第二十七話 三神家の正月2025
元旦。三神家にはニューヨークからくろきの両親と埼玉からくろきの姉くろみ一家が来た。
「あなたたちは初めましてだっけ? こっちは夫のリューくん。フィンランドとのハーフ」
くろみがリビングに座り、隣の男性を紹介する。男は緑の目に金の髪で爽やかな笑顔で義理の弟になるくろきに握手を求める。
「初めまして、くろきです。リューさんはフィンランドとどこのハーフなんですか?」
何回りも大きいリューに両手で握手をする。
「くろき、ヨロシクね。フィンランドで生まれただけで親がどこの国の人かもわからないんだ。もしかしたらフィンランド人の血も入ってないかも」
「そうなんですか! いつから日本に?」
「ずっとダヨ」
リューはしゅうたちの手も掴み、一人一人に名前を聞く。しかし二秒後には名前も誰と握手をしたのかも忘れていた。
「君たちは、どこでわかれてるの?」
六つ子の周りを二周してリューが質問する。
「“どこでわかれる”? どういう……」
「さあ! しんくん、しんやくん、みんなのコートをもらってくれ」
しんとしんやは四人から冷たいコートを受け取りハンガーにかける。話を折られたしゅうとは眉をひそめてくろきを睨む。
「しゅうとくん、みんなをダイニングに案内して」
くろきはしゅうやとしやにも同じことを言い、しゅうに料理を温めるように言う。しゅうととは違いしゅうやとしやはみんなを連れてダイニングに向かう。
「お父さん何を温めるんですか?」
「雑煮をお願い」
しゅうもダイニングに行った。残されたくろきとしゅうと。玄関を開けていたからか冷たい風が流れる。
「おい親父、何か俺たちに隠してる? 出生について」
「そんなわけないだろ、君たちは大切な息子たちだ」
くろきは真顔でしゅうとをダイニングに送った。
「豪華なおせちね! どう作ったの?」
ジョージリアは目を見開く。
「作ったのはお雑煮だけ、どこで買ったか教えようか? 母さん」
「結構よ」息子の言葉にジョージリアは手を振る。「来年もあなたがお願い」
肩を竦めるくろき。三神家は毎年交代制でだれの家に集まるか決めている。来年もくろきの家となるとルール違反だ。
「来年はくろみ姉さんの家のはずだ、ただでさえ六人育てるの大変なんだよ。正月の料理は三年に一度でいい」
「あら、あなた料理しないじゃない」
「二人とも、久しぶりに集まったんだから喧嘩はやめてよ。もう」
くろみが間に入る。
「久しぶりじゃないんだ、一回みんなで帰省して」
「そうなんデスかー? じゃあ、私も毎月行きまーす」
リューが話に割り込む。
「月一ならチャーター機出すからゴルフしようか!」
くろき父、神戸がリューと話し出す。
「ちょっと! 月一は無理よ、リュー。お金もないんだし」
「たしカニ」
リューは引き下がる。
「旅行費はうちが全額出すよ、どこでゴルフする?」
リューと神戸はまた話し出す。
「もちろん、くろみも帰ってくるのよね?」
みんなの視線がくろみに集まる。
「……滞在中カード貰えるなら行く」
くろみは顔を顰めながら答えた。
「もちろん! カードくらいどうってことないよ!」
「そう来なくっちゃ! くろみとのショッピングが楽しみだわ!」
「僕もゴルフたのしみデース」
くろきはくろみの作戦に感心しながらもう一つの机に視線を向ける。六つ子たちは大きいコタツでおせちを取り合う。
「あー、しん兄さんが僕の黒豆とったー!」
「黒豆にお前のとかないから! これ俺の皿だから!」
「あれ、エビって六つだったよね? だれか二個食べてない?」
「エビ最初から五つだったよ。でも俺も食べてない」
「誰だよ、二つ食べた野郎!」
「かまぼこ美味し~!」
「しゅうや兄さん、それは伊達巻だよ。紅白かまぼこはこっち」
「そんな違わないからスルーして?」
六人はお雑煮の餅をだれが長く伸ばせるかの対決を始める。
“何か俺たちに隠してる?”
くろきは、いつ六人に本当のことを言おうか悩む。
でも今は問題を先送りにして笑顔でコタツに向かう。
「みんなして、なーにしてんだ」
次回 do come again!




