前編
私はあの日、
目の前が真っ赤に染まった。
はずだった。
私のお姉様は、いつも私にやさしい。
お母様もお父様も好きだけど、私はお姉様が一番好きだった。
きらきらしたここは、居心地はあまり良くなかった。
でも、お姉様が好きな場所は私も好き。
お姉様はきらきらしたものが好きだった。
お姉様と私の大切な日。
嵐になった。
雨も、風も、雷も、
お姉様は、嫌いみたいだ。
だから、嫌い。
特別な日、お父様は帰ってこれないそうだ。
お姉様はお父様が好き。
つまり、お父様がそろうまで、お料理はたべない。
だから私も食べない。
後は、お父様が帰ってきて、お姉様の笑顔をみて、きらきらした毎日を過ごす。
はずだった。
でも違った。
突然の暗闇に、突然の悲鳴。
その後、暗闇でもわかる、真っ赤な、
血。
お母様の隣にすわってたんだ。
染まって当然だった。
でも、染まらなかった。
お姉様が、私をかばってくれたんだ。
そのまま手を引いて、部屋のはしまで連れて行って、机の下で、二日過ごした。
素敵な時間だった。
お姉様が私をかばってくれたこと。
守ってくれたこと。
ずっとそばにいてくれたこと。
素晴らしかった。
でも、お姉様は違ったみたい。
お父様に捨てられてあと知って、泣いていた。
私はもちろん泣いてなんかない。
だってお姉様が無事だから。
でも、お姉様が泣くほど、辛かったんだ。
悲しいんだ。悔しいんだ。
お姉様が好きだから、大好きだから、お姉様のことは手を取るようにわかる。
だから、私はその時決めたんだ、
お姉様の
「大事」
すべて奪ったやつをこの手で殺す、って。




