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幼い悪役令嬢に転生したら、いつの間にか国中に愛されてました  作者: 舟知賀菜湖々
第一章~お父様たちに好かれるために頑張ってます~
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カイト・リスティードさん

えっ?

 「と、友達?」


どういうこと?


「そうよ。私、伯爵令嬢ということで、自慢だけどお父様たちにとても大切にされているのよね。だから、今まであまり同世代のこと関わる機会がなかったの。カイトとも友達だけど、もっとたくさん友達が欲しいの!」


 「…でも、私と仲良くなったからってなにもいいことなんてないと思いますよ。」


 私と仲良くなればお父様から何かもらえると思っているのかもしれないけど…お父様はむしろ私を嫌っているから、意味がない。


 「そうじゃないわよ。私は純粋にあなたと友達になりたいだけなの!」


 「…本当に?」

 「えぇ。だから、友達になって!」


 「…わかりました。よろしくお願いします。」

 「あ、そうだ。せっかく友達になったんだから敬語は禁止ねー。あと、私のことはミレイユって呼んで。」


 「けっ…敬語なし!?…えっと…うん。」

 「それでいいわ!これからよろしくね。レオナ!」


 ミレイユは本当に私と友達になりたいって思ってくれてるのかな…そうだったら…嬉しいな。


 そういえば…

 「あのさ…カイトってだれ?」


 「え、カイトのこと知らないの!?カイトの家は、リスティード公爵家よ。リスティード公爵は陛下の弟君でね。国王陛下とも関わりがある位が高い家なのよ。カイトはご両親の影響で洗礼を受けて、よく活動しているの。」


 「そうだったの…私ってホントに何も知らないんだね…このまま大人になっちゃたらやばいかも…」


 「あ、でもレオナルド伯爵家には貴族社会のルールとかを示した本がたくさんあるはずよ。それを見たらいいんじゃない?」


 「なるほど…!ありがとうミレイユ。家に帰ったら探してみるわ!」




 「…じゃあそろそろカイトと合流しましょうか。」


 「うん。どこにいるの?」


 「あ、あそこよ」


 そう言ってミレイユが指さしたところにはたくさんの人だかりができていた。

 まるで人の肉団子みたいな感じの…

 あの中に突っ込むわけ?


 「ねぇミレイユ。まさかとは思うけど…あの中にカイトさんがいるの?」

 「そうよ。あの中から毎回引っ張り出さないといけないから大変なのよ…」


 ミレイユは綺麗なドレスの袖の部分をまくり上げて気合マンマン…


 「じゃ、いくわよ…レオナ…!」

 「ちょ、ちょっと待ってえぇぇぇ!」



 もう知らなーい‼‼‼‼


 私はミレイユと共に人の肉団子に向かって突進していったのでした。




 ―数十分後―


 「し、死ぬかと思った…」


 私たちは教会のだれにも見つからないすみで息を整えていた。 

 


 あの後、なすすべもなく人の中に突っ込んでいった私は、真ん中にいた「カイト」の両腕をつかんで、急いで逃げた。そして今は静かな暗がりで心を落ち着けている最中である。


「ミレイユ、これ毎回一人でしていたの…?」

「そうよ…一人だからカイトを連れ出すのも一苦労で…」


 


 「あのー…二人とも。疲れているところ悪いんだけど。そろそろ出発しないと神父様に叱られちゃうよ?」


 「……そうだった…!レオナ、急がないと神父さまは怒ったらほんとに怖いのよ!」

 ミレイユが超焦っている。


 「そうなの…?」


 神父様はいつも穏やかで優しい人で、怒ったところを見たことがないのに…


 

 「とにかく話はあとで!とりあえず急いで貧民街に行くわよ!」



 そのあと私たちは、貧民街の暗がりの路地を歩きながら自己紹介をした。


 「改めまして、ぼくはカイト・リスティード。リスティード公爵家の一人息子だよ。」


 「初めまして、レオナ・ローレンと申します。」


 「レオナさんのことは何て呼べばいいかな?」

 「レオナでいいですよ。私は特に気にしませんし…」


 

 「わかった!じゃあレオナちゃんって呼ぶね。あと、ミレイユにはため口なんだから俺にもため口でいいんだよ?」


 「あ、そうですか…?じゃあため口で話すね。」



 


 「そういえば、二人はどうやって出会ったの…?」

 前々から気になっていたこと。


 「あぁ僕たち?………えっとねー、確か両親同士が貴族社会のパーティーに行くときに僕たちもう五才だったから、一緒に連れていかれたんだよ。」


 「え、五才でパーティーに出席するのって普通なの…?」

 

 今度はミレイユが答える。

 「そうよ。まぁそれも伯爵位以上の家だけに限られるけどね。子爵家とか男爵家は十才を超えたあたりで出席するの。やっぱりレオナはパーティー行ったことない?」


 「うん。初めて聞いた…」


 お父様は私のことなんてどうでもいいと思っていたし、私の存在は一般的には知られていないから、出席させなくても大丈夫だったのかな…


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