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プロローグ

 私はコルデア王国の第4王女ティアナ・ガスティーヌ。年齢は18歳。


 王女だけど妾腹しょうふくの王女であり、城から少し離れた小さな屋敷で暮らしている。


 6年前までは母と2人で暮らしていたが母が亡くなり今は1人。


 でも寂しくはない。


 私には王家としての力が受け継がれていて、その力で魔法を使ったり、精霊に手を貸してもらったりして生活をしている。だから孤独ではなかった。精霊達は善き隣人として私の話し相手になってくれたり、色々と教えてくれた。


 だから何の支障もない。


 今日も小さい光の精霊と共に家事を行う。

 精霊には私の力では持てない重い物を運んでもらったり、高いところの物を取ってもらったりしてもらう。


 そんなある日、珍しくメイド長のダフネがやって来た。ダフネは家に入らず、玄関先で立っていた。その顔には汚らしいものでも触れるような顔つきだった。


「明日、王が玉座にてお言葉を発するのでご支度の準備をお願いします」


 そう言って、ダフネは私が質問する前に去って行った。その時、埃や匂いを取るように肩と腹、腿をバシバシとはたいていた。


 どういうことだろうか?


 私は王女でありつつも妾腹の子ゆえに玉座への集まりには基本的には不参加として扱われている。


 前回は3年前に前王が亡くなった時だ。さすがにこの時は出席しないと駄目らしく、私は告別式に出席した。


 もしかして妃の身に何か不幸なことでもあったのだうか?

 もしくは王族の誰かに婚約話があるとか?


  ◯


 午前9時半頃にダフネが訪れて来た。


 私はそれなりのドレスを着用して、屋敷を出る。それなりのドレスはというのは、私はドレスさえ、自由に与えてくれないために、自前で用意しないといけない。


 今着ているドレスは精霊と一緒に仕立てたドレス。

 ダフネはそんな私のドレスを一瞥して、何か言葉を飲み込み、私に付いてくるようにと言う。


 屋敷から城へはそう遠くはない。

 それでもボロボロの馬車に乗り、城内へと向かわされる。


 それは屋敷へ向かう外の者との出入りをしっかり把握しておくためである。

 が、実際にはここへ来るのは王の執事かダフネ、あとは家庭教師の人間くらい。


 入城するとまず城の裏にある待合室へと通された。


 しばらく待合室で1人で椅子に座って待っているとダフネが戻って来て、私を玉座の間へと案内する。


 玉座の間には大臣、近衛兵、城都にいる貴族がすでにいて、私達王族は上座の後ろに横一列に並ぶ。私はその列の端。しかも人の視界に入り難い位置に立つ。


 貴族達だろうか。私の姿を見つけて、何やらコソコソと話している。

 本人達は私の耳には聴こえてないと思うだろうが、普通に聴こえる。さらに精霊の力を使えばさらによく聴こえる。

 そのコソコソ話が伝播したのか、近衛兵も話始める。

 私の話が多いが、なぜ集められたのか不明らしい。


 緊急の招集なのかな?


 そして王が妃と第1王子、執事を連れて現れた。


 王は頭に王冠、背には赤マント、手に宝石のついた杖を手にしている。

 王が玉座に座り、杖をトンと地面を叩くと、全員が頭を下げる。

 そして王がもう一度、杖を叩くと皆は頭を上げる。


「此度は急いで集まってもらい感謝する」


 やはり緊急のことらしい。しかし、妃は普通となると王子の──。


「我が娘、第4王女ティアナ・ガスティーヌが隣国ジオルド王国第3王子クリス・マークライトとの()()が決まった」


 やはり婚……()()!? 婚約ではなく婚姻。

 しかも、()!?


 この驚きは私だけでなく、一部の貴族や全近衛兵も同じだった。


 逆にそれ以外の者達──兄弟姉妹きょうだい、大臣、爵位の高い貴族には伝わっていたということ。


 ……当事者の私を差し置いて。

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