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二択

作者: 夏ノ花
掲載日:2026/02/01

家から一番近いコンビニへの道には大きな橋がある

それを自転車を漕いで渡る

左には幅の広い川、右には車通りの多い道路

どちらの方がいい死に方をできるのか

僕はそんなことを考える


“ダダダッ”

家に帰ってくると、父が玄関まで来て怒鳴る

「おい!どこ行ってたんだよ!飯の段取りしてんだから勝手に外に出るんじゃねぇよ!」

“ドンドンドンドン”

父は壁を叩きながらいつものように僕にたくさんの罵声を浴びせる


僕は自室へと入り、ベッドに腰掛ける

そして俯く

“ガチャガチャ”

“ドクッドクッドクッ”

“ズルズル”

“カチャカチャ”

“くちゃくちゃ”

“くちゃくちゃ”

“カチャカチャ”

“くちゃくちゃ”

“カチャカチャ”

リビングで食事をする家族たちの出す音に苛立ちが起こる

僕はヘッドホンをつけてスマホを操作する

僕はお気に入りプレイリストを聴く

自分以外が出す音を不快に感じる

僕のこれから先の選択肢は二つ

死んで天国に行くか、生きて地獄に居続けるか


僕は湯船へと足を入れる

僕の足をきっかけにぽちゃっ、ザブーンとお風呂内にそんな音が響く

ここなら個室だし僕がつけた換気扇の音も相まって、唯一全てから遮断できる一人時間

僕はこんな一瞬の落ち着きだけを頼りに大人になって自由を手にするまで耐えようと決心する

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