第十話 犯人捜し パパ探し
「この瓶を頼んだのはだれ?」
帰ってきて手も洗っていない兄弟たちにしゅうは問う。
「なんこれ。ウケるんだけど」
しゅうとがしゅうから瓶を奪ってラベルを読む。途中途中で笑っている。
しゅうはしゅうとを無視し、他兄弟四人に向き直る。
「ねえ、お父さんのパソコンで勝手に購入してたらしいの。誰か知らない?」
しんが動いた。
「知らねーよ。その瓶もお父さんのパソコンのパスワードも」
言い終わるや否やバスルームに行った。長男らしくない。きっと塾の小テストの点数が悪かったのだ。
「やっと届いたー。来てよかったー」
しゅうとから瓶を奪ったのはしやだった。
「しやがこれ頼んだの?」
「ん? そだよー」
しやはしゅうを一瞥して自分の部屋へと行くために階段を登った。
しゅうはため息を吐く。
「まさかしやだとは」
「予想通りじゃね? ま、あの美容液でマイナス十五歳ならあいつ赤ちゃんになるけどね。ちょっとお別れの挨拶してくるわww」
しゅうとは小馬鹿にしたように言った後しやを追いかけて二階に行った。
「ね、しゅう」
「なに、しんや兄さん」
しんやはソファーに座りながらテレビをつけた。
「お父さんはまだ仕事?」
しゅうは答えに詰まる。しんやはそれほど気にしていない様子だが、しゅうは目を泳がせて固まっていた。
「しゅう? どしたー?」
しんが手を洗い終わってリビングに来た。
しゅうの肩を叩きながら首を傾げる。しんはしゅうの異様な焦りに気付いた。
「もしかして、お父さんいない?」
しゅうは静かにうなずいた。
「出張じゃないの? また」
「え? くろみおばさん来てないから違うんじゃない?」
「たしかに」
しんやとしやの会話でしゅうとは考えた。
「これは試験だ」
「はあ?」
しゅうやが問うとしゅうとは説明してくれた。
「クソ親父は俺たちの対応を試しているんだ。それで捨て返す子供を決めている」
「捨て返すって何!?」
しゅうが突っ込むとしゅうとはしゅうの股間を蹴った。
「このように兄弟に暴力をふるったらマイナス百億点。だから俺は孤児院いきイコール、クソ親父との同棲を免れる」
「意味わかんねーよ! 説明のために僕の股間を犠牲にするな!」
しゅうはしゅうとを蹴った。しゅうとは体幹が良く動じなかった。
「ふざけんな! うぅぅー!」
しゅうは泣き崩れてしんやに慰められている。
「どーする?」
しゅうやは冷蔵庫を漁っている。
「あ! スマホの位置情報は?」
「ナイス、しや!」
しやの意見でしんはスマホを取り出し、アプリを開いてくろきのスマホを探す。
「うそだろ……?」
「え? お父さんどこにいるの?」
しんはしやにスマホを見せた。
「は? どここれ」
くろきのスマホはアメリカのニューヨークにあった。
「早く乗って早く着こう」
しゅうはジェット機に乗り込む。
1「明日休みじゃん。明日でよかったのに」
2「まあまあ」
4「観光たのしみ」
5「セントラルパーク行こ!」
6「パピーを探しに行くんだからね?」
しゅうに続き他兄弟たちも乗り込んだ。
椅子に座りながらしゅうは考える。
「もう一つのジェットなかったからお父さんはそれで行ったんだろうね」
しゅうは呟く。
「コーラで」
「ぼくリンゴジュース。あ、ストレート」
「俺もコーラ」
「ぼく神社!」
「ジンジャーエールでしょ? ぼくはガラナで」
しゅうの言葉を聞いているものは誰もいなかった。
次回 NY




