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第十一話 NY 前編

「着いたね。ニューヨーク、アッパーイーストサイド」


 しゅうはタクシーから降りる。同じタクシーに乗っていた長男しんと次男しんやも降りてきた。

 後ろのタクシーに乗っていた四男五男六男も合流する。


「どーする? 位置情報的にはお父さんの実家らへんだけど。凸る?」


 しやはスマホをみんなに見せる。


「んー、急に行ったら怒られない?」


 しゅうはタクシーにチップを渡しながら喋る。

 その発言にしゅうやが反応した。


「じゃあセントラルパークに……」

「行かない。行く訳ない」


 運転手と話しているしゅうの代わりにしんやがバッサリ切ってくれた。


「どうする? おじいちゃんおばあちゃん家はもうすぐそこにあるけど」


 しんやは一ブロック先のマンションを指さした。




 昨日の夜、ニューヨークアッパーイーストサイドのマンションのペントハウスにくろきは帰ってきた。


「あら、帰ってたのね。子供達はいないの?」


 エレベーターがついたと思ったら母親の声がした。


「うん。一人で来た」


 くろきが答えると母は心配そうな顔をした。


「子ども達だけで大丈夫かしら? くろみはどうなの?」

「頼んでみる」


 くろきのことは根掘り葉掘り聞かず、六つ子のことを心配した。くろきはスマホを開いてくろみにメールを送る。




「何階だっけー?」

「ペントハウスつってるだろ」

「だーかーら! 俺はペントハウスが何か知らないんだわ!」

「はああぁぁぁ? なんで知らないの?」


 しゅうととしゅうの低俗な争いを横目に、しんはエレベーターのボタンを押した。



「ほら、着いたよ」


 しんやを先頭にエレベーターからみんな出る。


「忘れてた。ここってエレベーターから出たらもう部屋なんだった」


 しゅうとはそう言って広いリビングを見渡す。それに続いて他兄弟達もリビングを歩き出す。


「あっ、お父さん」


 しゅうはソファーで横になっているくろきを見つけて駆け寄る。


「寝てる……」


 くろきは爆睡をかましていた。

次回 NY 後編

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