【3】自由への一歩
(この体でヒルの所にいけるかしら、)
私は布団から出ようとすると華來に止められた
「妹の所に行くのかい?なら案内するよ」
「あ、ありがとうございます……」
「敬語なんて付けなくていいよ。それにソフィーちゃん足怪我してるの知らなかった?当分は歩くと支障が出るから車椅子そこにあるから持ってくるね」
私は頷き布団を退けて足を見る
(擦り傷、それに包帯が巻かれている)
血が滲みそれを自覚すると共に痛みが走る
(昨日は走り回ってたから全く知らなかった……)
華來が戻ってくる
「あ、包帯から血が滲んでるね。今交換するから待ってね」
といい。救急箱をベッドの下から取り出して包帯とテープ、塗り薬などを手に取りベッドの上に乗せる。
そして私の足から包帯をするすると取っていく
「君は魔族だから普通の回復じゃ効かなくて擦り傷とかしか治せなかったんだ」
そう言って消毒と軟膏を塗りガーゼで覆い包帯を巻いた
「これで大丈夫かな。痛みはどう?ある?」
「大丈夫。それより」
「妹のヒルちゃんだよね。それに靴、酷く汚れてたし色々ほつれていたから新しいの買って置いたんだけど気に入るといいな」
そう言って靴を取り出した。
(パーティーでしか履かせて貰えなかったブーツ。綺麗…)
「傷に触らないように紐は緩くしてあるから大丈夫だけど、車椅子から降りたりはダメだよ。転んでしまったらダメだからね」
とブーツを履かせてくれた
「ありがとう。そのこんな素敵なもの貰っていいのか、、、」
「プレゼントとして受け取っておいて、それじゃ行こっか」
私たちは部屋を後にする
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道中の屋敷の中は広くてどれも目を見張るものがあった。
(私のいた国にはないものがたくさん)
「ちょっと止めてもらえる?」
「ん?」
華來は車椅子を止める
「あれは何?水が吹き出ているわ」
「あれは噴水っていって…………なんであるのかは分からないけど、多分装飾的か何かだと思う」
「噴水。ヒルにも見せてあげたいな」
私がポツリというと華來はそうだね。といい再び歩き出す
(ヒルとは部屋が離れているのね……突然知らない所に連れてかれて怯えてないかしら)
私はそんなことを思っていると着いたようで部屋を華來がノックすると黎舞が部屋に通してくれた
部屋に入るとヒルは外の景色をぼんやりとみていたが、私たちに気づくと振り返って嬉しそうに手を振った
「お姉ちゃん!」
「ヒル!大丈夫?怪我の状態は?」
「私は大丈夫だよ」
2人でお互いに生きていることを、分ちあうように抱き合った
「ヒル、あなたは事の経緯は聞いた?」
「ううん。まだ聞いてない」
私は事の経緯を簡単に教えた
「こんなこと思っちゃいけないと思うんだけどね。ソフィーお姉ちゃんわたしね。あの人たちがいなくなって良かった。今まで暗くて寒い所に閉じ込められて辛かった。あの時助けてくれなかったらわたしは今生きていなかったかもしれない。ありがとうお姉ちゃん」
ヒルは笑顔でそう言う
「私もあなたを助けられて良かったわ。命に変えてでも助けたかったから」
「これからは何にでも縛られないの?わたし好きなように外に出て好きなように生きていいの?」
「ええ。そうよ。もう私たちを縛るものはいないの。だから一緒に幸せになろう?ね?」
「うん」
ヒルは目に涙を浮かべながら笑った
そんなふたりに華來は声をかけた
「そんな雰囲気の2人にわるいんだけどお腹すいてない?もし空いてたら街で食べていかないかい?君のお姉さんがついでに見せたいものもあるらしいしさ」
「ソフィーお姉ちゃんが私に見せたいもの?それに街のご飯屋さん!お姉ちゃん行こ!行きたい!」
「でも私たちこんな格好だよ?」
「それなら心配要らないよ。廻花が2人のためにいくつか服を用意してくれたんだ。マレーア王国とは素材とかが違うから2人が気に入ってくれるかどうかって言ってたけどね」
そう言って着物の裾から大きな箱を取り出して箱をパカッと開けた
私とヒルは驚愕する
「お姉ちゃん。この人裾から箱取り出したよ」
「驚かせたならごめんね。これも1種の魔法だよ。ま、そんなこと気にせず好きな洋服を着るといいよ。手伝いはさすがにまずいよね……部屋を出るから自由に着飾ってね」
といって黎舞を連れて部屋を出る
そんなのを気にせずに箱をゴソゴソと探るヒルは笑顔でこういう
「お姉ちゃんにはこれが似合うよ!」
ヒラヒラのワンピースで花の刺繍がほどこされている
「お姉ちゃん。わたしの選んで!」
私は箱の中からヒルに合いそうな服を選ぶ。
「ヒルにはこれかな」
私はレースがついている服をヒルに渡す
ヒルは嬉しそうに受け取りあっという間に着替えてしまった。
「お姉ちゃんが服を着るのを手伝うよ」
「ええ。よろしくね」
着替え終わると私たちは鏡の前でお互いを見てから笑顔で笑い合う
/コンコン
「着替え大丈夫かな?」
「はい。上手く着替えることが出来ました。入っても大丈夫ですよ」
「それじゃあ失礼するね」
入ってきた華來は箱を持って現れた
「これヒルちゃん用のブーツだよ。お姉ちゃんとおそろだよ」
ヒルは嬉しそうに受け取って履き始めた
「わぁぁ。こんな靴初めて履いた!ありがとう!」
「喜んで貰えて何よりだね。それじゃ行こっか!黎舞はルーファさんの所に行って、多分君がいなくて困ってる」
「分かりました」
それだけ言うとすっと黒い霧に覆われて居なくなってしまった