お父様との言葉対決!
どうやら、ルーナがつけてくれた魔法のなかには人の名前が表示されるのもあるみたい。
人の名前なんて何もわかんないし、ずっと「あなた」「あの人」とか言ってたら不審がられるもんね…
「レオナルド様がお呼びです。」
あれ?これは日記帳の中にあったあの日のことかな?
「あの。変なこと聞くんですけど。今日って何月何日ですか?」
「…今日は2月8日でございます。」
「そうですか。ありがとうございます。マリーさん。」
…マリーさん、顔に言いたいことが出てるよ。
この子が名前なんて呼んできたことないのに…いったいどういう風のふきまわしかしら…
…まぁそれは置いといて。2月8日ってことは、たぶんレオナルドさんに愚痴を叩かれる日だろうな…ま、何とかなるか。
「わかりました。すぐに参ります。」
そう言えばさっきから私が言ったことが丁寧な言い方になってるんだよね…
さっきも私は
「わかった。すぐ行くね!」
ていったのに。なんか勝手に変換されてるし。ありがたいからいいけど…
レオナルドさんの部屋に行くと、金色の髪の立派な男の人が座っていた。さすが伯爵家の人。オーラが違う。目はきりっとしていて、目の色はエメラルドみたいな感じ。笑ってくれたらいいんだけど、今は思いっきり顔をしかめているから、怖さしか感じない…
…………えーっと。お互い何もしゃべらない沈黙。
こういう場合、どうすれば?
すると、勝手に体が動いた。右足を後ろに引き、ひざを曲げ、体を低くする。
「お久しぶりです。お父様。」
…完璧なお辞儀!すご!さすがルーナがかけてくれた魔法。
顔を上げると、お父様が驚いたような顔をしていた。
廊下から使用人たちの驚いた声が聞こえてくる。
…うそでしょ。あのレオナ様が…今までお二人が会った時はいつもレオナルド様が説教していらっしゃるだけだったのに…あの変わりようは何?
なるほど。今まで私はずっとお父様の言葉を聞いていただけだったのね。
「…レオナ。相変わらず醜いことだ。お前のようなものは我が家からいなくなれば良いのだ!マリアの方が生きていればよかったのに…」
わーすごい。いい加減なことばー。マリアさんが死んでしまったことは、誰のせいでもないのに…このお父さんも頭が固いなぁ…よし、この際ハッキリ言っちゃおう!
「でも私はお母様の子どもです。お母様はとても美しい方だったのでしょう?私は娘なのですから、そんなに醜くは無いと思うのですが…それでも、お父様が私を醜いというならば、仕方ありませんね…お母様に語り掛けて、慰めて頂きます。」
「グッ。……まぁお前の言うことも一理あるかもしれん…だ、だがお前のその心がマリアの美しさを引き継いだ顔に醜さを与えているのだ!」
「まぁ、私のもとの顔は美しいと認めてくださるのですね!ありがとうございます!それでは、今日から心も美しくするために、協会に行って洗礼を受けてきますわ!」
「な、なんだと!そんなことは許さぬ!」
「それでは、お父様。ごきげんよう。」
私はさっそうと部屋を退出した。




