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Revival  作者: ラウル=マルクス
1/4

Massacre

2022\10\21

11:02

「こちら…… 令部…… リー…… 答せよ…」


「その無線を黙らせろ」


 壊れかけの断末魔を吐く無線を踏み潰し、地面に転がったデザートイーグルを拾い上げる。


 弾倉の中は問題なし、スライドを引いて薬室に弾丸を送り込む。


「ま、待て… 貴様… ら…」


「おやおやこれは司令官閣下…」


 こちらもまた断末魔と胃の内容物をぶちまけている、元は綺麗だったのであろう空軍の軍服に身を包んだ男が、部屋の地面を這いずり寄ってきた。


「な、何故… 貴様らこんな…」


「それではわかりませんな」


 ミラーが出来の悪い子に言い聞かせるように、柔らかな口調で司令官を窘める。


「な… なぜ…… 何故こんな事を…」


 司令官は千切れた足と手で、硬く滑らかな地面を必死に掻いて、屈み込んでいるミラーの軍用ブーツに前進していた。


「何故… か」


 ミラーは薄気味悪いまでの笑顔を掻き消し、立ち上がって死にかけの男に背を向ける。


 ミラーが何を見ているかに興味はないが、その顔の先には、数十分前まで同僚だった者達の無惨な死体、あるいは、死にかけでまだ死に切れず苦しむ死体が転がっている。


「ジョセフ答えてやってくれ。 俺は連絡してくる。 ヤコブとジェーンはついて来てくれ」


 二人の仲間を連れて隊長は司令室の奥に消え、自分と元上官だけが残った。


「ジョセフ… ジョセフ…… 何故… 何故裏切った!」


 司令室のモニターに映る基地内のカメラは、どれも元同僚の死体、そして五十人余りの部下達による残党の制圧の様子を撮っている。


「… どうせあんたは死ぬしな」


 元上官の生還への一縷の望みを砕き、一応の理由を語った。


「そんな… そんな… そんな馬鹿な… そんな馬鹿な事は… あ、あり得ん!」


「事実はそうなってる。 そして、今、ここで、あんたはこれを知った。 だから死ね」


 司令官が落ちていたタクティカルナイフを掴んだのを認め、そして左腕にその刀身が刺さる。


 司令官は一瞬笑んだ。


 デザートイーグルの銃口が、なんの躊躇いもぐらつきもなく、自分の眉間に向けられるまで。


「ミラー隊長、こちらスリーパー5-5。 基地内の制圧完了、繰り返す、基地内の制圧完了」


 力を失った司令官の死体が、司令室の血の海に沈んだ。



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