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「ママがはじめて宇宙人を見たのはパパだったの」
「ちょっとレイナ、宇宙人って何」
小さな頃、両親の結婚記念日のお祝いをしているときのこと。
「パパとママはどうして結婚したの?」
というボクの質問の答えがこれだった。
ぽかんとするボクに、ママは楽しそうに話し出す。
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ママはね、なんと地球の生まれなの。
ここからは何光年離れてるかちょっとわかんないけど、人類発祥の地のあの地球よ。
綺麗な海辺の街で育ったの。
海が何か?
塩水が星の表面を覆っていて、それを海って言うの。
地球の海は人類全ての根源と言っても過言ではないわ。
15歳の誕生日の寸前だったわ。
学校帰りの海岸で生まれて初めてUFOを見たの。
で、UFOの近くで、このお兄さんが海の超浅瀬で溺れてたの。
海のしょっぱさや砂浜の質感に驚いて転んで、繰り返す波に翻弄されてさらにパニックになったのよね。
ママが助けたの。
地球ではね、宇宙に行くには特別な資格と訓練がいるの。
月旅行や火星旅行はお金さえあれば行けるけど、月面都市や火星都市に住むには適性検査で適性無ければ移住も出来ないのよ。
太陽系が保護区になってて、15歳の検査で宇宙適正無ければ、人類は既に太陽系外に住んでるなんて知らないままでいるなんてね。
10人に1人くらいは適性ありの判定が出るらしいんだけど、誕生日が来て検査したら、ママの適性はSよ。
Sは宇宙覚醒者のS。
むしろなんで地球にいるってレベルの宇宙適応者なんだって。
適性検査でB以上だと月面都市の学校行かなきゃ行けないんだけど・・・。
宇宙公用語さえ下手くそでしょ?
宇宙開発や宇宙企業とかでバリバリ働くなんて、頭のいい人が行くような世界でやってけるとは到底思えなくてね。
月に連れてこられたはいいけど、困っていたらパパと再会したの。
口説き落として、パパのUFOに乗って駆け落ちすることにしたのよ。
ニコニコとママはパパの腕に抱きついた。
「新人研修の地方勤務で、地球圏の月面都市の駐在終えて、地球で休暇してたら妻が出来ましたってファンタジーだよ」
「いいじゃない」
「結婚の挨拶と別れをするため、もういちど地球に降下したんだ」
「ママの両親どのみち月に嫁に出すようなものだから、幸せになりなさいって送り出してくれたわ。特撮好きな従兄弟も絶対ネタにするって、パパのこと最後まで地球に捜査に来た宇宙人と信じて疑ってなかったし」
「太陽系外に人類が進んでいることを隠したら、宇宙人になっちゃったんだよな」
「宇宙人の誤魔化しはセーフだもの」
「いつか皆で、レイナの故郷に行きたいな。ユージンにも人類発祥の地を見せてやりたい」
仲良く微笑み合う両親は、スクリーンに地球の映像を見せてくれた。
「地球とは直接手紙も通信も出来ないのだけがさみしいかな」
明るいママのセンチメンタルに、パパはただ抱きしめていた。