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第3王子が亡くなり、未亡人になった私は、なぜか第1王子に溺愛される!?  作者: 赤城ハル


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第5話 新生活①

 翌日から私はクリス様のいる屋敷に住み、お世話をすることになった。


 私と一緒にジオルド王国に来た付き人達は皆、今朝にコルデア国へとち、ここには私とクリス様だけとなった。


(頑張ろう)


 これから私はクリス様の伴侶として生活を送らなくてはならない。


 例え、有無を言わなせない婚姻であっても、私は責務を果たさなくてはいけない。


 ここで暮らす以上、仕事はきちんとしないと。母も言っていました。働かざる者食うべからずと。


 私は王の執事さんから受け取ったドア鍵を使って、ドアを開ける。

 すると禍々しい気が私の体に風のように当たった。


 相変わらず呪いの力は強い。

 私は精霊の力で屋敷の呪いを薄める。


「ふう。よしっと!」


 私は屋敷の中へと進む。


 玄関先でご挨拶をすべきかもと考えましたが、クリス様は病弱の身、いらぬ手間をかけさせてはいけまいと、私は声を出さずに中へと進む。


(そういえば婚姻届というものは出されたのでしょうか?)


 この国の婚姻手続きは知りませんが、上の方々が済ませてくれたのでしょうか。

 今度、アデル様にお会いしたら聞いてみましょう。

 まず私は2階奥のクリス様の部屋に向かった。

 ドアをノックすると中から弱々しい返事があった。


「失礼します」


 そう言って私はゆっくりとドアを開けて、中に入る。

 中ではクリス様が苦しそうに起きあがろうとしていた。

 それで私は急いで、「そのままで」と告げて、早足で近づく。


「んっ、すまない。きちんと……グッ!」

「お気になさらず。さ、横になってください」

「しかし、客人を」

「私はもう客人ではありません。私は貴女様の伴侶でございます」


 私がそう告げるとクリス様は沈痛なお顔をします。


「……ティアナさん」

「そんな顔をしないでください。私は別に苦ではありませんよ。今まで1人だった分、人と一緒に暮らすのは久しぶりで毎日がわくわくです」

「そうですか。そうですね。そう言ってもらえて嬉しいです」


 クリス様はまっすぐにこちらに目を向けてきました。

 その瞳はとても綺麗で、どうしてこのような方が呪いを受けなければいけないのかと疑問に感じます。


  ◯


(次は荷解きですね)


 精霊4体のうちの1体をクリス様のもとに残して、私は部屋を出た。

 そして自室に向かい、残りの精霊3体と共に持ってきたバッグを開けて荷解きを始める。服や下着をタンスへ、その他は棚に移動させた。持ってきた荷物はそう多くないため、荷解きはすぐに終わった。

 荷解きの後、私は1階へ下り、掃除を始めようとした。

 けれど定期的に綺麗にされているため、屋敷はそれほど汚れていなかった。

 屋敷は数時間程度であれば体に支障はないが、人が寄りつかないほどの強い呪詛で満たされていた。

 それなのに最低限の出入りは行われていたのだろう。

 私はキッチンに向かい、昼食を作ろうとした。

 しかし、材料がなかった。

 どうしたものかと悩んでいたら、城から若い使用人が料理を持って訪れてきた。


「今日の昼食でございます」

「ありがとう」


 昼食を持ってきた使用人は私より2、3歳くらい若い女の子であった。彼女は玄関で配膳カートから箱を取り出し、それをダイニングテーブルへと置く。


「では、食べ終わりましたら玄関に置いてくださいませ。後で取りに伺います」


 彼女は一礼して去っていく。


「待ってください」


 私は去りく使用人を呼び止めた。呼び止められた使用人は肩を上げて驚き、振り返る。


「な、何か?」

「食事はもしかして毎日運ばれてくるのですか?」

「は、はい」


 なるほど。だから食材がなかったのか。


「少しばかり食材を置いて欲しいのですが」

「食材をですか? どうして?」

「それは……お料理を」


 ああ、そっか。

 ここでは私は嫁いだ王女様。

 扱いも王女様ということか。

 ううん。今まで疎外され、1人で家事をしていた身。

 これからどうすれば?


「お料理? ご趣味でしょうか?」

「え、ええと……その、前は自分で作っていたもので」


 どうしよう。

 ここは城の好意に甘えるべきだろうか。


「ご自身ででしょうか?」


 女の子が目を丸くして聞く。


「はい。あ、でも、そうですね。運んでくださるというのなら、それが良いですね。私のような手料理をクリス様が喜ぶとも思いませんし。先の話はお忘れください」


  ◯


「クリス様、お食事をお待ちいたしました」


 私は食事の載った盆を持って、部屋に入る。


「ありがとう」


 クリス様がベッドから上半身を起きあがらせようとするので、私は食事をテーブルに置き、クリス様の背中を支える。

 それからベッドテーブルをセットして、その上に昼食の皿を置き、水差しからコップに水を注ぐ。


「どうぞ」

「ありがとう」


 クリス様はスプーンを持ち、お粥をすくう。


「では、私はこれで」

「ティアナの食事は?」

「私はダイニングで」

「そう……よし。僕も明日からは下で食べるよ」

「え?」

「わざわざ持ってくるのも面倒でしょ?」

「いえいえ、面倒などでは……」

「ずっと寝たきりはいけないからね。なに。大丈夫」


 クリス様は問題がないと花のような笑顔で言うが、やはり心配である。


「……やっぱりわがままかな?」


 満開の花が急に萎れて、こちらが窮してしまう。


「分かりました。体調がよろしければご一緒に」

「うん。ありがとう」


 またクリス様は満開の笑顔になる。


(ううっ、そのような笑顔は反則です)


  ◯


 お昼ご飯の後、アデル様が屋敷に訪れてきました。


「こんにちは」

「ああ」


 アデル様はリビングのソファに座り、周囲に目を配り、


「本当にコルデア国の使用人は1人もいないのか?」

「はい。皆さん、帰られました」


 その言葉にアデル様は信じられんと呟き、額に左手を当てます。


「メイドから聞いたが、食材を要求したらしいな?」

「あ、はい。普段から自炊していたものでつい」

「仮にも王家の者だぞ」

「すみません」


 そうですね。王家の者が使用人を使わずに自炊なんておかしいですよね。


「謝るな。怒っているわけではない。そうだな。明日から料理担当のメイドを2人ほど寄越そう」

「いえ、そんな」

「屋敷の中は精霊の力で呪詛の力が弱まっているのだろ?」

「はい」

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