第十四話 嘘とNY 前編
「あれ、みんないない」
家に帰ったくろきは母しかいないリビングを見渡す。
「あの子たちは散歩よ。わたしはもう行くから留守番お願いね。くろき」
エレベーターに乗る母にくろきは返事をしながら手を振った。
家に誰もいない。そしてくろきは話したい相手がいる。でも留守番を頼まれた。
くろきはメールを打つ。彼女に。
「みんなは? いないの?」
「うん。散歩だって」
部屋を見渡す彼女。くろきはソファーに座って隣を空ける。彼女はそこに座った。
「話ってなに? 家に呼んだってことは重要なことよね」
くろきの太ももを触りながら彼女は静かに聞く。くろきは太ももの手を退けながら口を開いた。
「ちょうどみんな揃ってるんだし。君との関係をみんなに言おうと思って」
「え? 言うって……わたしのこと? もう? まだ彼が見つかってないわ」
くろきに怒り気味に反論する彼女はサングラスを外す。
「これ以上騙すのは嫌だよ。事情を話せばあの子たちも……」
「わかってくれる?」
「うん。わかってくれるさ。物分かりの良い子たちだから」
彼女はくろきの言葉に少し悩む。そして顔を上げた。
「わかった。話す。話すわ。みんなに」
彼女の決断にくろきは笑って頬に口づけをする。
彼女は笑ってくろきに抱きついた。
「まず、わたしは普通の服に着替えてくるね。変な女だって思われたら嫌だから」
「その服と髪でも良いと思うよ」
「髪も直してくる」
彼女はそう言ってエレベーターのボタンを押す。くろきは彼女に着いていく。
「一緒に行くよ」
エレベーターに乗ると彼女はくろきにまた抱きつく。くろきは彼女を引き剥がしてボタンを押す。
「わたしのこと嫌いになった?」
「いいや」
彼女はくろきを見つめる。くろきも彼女を見つめる。
「愛してる?」
「もちろん」
ピーン
エレベーターが着いた。
「やっとかよ」
「そんなに待ってないでしょ?」
しゃがんでいたしんにしゅうが突っ込む。
そしてエレベーターの扉が開いた。
そこには情熱的なキスをしているくろきと彼女がいた。
次回 噓とNY 後編




