

 「失礼だな名前は読んでないだけでしっかりと覚えてるぞ」 

 『そのアデリーナって子何かあった? 珍しすぎじゃないのクロがギルマスみたいにしょっちゅう顔を合わせる以外の人の名前を覚えるなんて―――結構心が綺麗な子なんだぁ〜。へー、ふーん……まぁ、その子はまだ安全な人間だってのはわかったよ』

 『? 分かってもらえたなら結構だ』

 『でもさ【エンパス】大量発生ってことは対策とったほうがいいよね。例えばノバみたいに威風堂々とした演技がかえって身の安全を守ると思うよ』

 『あれを? 私にか』

 『yes!』

 『断る……と言ってもお前は聞かないのだろ?仕方がないやつだな』



 やりたくないと言ったらこいつに駄田をこねられそうなので了承すると新月はハートを飛ばして喜び、私は肩を落とす。

 これ怪我人とか嘘だろ、本当は声も出るのではと思い頰を軽く抓ってみようかと考えていると小声で召使いらしき人にもう直ぐ入れ、と言われますからお静かにと小声で注意された。扉が開き入れと奥から声がしたので素直にその言葉に従う。

 中にはヴェレンボーンと同じように騎士が絨毯の両脇に控え壁際に貴族がいる。

違うのは階の上に座るのが年老いた老人で周りの視線は私を魔族かと疑う眼差しと差別の目、ヴェレンボーンよりも無駄に金を掛けた調度品が多いことだろうか。

 目だけを動かし周辺を見渡しながら前へと進むと異世界に召喚された子供が視界の隅で私を凝視しているのが分かる。

 その脇にいたアデリーナと目が合うと今度は間髪入れずにお辞儀をされる。

 一見、第三者から見れば今の状況は煌びやかな世界を彩るスパイスの辛さのように見えるだろうが実際は辛さというより怨念溢れだす恐怖の闇鍋に肩まで浸かるようなものだ。あー……【エンパス】の危険回避が故障した。さっきの倍は鳴っている……



 「よくぞ来られた。ヴェレンボーンから我が国までの長旅ご苦労である。余がこの神聖カルットハサーズの国王様、モートル・カルットハサーズである」

 「「「あー!! お前 (あなた)さっきの「お静かに!」……」」」


 この声はさっきの声と同じだ。つまりこの老人が国王らしい。

 自己紹介が終わると国王は私を視線を合わせて口を閉じるが、王座から少し離れた所にいた勝手に部屋に侵入して来た勇者とか呼ばれている子供達が私を見てこの場に似合わない大声を上げようとしてこの場注目を集める。脇にいたアデリーナがすかさず注意に入った。

 だが国王だけは背もたれに身体を預けたまま私から視線を逸らさず動かない。私に早く自己紹介しろということだろう。

 少し癪に触るのでこちらも視線を外そうとしない国王に視線を合わせたまま話を自己紹介を始める。


 「まず、予想だにしない出来事が続いてしまったことによってここに来るのが遅くなったことを謝罪させて欲しい。……申し訳ない。

私はヴェレンボーンの国立ギルド【禁断の書】(パンドラ)の『ヴージェノヴ・ニュアレンバーグ』リーダー、Sランクのクロス・カオス

 隣が……姉のレモーネ、後ろ二人がハリス、ツァスタバだ。本日我々が呼ばれたのは確か異世界から召喚された勇者一行に関して、だったな?」

 「ああ、聡明で魔術にも明るいと聞く其方なら勇者達のいい師匠になってくれると思ってな。

 この国まで其方達を呼んだのだ。勇者達を一人前に育て上げることそれが其方達に依頼したいことなんだが……どうだ、引き受けてはくれぬか?


 勿論、選択の権利は其方達にある。が、もし引き受けてくれるのならばこちらもそれ相応の報酬を月毎に渡そうと考えておる。仮に断ったとしても帰国の船はこちらで用意するためなんの心配もない。どちらを選んでも余は寛大に受け止めよう」


 眉を下げて懇願するような眼差しで国王は私から視線を外さす言ってのけた。周りからはなんとお優しい方なのでしょう、選択の余地を与えてくださるなんてと騒めいている。

 だが私からしてみればこれの選択肢は二つに一つだ。仮に本当に帰国の船が用意されてもそれで安全に帰ることが出来るなんて思えない。そんな選択肢を出すならまず目の前でなんて言わないだろう。


 「その答えは私がここに来ている時点で答えは出ているだろう?」

 「ははは、それもそうだな。ではこの国の者を紹介していこう」


 首を傾げる動作をしながらもう既に提示された答えを述べると元から出ていた答えが私の口から出て来たことによって口元に微笑を浮かべた。上機嫌の国王は順々に簡単な人の紹介を始める。

 さらりと聞き流していると新月が、


 『あの老いぼれ国王人の良さそうな顔してるけど裏では何か画策してそうなやつだな』


 と言われて一つだけ【エンパス】の察知したものが理解出来た。こいつは一番厄介じゃないか、下手すれば国から狙われるようなことがあるかもしれない可能性があるとかどれだけ気を張り詰めなければいけないんだ。


 『【鑑定】が使われました。防止しますか?』


 新月の言葉に耳を傾けていると全く寝耳に水な思いがけないことが起きたのでするの一択で妨害する。

誰だ勝手に私のステータスを覗き見しようとしたやつは。防止なんて初めて使ったぞこんなもの#ヴェレンボーン__むこう__#でも使われたことなんて無いぞ。こんな時に誰かわかる能力があればいいのだが。


 『特殊スキル【ハッキング】を使い逆探知しますか?』


 新たな能力が出て来たな使ってみるか。



 『特殊スキル【ハッキング】が使われました。ハッキング中……ハッキングが完了しました。【鑑定】を使ったのは上座下の左脇に控える宮廷魔導師Aです』


 目を国王から外して宮廷魔導師Aといういかにも怪しんでくださいという格好をしたヨボヨボのじじいを睨みつける。

 よくもこんなことしてくれたな。悪いが新月にノバのように振舞っておけと言われているから少し痛い思いをしてもらうぞ。

 驚いてもらうためと半幅実験台として上級魔法を宮廷魔導師Aの真上に放ってみる。


 「「「ギャァァッッ――――!!!!」」」


 小声で呪文を唱えた魔法が発動した刹那、天井から生えて宮廷魔導師Aの頭スレスレまで急成長する氷柱が完成した。

 真下にいた宮廷魔導師Aはあわわわと泣き言を呟き腰を抜かして涙目で氷柱を見上げて震えている。

 周りにいた貴族達は男も女も同じような耳障りな甲高い悲鳴を上げて扉へと我一目散に走り出すが急な出来事の所為で一部の兵士達も混乱し扉は開かない。

 混乱しなかった兵士達は私を取り囲み一斉に剣や槍の矛先を向けてどういうことだと宣ってくれた。無論お前達の国民がやったとこだ。


 「なんだこの国は人が自己紹介を聞いている間にステータスを覗き見用とした挙句に剣を向けるとは、これがこの国の歓迎なのか変わっているな」


 ノバなら消し炭にしてるぞ、と心の中で付け足すと途端にこの場いいる人間全員の動きが止まる。私は何もしてないぞ。


 「それはどういうことだクロス!!」

 「お前何もしてないやつに魔法を向けるのか?! 最低だぞ!!」

 「そこの宮廷魔導師が私のステータスを覗き見みしようとしたから防止して仕返しをしただけだ。これがこの国の歓迎なのか国王」


 緊迫した声で罵倒をされ説明をも求められたのでありのまま伝えると視線は宮廷魔導師Aに降り注ぐ。

 国王が謝罪をし、勇者一行も兵士に宥められながら退出するいうなんとも言えない形で謁見は終わってしまった謁見だったが私達は客間でまた待機を言い渡されてしまった。








……まぁ大丈夫だろ。それより今のうちに【エンパス】が反応した理由を全部確認しておこう。


 『スキル【嘘発見器】を使い特殊スキル【エンパス】に引っかかった悪意を出しますか?』


 出せるだけ出せるだけ。そう念じると目の前にステータスパネルのミニバージョンが大量に出て着た。ついでに客間のカウチに身体を預けて反応の理由を流し見していると三人が寄りかかって来た。重い、


 『クロ、クロ、俺にも見せてよ!』

 「マスター私もよろしいでしょうか?」

 「一体何があってああなたんですか?」

 「ほら」


 似たり寄ったりの質問が右脇と左脇、横になった腰に抱きつく重りから聞こえたので原因が書かれたミニステータスパネルを小分けにして見せる。


 「えーっと、『ヴェレンボーンという国から来た為、人か魔族かと疑差別する視線?』

 『人間にあるまじき目の色彩に対する差別の目、綺麗だから抉り出してコレクションにしたいという腐った欲望』?


 なんだよこれ!!! 意味わかんねーし! 差別もおかしいけど綺麗だからってコレクション? 頭おかしいんじゃねーの!!」

 「『ヴェレンボーンから来るというやつがどんなボロ布を着ているのか見ものだなと思ったらなんだあれは!! あのロングコートが欲しい! 宮殿の召使いを買収して盗ませるか』


はぁ?


 こっちは『あんな体格がいいなんて思わなかった。悔しい、俺よりもでかいなんて。いつかボロ出したら恥をかかせてやる』…… 

 『あの方がどんなお人かなんてどうでもいいですがあの方が持ってるコアには興味がありますわ。暗殺させてコアを取って来させようかしら? きっと今までにない美しい色のコアが手に入るでしょうね。楽しみですわ!!』………」

 『《男はどうでもいいがあの礼装は見捨てることが出来ない!!  あの礼装は私にこそ相応しい!!! となればあの男に殺し屋をさし向けるか。

 子供はオークションへ、小さい女は顔立ちは整っているから薬で廃人にすればその手の好事家が喜んで買うだろう。残りはあの女執事だな、あれは奴隷にして私の手元に………》


シネ!!


 こっちは《あの女執事は器量持ちに見えるな……今度誘ってみるか、ありゃホイホイとついてきてくれそうだしな》……殺!!!!』




 「「『なんたんだ (ですか) これは!!!!」」』

 「まだまだあるぞ悪意は、でも一番不味いのがこの二つだ。一つは召喚された子供のリーダーなんだがこう書かれていたぞ。

 『あんなやつが俺の先生かよ?! こんなんじゃ俺が目立たないじゃないか、ボイコットして国王にあいつがサボってるって言いつけてやる! 

 そんで持ってあの男だ処刑して貰おう。それがいいや、あの男の隣にいた女の子も俺の方がかっこいいって思ってるだろうから明日から仲間に誘ってみよう』だと」

 『君みたいな基地外は死んでもお断りだ!!! よしクロ、お姉ちゃん今からカチコ……お話して来るね』

 「やめろ」

 『なんでよ!!』

 「そいつが悪い訳じゃ無い。悪いのは全部あの外道王だ」

 「「『はぁ?」」』

 「一番不味いもののもう一つがあの外道王のものでな。

 『あれが《オーロラカード》の持ち主か、あいつを洗脳したら兵器として使えそうだな。あの勇者一行に出してる料理と同じ物を出して仲間割れをさせてバラバラにしよう。

 あれには思考をそのままに深層心理を引き出すから上手く仲間割れをしてくれるだろう。もし仮にそうならなくてもイチジョウとカオルとかいうやつらと一緒に鬱病に追い込めばいい。()()とあの冒険者がいればあの魔界の魔王を魔獣の凶暴化の原因として葬ることも出来よう。そして次にヴェレンボーンの忌々しい女帝を潰せば他国など塵芥も同然。

 全ての種族の上に立ち繁栄を極めるのは我ら人間!! もうすぐだ、もうすぐ余の願いが叶うのだ。しっかり働きを見せてくれよクロス!!!』……だと」




 「……踏ミ潰ス!!! マスター暗殺の命令を、私は永く魔獣として生きてこの国の評判を人が悪く言っていたのは知っていますが人の形を得て体感出来るようになり主観的な視点を得ました。この国は滅びるべきです。いや、塵すら残らず葬ります」

 「葬るな、帰りの足が無くなる」

 「足が無くなるじゃないでしょ!! ツァスタバさんもそれはやめたげてください勇者は操られてるっぽいですし」


 部屋を出ようとするツァスタバ燕尾服の裾を掴み引き止めると両手を頭の上にあげてバツマークを作ったハリスに二人揃って怒鳴られた。

 ツァスタバはハリスに食ってかかりハリスもそれに応戦してここに大人対子供の主張戦争が勃発した。何故私まで怒られねばならないのだ。



 二人が両端で言い争っている間新月は無口だった。何かあったのか、と聞くと新月は―――私ですらあまり見たことがないような物凄い悪どい笑みを浮かべで私の膝上に腰をかけると両手を上げて『ん、』と【以心伝心】で送られて来た。


 なんのことだがわからずそのままでいると再度同じものが今度は力強く語尾にびっくりマークをつけたものが送られた。

 それでも何がしたいのかわからないので一旦降りて貰おうと両手で細い腰を持ち上げようとするとそのままの体制で身体を預けられた。満足したのかこの白は満足した顔で鼻息をあげた。

 私はチャイルドシートか、


 『よーし、まずクソ勇者くんは殺すだけで済ませてあげよう。他はもっと惨たらしい生き様をプレゼントしよう。

 女は家を破産させて罪人にする。絶対何かやってるだろうからこっちが偽装しなくても向こうから出て来るだろうしね。


 それで全員自分達が馬鹿にしていた下町や炭鉱、牢屋、見世●小屋に外れない魔力封じのアイテム作って装着させてから素っ裸にして放り入れる。頭も軽ければお尻だって軽いだろうからすぐに馴染むん(・・・)じゃない?

 男も同じもの装備させて売っても平気な内●売ってから異世界の見世●小屋に売りつけよう。そんで《ピ―――》と《パ―――――》やらせて《ドカ――――ン》してから別世界に売っぱらってス●ラッ●ビデオ行きにしてこれを仲間に《ズキュ―――ン》させて―――もがっ』

 「それ以上はやめなさい」


 満足したかと思ったらいつもの倍以上に口が悪いことを声が出ないことを良いことに語り出した新月の口を塞ぐ。

 ほとんど後の祭りだが仕方ない行動しないよりマシだ。しかし黙らすのが遅かったためツァスタバは賛同の意を見せハリスは新月のマシンガントークに引いてしまった。

 でも流石にこれは不味いだろと思ったらしくは物理的に距離を取り始めた身体を引き戻す。


 この先どうするかを決めようと言い出したので賛同する。その後残りの二人の意見も組み合わさり殺戮は回避されたがいくつかのことが決まった。



 1、まず新月の声を戻すためと言って召喚者の相手をする以外にはこの国のギルドで依頼をこなす。

 ギルドブックを見てみると特例に基づく場合は他国の冒険者でも依頼を受けることが出来るらしいので今回はその特例を使わせて貰おう。

 2、城で食事を勧められても理由をつけて食べない飲まない。もし怪しまれたら城って暗殺とかあるんでしょ? だから怖いから食べなーい、と言えと新月に五回ぐらい念を押された。

 3、怪しい場所には近づかない。子供か、

 4、寝床はゲルを使う。

 周りに結界を張り中に出入りを制限すること、しかしそれでは私達も入れないのでその度に結界を張り直すか制限を調整する。重労働だろうが穏便に済ますためには必要なことなのでここは私が頑張らねばならなくなった。



 守るべきことはこの四つだそうなので私がまず一番目を可能にするため国王に話に行くと多少渋られたが割とすんなり許可が降りた。

どうやら近衛兵の集団を取り纏める女騎士が先に報告をしていてくれたことが理解をして貰える要素になったらしい。礼を言う女騎士よ、名前は長くてどうでもいい人間に振り分けていたが今度から名前で呼んであげよう。




 久しぶりに出したゲルは外見こそあまり変わってないが屋根の上から斜めに二本、地面に刺さったペグまで随分とカラフルな国旗がついた万国旗がついていた。


 女騎士改めイルメラのお陰でずっと城に居なくても良いことになった私達はさらに自分達の身の安全を、【甘露】を作りたいので失敗した時に客間を壊したく無いので誰も来ないような場所を借りたいということを隠れ蓑にした。

 おかげで庭園の隅の隅にあるアクタイオンの茂みと言われる場所なら一部だけを使用していいという許可を貰った。


 国王自身から許可を貰った。これで寝ている間に暗殺なんてことにはならないだろう。

 だが念には念を込めてゲルにも特定以外の生物が近づけないような呪詛でも掛けておこうか、ついでに魔法による攻撃も跳ね返す魔法陣でも布に書いておくものいいだろう。

 善は急げだ、神通力を使って二つの魔法陣を布に刻む。すると魔法陣がゲルの布に模様のように張り付きとてもカラフルになった。



 「う~ん。随分と変わりましたね外見、中はどうなってるんですかね〜」

 「だな。二つの魔法陣が合わさって模様に見えるから良かったな。それよりハリス、お前驚かなくなったな」

 「この程度ならもう慣れました」

 

 飾りがついたのにも関わらずさらに変わったゲルによってハリスの心の成長が見れたことには喜んで良いのだろうか。


 『クロ、それは育ってるんじゃなくって心がアイアンハートに成りつつあるんだよ。

 それにしてもアップロードして1.5バージョンからクロがさらに手を加えて2バージョンになった的なもんでしょうかね。中はどうなっているのでしょうか?! 久々の突撃! 隣のパソコンゲーム!! 自分家だけどぉ〜〜!!』

 「お嬢様! あまり走られるとお身体が!!」


 我先にとゲルに突撃していった怪我人を追って次にツァスタバがゲルに入って行くと中から飛び上がる様な、物音と耳を劈くような悲鳴が聞こえた。ハリスと顔を見合わせるとお互いの姿勢ががっちりと合う。


 「「何があった (あったんだ――)!!」」


 二人で弾かれた様に飛び上がり第三陣、第四陣として中に走りこむ。そして中にいたのは―――


神はやはり神



8/8 一部修正しました。

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