朝、旅立ち。
むかしむかし、あるところに国民全てが〝めがね〟をかけた〝めがねのクニ〟がありました。
そのクニでは毎年ある時期に大規模なお祭りをしていました。多くの者がいつもと違う〝めがね〟をかけて〝めがね〟の〝めがね〟による〝めがね〟のための〝めがねのクニ〟の建国を祝うお祭りです。これはそのお祭りの日に生まれながらも〝めがね〟に愛されなかった少年の物語…。
「朝よ~。起きなさい、儀式に遅刻するわよ。」
階下で母さんが僕を呼ぶ声が聞こえる。生返事を返しながらゆっくりとベッドから起き上がる。僕の名前はメガネ、市場メガネ。今日で十五歳になる高校一年生だ。着替えを終え、部屋から出て一階に降りる。
「今日の儀式が一生を左右すると言っても過言ではないだろう。いい結果を期待しているぞ。」
ダイニングに現れた僕に声をかけた人がうちの父さん。クニに仕えるお偉いさんだそうだ。ちなみに僕には妹が一人いるがどうやらもう学校へ行ってしまったようだ。
先ほどから儀式、儀式と何のことだか分からない人も多いだろう。この〝めがねのクニ〟では毎年クニをあげての建国祭がおこなわれる。この建国祭は一週間開催され、最終日にこの年に一五歳になる少年少女が主役のパーティが執り行われる。そして、そのパーティの席順を決めるのが第一日目に行われる〝神ノ眼鏡選定ノ儀〟、通称儀式である。この儀式ではパーティの席順だけでなく将来までもが決められる。儀式ではある眼鏡をかけることでその眼鏡から神託を受ける。このとき受けた神託通りに生きれば人生勝ち組になるのも夢ではないらしい。しかし、神託通りに行動しなければ人生お先真っ暗も間違いないそうだ。
「あなたは一五年前の建国祭最終日に生まれたのだから必ずいい結果が出るに違いないわ」
母さんがこういうにはわけがある。建国祭の最中、とくに最終日に生まれた者は毎年素晴らしい神託が出ている。たとえば宮仕えの女官になれたり大通りに店を構える大商人になったり…。父さんもその例の一人で国王直属騎士団〝Glasses〟の三番隊副隊長である。
「そうだといいが…。」
「あなたは本当に心配症ね。信じなさい、あなたとわたしの子よ。絶対、大丈夫!」
本人の前で言わないでくれよ…、顔が赤くなってきた。
あまり、ゆっくりしているのもアレだしそろそろ儀式が行われる祭場にでもむかうとするか。
「いってらっしゃい、お赤飯炊いて帰りを待っているわ。」
「今日は遠くからも儀式を受けるために人がやってくるからな。しっかり気をつけて…」
このままだと父さんの話は長くなりそうだしさっさと出るか。
「んじゃ、行ってくるわ!さくっといい結果出して帰ってくるぜ!」
初投稿です~。
続くかなぁ…。




