表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/36

第二十一話 キケンなジョージ

「起きました? お父さん。おはようございます」


 朝。目を開けたら視界全てをしゅうが占領していた。


「おはよう、しゅうくん。いつ起きたんだい?」

「僕も今起きました」


 しゅうはくろきの上から移動してベッドに横たわる。


「また寝るの?」

「だめですか? 日曜日なのに」


 くろきは起き上がってベッドから出る。


「しゅうくんも起きなよ。ワッフル一緒に作んない?」

「! 起きます」


 しゅうがベッドから降りようとしたら床に落ちてしまった。


「大丈夫!? しゅうくん」

「いてて。大丈夫です、けど足に力が入んなくて」


 くろきはしゅうを山賊抱っこして一回のソファーまで運んだ。


「ありがとうございます。力持ち」

「朝ご飯作るからここで待っててね」

「はーい」


 くろきは一人でワッフルを作る。



「はいできたよ」


 ソファーの前の机にしゅうとくろき分のお皿を置く。


「おいしそう! ありがとうございます」


 しゅうはワッフルを頬張る。


「おいしい」

「よかった」


 くろきも食べる。


「ん、そういえばなんで今日みんないないんですか?」

「大会でしょ? しゅうくんとしゅうとくんが落ちたやつ。しゅうとくんは応援に行ってるし」

「あー、バイオリン……」


 しゅうの顔が曇る。


「まあ、しゅうくんはピアノコンクールで賞が取れたんだから」


 しゅうの顔色が戻った。


「うふふん」


 二人は朝のバラエティー番組を見る。


「幸せだな。しゅうくんとこういう時間が過ごせるって」


 くろきはお皿を机に置いてしゅうを見つめる。

 しゅうもお皿を机に置いた。


 二人は見つめ合う。そして唇を……


 ピンポーン

 家のチャイムが鳴った。


「はーい」


 くろきは重い足取りでドアを開ける。


 そこには三十代後半ぐらいの男性が立っていた。



「だーかーらー! うちの妻がこいつに襲われたって言うんですよ!」


 しゅうはソファーから突然家に来た三十代くらいの男性、二十代後半ぐらいの色気のある女性。そしてしゅうの弟、四男しゅうとを見る。


「え? 彼女がうちのしゅうとに?」

「何回もそう言ってるでしょう!」


 くろきは戸惑う。

 ……しゅうとが人妻を襲った?

 当のしゅうとはというと下を向いて丸くなっている。


「大体、親の教育が悪いからそうなるんだ! 子供は高校生ぐらいでお前が二十歳ぐらいってことはどうせデキ婚だろ! 蛙の子は蛙だな!」


 実の親子じゃないんですよ、なんて言える空気ではないのでくろきは素直に頭を下げる。


「本当に申し訳ありません」


 男はしゅうとを見て「お前も謝れよ! お前が悪いんだろ!」と怒鳴る。


 くろきは急いでしゅうとの頭を下げさせる。


「申し訳ございません。責任は取りますので……」


 くろきはしゅうとに謝るように言うがしゅうとは口を開かなかった。

 男は妻を見て歯軋りをする。


「お前らなんかに責任取れんのか! 慰謝料払えよ!」


 くろきは「分かりました」と言って二階に上がる。

 男は「は?」と階段を上るくろきを見る。


 くろきは大量の札束を持って戻ってきた。

 しゅうもしゅうとも目を輝かせる。

 男と女は目を見開く。


「どうぞ。お持ち帰りください。一千万です」

「い、いいいい、一千万!?」


 男は腰が抜けたのか椅子と共に後ろに転んでしまった。女は固まっている。


「こちらのカバンにいれますね。道中お気を付けください。一キロありますので」


 くろきは男にカバンを持たせる。男は女を置いて家を飛び出た。女は急いで追いかけに家を出る。


「お父さん、お金で解決するなんて」


 しゅうは苦笑する。


「ごめんなさい。俺が……」


 しゅうとは泣き出してしまった。


「しゅうとくん。あの人を襲ったのかい」


 しゅうとは泣きながら首を横に振る。


「襲ってないの?」

「はい。俺、女性に誘われて……。家に連れていかれて。部屋に入って彼女が裸になったら急に男が出てきて……」


 くろきは少し考える。

 ……騙されたか? いやいやいや。


「しゅうと悪くないじゃん!」


 しゅうはソファーから叫ぶ。


「いや、しゅうとくんは悪かったよ」


 くろきの言葉にしゅうととしゅうは目を見開く。


「誘われたからって安易について行かないで。怖い人だったらどうするの? 犯罪に巻き込まれるかもしれないよ?」


 しゅうとは涙が抑えられない。


「あと、高校生なんだからまだそういうことは……」


 くろきはしゅうと目が合った。しゅうは首を傾げる。


「あ、いや、駄目って訳じゃないよ? でも、ほどほどにね。そして相手は選んでね」


 しゅうとは頷いた。


「わかりました。気を付けます」


 くろきは反省した様子のしゅうとをソファーに座らせる。


「三人でご飯食べようか」



「あ、そういえばなんでソファーで朝ごはん食べてるの? 親父おやじ、こういうの嫌いじゃなったっけ」


 しゅうとくろきは顔を合わせる。


「あ、気分が変わってね」


 くろきは笑顔を作る。


「そうなんだ。じゃあこれから俺がここでめし食っても何も言わないんだ」


 しゅうとは胸を撫で下ろした。


 くろきはため息を吐いた。

 情事、危険すぎ。

次回 舐めるなP.T.A.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ