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おまけ 地獄の沙汰も金次第

「お父さん、ゴッチの新作バック買ってくんない? 黒いやつ」


 長男しんの言葉に父くろきは少しイラっとする。


「ね、お父さん、トゥミ―・ファルファガーの服爆買いしちゃダメ?」


 次男しんやの言葉にくろきはちょっとだけイラっとする。


「あの、お父さん。前借でお小遣いくれません? 五か月分」


 三男しゅうの言葉にくろきは顔に出さずにイラっとする。


「おい、クソ親父。五十万、銀行から引き出せ」


 四男しゅうとの言葉にくろきはイラつきを隠せない。


「ねええ、オトン。明日って給料日でしょ? 三割くれなーい?」


 五男しゅうやの言葉にくろきはパソコンを閉じた。


「パピー、この欲しいものリストのやつ買っといて」


 末っ子しやの言葉にくろきは椅子から立つ。



 六つ子たちは動き出したお父さんを見て首を傾げる。


「ねえ、みんな?」

「はい、なんですか?」


 長男に肩を叩かれたしゅうが代表で聞いた。


「お金はね? 無限じゃないの」


 くろきはそう言ってしやの欲しいものリストを破り捨てた。


「やだぁ! ぼくの!」


 しやは膝から崩れ落ちた。くろきはその様子を気にしもせず、話し続ける。


「お金はね? 使えばなくなるの。わかる? お金はなくなるの。だから、みんなもっとお金を大事に……」

「でも、なくなってないじゃん。こんなに使ってもまだあるなら、なくならなくない?」


 しんやの反論にくろきはむかつき、しんやの股間を蹴った。


「うぐははっ!」


 あまり強い攻撃ではなかったが、しんやにはそれなりに効いたようだ。倒れた。


「ほかのみんなは分かってくれたかな?」


 くろきはしん、しゅう、しゅうと、しゅうやを見る。

 ここでまた一人反論する者が現れた。


「お父さん! 俺は無罪だ!」


 しんだ。

 しんはくろきの圧に圧倒されながらも話を続ける。


「しんやとしゅうは十万を超える請求。しゅうとに至っては五十万を超えている! まあ、しゅうやとしやはそれ以上だけど。でも俺はたったの七万だ! そんぐらい……ぼうぐはうとぅっ!」


 しんは真剣に語っていたものの、途中でくろきに股間を蹴られて見事に倒れた。


 頭のいいしゅう、しゅうと。怒られたくないしゅうやはこの日はおとなしく自分の部屋に帰った。



 六つ子のお布団の中の会話。


「ね、パピーのお給料ってどんぐらいなの?」

「○〇〇万円」


 しやの質問にしゅうは勘で答える。


「ま、そんぐらい行きそうだよねー」




次の日の朝。


「ねえ、パピー」

「なに?」


 しやはくろきの隣のソファーに座る。


「お給料ってどんぐらいですか?」

「給料? さあ。〇十万とか?」


 しやはびっくりした。以外にも少なかった。普通のサラリーマンと並べるぐらいの金だ。


「え? 初耳―」

「聞かれてないから」


 しやはくろきの答えを聞かず、この家の土地価格を考えていた。


「お父さんってなんの仕事してっけ?」


 会話にしんが入ってきた。


「ん? なんだと思う?」


 クイズにしんはドキドキしながら答える。


「サラリーマン?」

「不正解―。正解は……」

「おとうさーん! しゅうが起きなーい!」


 会話はしんやによって閉ざされた。




 その日の夜。


「しやに言ったのはニューヨークのとこのお給料。先祖代々東京に土地持ってるからもっと収入は高いよー。あと、両親からお小遣い貰ってるし。月に千は超すね」


 くろきの答えにしゅうは納得する。


「あれ? ニューヨークでのお仕事ってなんですか?」

「あぁ、それは……」

『ピピ ピピ』

「あ、お風呂湧いたから」


 くろきはバスルームに行ってしまった。




『地獄の沙汰も金次第』『三途の川も金次第』

 でも、死後にお金なんて持って行けない。


 じゃあなんでそんな言葉を作ったんだろ。


 くろきはそんなことを思いながら今日もATMからお金を取り出す。


 子供たちのお小遣いのため。

 子供たちのお買い物について行くため。


 そして自分の娯楽のため。

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