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第十二話 NY 後編

「まぁ、そうだったの。みんなだけでここまで来れるなんてすごいわ」

「私には連絡してくれても良かったぞ。くろきも、しんたちも」


 くろきの母とくろきの父はソファーに座りながら喋る。

 くろきの父、三神 神戸かみとはくろきとそっくりの真っ黒な髪と目をしている。肌はサーフィンをしているため、健康的に色がついている。年中ラルフローレンのシャツを着ている新聞好きのおじさんだ。

 くろきの母、三神 ジョージリアはハーフでブロンドに灰色の綺麗な目をしている。顔立ちはくろきとおんなじだ。


 六つ子たちは向かいのソファーに縮こまりながら座る。寝起きのくろきはリビングの向かいのキッチンで紅茶を淹れている。


「あらくろき、自分からお茶を出すなんて。成長したわね」

「子供は常に成長する生き物ですから。親の見ていないところで」


 ジョージリアの褒め言葉にくろきは六つ子を見て嫌味っぽく言った。


「お父さん、なんで急に家を出て行ったんですか? 心配しました」


 しゅうはお茶を持ってきたくろきに質問する。くろきは何も言わずに残りのお茶も持ってきた。


「みんなで来たんじゃなかったのか?」


 神戸はさっき来たので誤解している。


「私だけここに来たら、この子達が私を追いかけてきたんだ。お父さんのジェットで」


 どうやらみんなが乗ってきたジェットはくろきの物ではなく、くろき父の物だったようだ。しゅうはその事に驚いて謝罪をする。


「おじいちゃんのだったんですね。勝手に使っちゃってごめんなさい」

「いいのいいの。君たちのためならあと六機買ってもいいさ」

「もぉ。やめて、お父さん」


 神戸のジョークにジョージリアが笑う。どうやらこれが三神家の日常のようだ。くろきも一人ソファーに座りながら平然としてる。


「ねえ、みんな泊まっていったら? 明日お休みでしょう?」


 ジョージリアは客室もたくさんあるしと言いながら提案する。


「いや、悪い。帰る……」

「え! 泊っていきたいです!」


 くろきの言葉をしゅうやが掻き消した。



 ジョージリアを先頭に六つ子たちは階段を上がる。くろきは静かに列について行く。


「しんくんたちはこの部屋ね。バスルームは部屋のとそこのと。好きに使ってちょうだい。……くろきはどうするの?」


 六つ子を客室に案内したジョージリアはくろきに振る。


「自分の部屋で寝るさ。まだベッドはあるよね?」


 くろきは一階のリビングの奥の部屋の一つを指差す。


「今は無理よ。今日はいないけど他の人が使ってるわ。あなたそういうの無理でしょ? どの客室にする? あの子達と同じ部屋は?」


 くろきは少し考えて階段を下りた。


「自分の部屋で寝るよ」



「くろき、時間あるか?」


 くろきが自分の部屋に入ろうとした時、神戸が言った。


「ないけど?」

「くろきの好きなワインがあるんだが。飲まんか?」

「飲む」




 くろきの飲むペースと神戸が飲むペースが合わない。

 もちろんくろき父の方が早いに決まってる。


「昔飼ってた犬覚えてるか?」

「あー、私の足折った化け物ね」

「化け物……。お前が小さかったからだろ? あの犬は中型犬だ」

「で、その犬が何?」

「いやー、あの犬可愛かったなぁって」


 くろきはグラスを置いてソファーに体を委ねる。


「あんまりなにかを可愛いって思うのがわからない」


 くろきの言葉に神戸はため息を吐く。


「でも息子たちは可愛いだろう?」

「まあ、可愛いね」

「分かってるじゃないかー」


 神戸はくろきの肩を叩きながらワインを飲んだ。



「やだお父さん。くろきと仲良しね」


 ジョージリアは夫と息子が一緒にワインを飲みながら話している姿を見て笑った。

次回 ペテン師と詐欺師/騙されるかよNY

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