とある男が幸せになるまで
初めて執筆してみました。
何となく衝動に任せてやったので酷いものだと思います。
でも後悔はしてません!
世界は理不尽で不自由が満ちている。
国民を奴隷のように扱う政治家達。
上級国民と言われる連中の優遇。
賃金を上げられない環境なのにも関わらず、増税、物価高。
そうした腐った世の中にとある1人の男がいた。
学生時代は血の繋がらない父親からの暴力はあったが
それくらいだった。
高校卒業して社会人になったが、まあまあのブラック企業だった。
5年ほど勤めて、ようやく辞められた。
その後も職を転々としていた。
愚かにも人妻に手を出し、バレて慰謝料を払うことに。
そして給料だけじゃ間に合わず、消費者金融から借りた。
借金ができた。会社を辞めて昼夜問わず働けるようにアルバイトの掛け持ちを始めた。
不幸な人生ではあるものの、生活は苦しくても衣食住は確保できている。
それでも心は荒み、やらねばならないのにやる気が湧かない。心が折れたのである。
現在は仕事を無断で休み、空の見えるところで
何も考えず、ぼーっとする日々。
やらねばならないと分かっていても心が折れてしまって
身動きが取れない。
迷惑をかけた母、祖母に恩返しをしたくても
情けないことに何も出来ない。
とにかく金がないのである。
世の中、愛、思いやりなど、お金に変えられないものを大切にしよう。
って言う人間がいるが、そんなものは余裕のあるものが言う言葉だ。
負け犬の俺には当てはまらない。
だが、それでも、自分の大切に思う数少ない人間に対する愛は
もちろんある。恩返しもしたい。
だが、できない。やはりこの世は金が無ければ何も出来ない。
愛や思いやりも理解はできる。だがそれ以上に大切なのは金である。
ここまで長くなったが
捻くれ者のろくでなし。それが俺である。
「俺は何をやっているんだろうなぁ」
と、自己嫌悪に陥っている。自分を好きだと思ったことは
27年生きていて一度もない。
それどころか、この世で1番嫌いである。
そんな中、今日もいつもの場所に行く。
とあるダムの駐車場、空も自然もありながら
人工物であるダムと湖がある。
ここが最近のいつもの場所である。
そんなところでコンビニで買ったコーヒーを飲みながら
ぼーっとする。
ある程度時間が経つと、家に帰る。
そしていつものように過ごして、
いつものように枕元にスマートフォンでYouTubeを
流しながら寝に入る。
都市伝説系を流している。いつも通りである。
だが、ここからがいつも通りじゃないことが起こる。
目を覚ますと明るいのか暗いのか分からず上下左右も分からない空間にいた。
浮遊感はあるので、浮いてるのだと分かる。
だがそれだけである。
自分の手足ははっきりと見える。なのに周りが見えない。
先ほど、目を覚ますと言ったが、あまりにも非現実的な場所のせいで
夢だと考え直すことにした。
だが夢にしては意識がハッキリしすぎている。
足りない知識を総動員して考えていると、声が聞こえた。
「あなたは選ばれました。あなたが住む世界とは違う世界への転生者として。拒否権はありません。」
そんなことを言われた。
随分勝手なことだ。そもそも誰だコイツ。
テンプレ的には神様とかだろうけど。
話の続きを聞く。
「それに伴い、我々があなたの願いを聞くことを条件とさせていただきます。あなたに願いはありますか?」
そう言われた。
変な夢だな。
「これは夢ではありません。あなたは現在、世界の狭間にいます。」
と、言われてしまった。
はい、そうですか。と素直に言える性格ではないが
認めるほかないのでは?と考えている。
だが、それ以前に自分の生活や世界情勢を思い出し、、ふつふつとドス黒い感情が湧いてくる。
「そもそも、テメェは誰だ?神様とやらか?」
「私は、あなた方の言う神です。ですが地球周辺を管理する神ではありません。」
そんな風に言われてしまった。
だが、そんなことは知らないし、どうでもいい。
「テメェが神である以上、信用できるわけがない。
世界に干渉がぁ〜とか言うんだろ?
こんだけ、腐った世界を作り上げた神と同類だろ?
そんな奴が急に異世界に行けとか、
ふざけんのも大概にしろ、テメェ含め神はクソだ。」
思ってることを吐き出した。支離滅裂なことを言っている。
自分でもわかっている。だが止まるわけがない。
クズとアホが上に居座り、下々の人間を奴隷のように扱う。
そんなことがまかり通る世界にしている時点で神も同じだと考えられる。
神々も所詮はクズとアホの集まりだろう。
で、なければ人間なんて作らないし、そもそもこんな大半の人間を幸せにさせない世界を作るわけがない。
「地球の管理者は皆、亜神です。純粋な神はいません。なので管理者としての能力も低い。力もない。
そして人間の成り上がりなので楽しよう、娯楽がいる。その為に都合の良いように管理する。
そのようなことがまかり通るのです。」
その話を聞いて、ふと頭に浮かんだ。地球の神話上の神々は人間の成り上がり。つまり亜神。
ではその成り上がった人間たちはどこから来た?
その疑問の答えはすぐに解消した。
「一つ前の文明の権力者です。彼等が神になるためにその時代の人類を生贄として亜神になったのです。
疑問に思いませんか?現代の地球の神話は人間の行動そのものだと。
ある神話では不倫を繰り返していたり、嫉妬に狂うものもいる。
またある神話では唯一神のように他を許さない自己顕示欲の塊だったり、八百万と言われる多神の神話。
このような様々な神話があるのに、神々しい、神のようだ、と感じる人はいない。
それはなぜか、同じ生き物の延長線上のものにリスペクトはあっても神のように敬うことはありません。
その一つの例として、人間たちの作る創作物に神が扱われています。本来であればあり得ないことなのです。」
ここまで、話を聞いて何となく理解した。
純粋な神とは管理する為のシステムなのだろう。
その為なら恐らく何でもする。地球のような酷い神々の所業も自身の管理する世界のために放置する。
完璧なんて存在しない。自身の管理する世界にもバグは発生する。そのバグの対処のためのウイルスバスターの保管庫が地球なのだろう。
その時の最善の力を与えられる器を地球から持ってくる。
これが異世界転生の真実。
管理者として人間、亜神は管理する為の駒なのだろう。
そこに感情などはない。人間が無機物にたいして感情を抱かず利用するのと同じなのだ。
これが本当の神。地球の神とは次元が違う。
本当に恐ろしく、本当に美しい。
「他に疑問や不平不満はありますか?
なければ、あなたの願いを叶えます。
そして転生者として私の世界に送ります。」
この神には本当にそれだけの力があると確信させられる。
「俺の願いは、おれの家族に死ぬまで生活に困らないだけの大金を与えて欲しい。
そしておれの存在を忘れさせてほしい。
その時に大金を疑問に思わず使えるように計らって欲しい。」
「承りました。ではこのまま転生者として送ります。あなたには使命を与えます。私の世界で生きていただきます。死後は私の代理人として動いていただきます。
それまでは私の世界で自由に生きなさい。
以上です。さぁ、行きなさい。」
声や言葉では何も感じなかったが、最後に姿を現した。
声からして女性だと思ったが間違ってなかった。
現れた女神、水色の長い神に白いドレス、下品なスタイルではなく、上品さを感じるプロポーションに170センチ程の身長。そして美貌。
その女神は涙目になり、申し訳なさを隠せていない表情。
なぜそんな顔をしているのかはわからない。
分かることはただ一つ。
「なんだ、本物の神に感情など無いと思っていたけど
そんなことは無かったな。」
俺に対して申し訳ないと感じているのなら、そんなことを思うことはやめてほしい。
この先、俺がどうなろうと俺は間違いなく救われたのだ。
だから笑って見送って欲しかったなぁ、と考えながら
俺は意識失った。
転生して16年が経ち、生まれ育った孤児院から旅立た時が来た。
転生してから色々あったがここまで来た。
おれは世界を見てまわりたい。自由になりたいと思い旅立つ。
このファンタジーな世界で生きて行くだけの力を女神に与えてもらったのだ。
不安はない。準備もした。孤児院のみんなに別れの挨拶もした。
たまに帰ってくるとも伝えている。
よし、行くか。前世では自分も周りも不幸にしてきた。
家族には大金って言う幸せになる為の道具をお願いした。あの女神は間違いなく叶えてくれた。
次は俺自身だ。幸せになるために、自由に生きるために。