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第九話 ぼくの決断 あなたの決断

 しゅうは学校が終わり、塾に行こうとした時。くろきが呼び止めた。


 頭悪い組のしんとしんやとしゅうやとしやは塾の講義を受けに。しゅうとは今月分の講義が終わったものの塾に自習に。

 家には父くろきとしゅうしかいない。


「話ってなんですか?」


 しゅうは出されたレモンティーをソファーで飲みながらくろきを見つめる。

 くろきはボタンを押してコーヒーを作っている。


「しゅうくん、君はどうしたい?」


 くろきの言葉にしゅうは首を傾げる。


「なんのことですか?」

「関係だよ。私たちの」


 くろきはコーヒーを持ってしゅうの隣に座る。

 しゅうは少し考えてみる。

 僕たちの関係とはなんだろうか。そもそもお父さんは本当に僕のことを愛しているのだろうか。

 もちろん子供としては愛しているだろう。でも、しゅうを一人の人として愛しているだろうか。


「お父さんはどうしたいです? 僕のことをどう思っていますか?」


 思い切って質問してみるしゅう。

 くろきはコーヒーカップを机に置きながらしゅうの髪を触る。しゅうはその行動に不思議に思いながらもレモンティーの入ったカップを机に置く。


「ねえ、しゅうくん……」


 くろきがしゅうに言葉を言いかけた時、しゅうがくろきの口を塞いだ。


 しゅうはくろきに馬乗りになって強引にキスをした。くろきもそれに応じるようにしゅうの腰に手を回す。


 ピンポーン

 家のチャイムが鳴った。


 くろきは咄嗟にしゅうを退ける。しゅうはソファーの端に投げ飛ばされた。

 くろきはインターホンを押して家の玄関を開ける。

 ただの配達業者だった。



「着払いですか?」

「はい。そうですね」


 くろきは玄関のそばにあるキャビネットから万札を八枚を取り出して配達員に渡す。そして小さい段ボールをもらった。

 玄関を閉めしゅうに段ボールを手渡した。


「中身、知ってるか?」

「いいえ、開けますよ?」

「あぁ」


 しゅうははさみを取って段ボールを開ける。


「ぬ? なにこれ」


 中身は厳重に包装された瓶だった。


「なんだろ、これ」

「なんて書いてある?」


 しゅうは瓶と一緒に入っていた紙を見る。


「美容液、これを顔に塗るだけでマイナス十五歳。米印、これは医療品ではありません、それに準ずる効果があるわけではありません。何が思っても当社が責任を取ることはありません。注意、これを口に含まないでください」


 しゅうは紙を読み終えると同時にくろきに向き直った。


「怪しいですね」


 くろきはすごく怒った顔でしゅうの手から紙を取った。


「誰が頼んだんだろうね。しゅうくん?」


 しゅうはハッと気づいたように目をかっぴらきながら瓶と段ボールをくろきに押し付ける。


「僕じゃありません! 本当です!」


 くろきは必死に弁解をするしゅうの頭を撫でた。


「しゅうくんだとは思ってないよ。しんやかしやかなぁ。美容を異様に気にしてたからね」

「たしかに」


 しゅうは相槌を打ちつつくろきを見た。


 ……よくわからん美容液に何万も着払いで払わせられるお父さん、かわいそ。


「何円したんですか?」

「八万」

「ひょえー!」


 しゅうはソファーに寝転んだ。くろきはため息を吐きながら瓶を置いてソファーに座りなおした。


「話の続きですか?」


 しゅうはくろきの飲んでいたコーヒーを少し飲む。顔をしかめてくろきにカップを渡した。苦かったようだ。


「続き、話してもいいかい? 塾に行くなら今だよ」

「今月の講義は終わってますし、行かなくてもいいです」

「そう」


 しゅうはちゃんと座ってくろきに向き直った。


「僕、お父さんと真剣にお付き合いしたいです」


 しゅうの突然の告白にくろきは目を見開いて固まってしまった。


「お父さんはどうですか?」


 上目遣いの可愛いしゅうにくろきは応じようと目を合わせた。


「しゅうくん、僕も……」


 そう思っている、そう言おうとした瞬間。くろきは重大なことを思い出した。


「ダメだ! しゅうくんとは付き合えない!」

「え、え? どういうことですか? お父さん?」


 しゅうが追いかける前に、くろきは急いでコートを着て家を出て行ってしまった。


 リビングに一人取り残されたしゅうは戸惑う。


「え? 僕と付き合えないって、どういうこと……?」

次回 犯人捜し パパ探し

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