おまけ 三神家の論争
「じゃあGWで行きたいところみんなで話し合っててねー。パパお買い物行ってくるから」
「「「「「「はーい」」」」」」
六つ子は父くろきの言葉に元気に返事をする。
くろきは六人の笑顔に見送られながら家を出た。
「で、どうする?」
切り出したのは三男しゅうだった。
「今年はどうしよっか」
しゅうに続いたのは長男しん。
「去年はどこ行ったけー?」
末っ子しやは呟く。
「NY。お父さんの実家帰りについて行ったでしょ」
「あー、そうだったね。あの時は……」
次男しんやはしやに答える。それに五男しゅうやも記憶を取り戻したのかべらべらと語り出した。
「今年の話をしてんだよ。しゅうや黙って」
「あぁい」
しゅうがしゅうやを平手打ちしてしゅうやはしゅうを睨みながら返事をする。
「とりあえず長男から言お。どこ行きたい?」
四男しゅうとが話し出したと思ったらすごく知的な意見を出した。長男はそれに頷いた。
「俺はねー、グアム行きたい。ハワイとかは行ったことあるけどグアムってなくない?」
しんの意見に続いてしんやも喋り出す。
「いいねー、グアム。でも俺はハワイの方がいいなー。しゅうは?」
しんやはしゅうに振る。
「ぼくはNY。今度はショッピングしたい」
しゅうの意見にしゅうとは顔をしかめた。
「去年行ったじゃん。俺は沖縄。人生で一度は行ってみたい」
しゅうとが話し終わるとしゅうやが口を開いた。
「僕わねー、ブラジル行ってみたい! ほら、地球の裏側らしいし」
しゅうやの意見に全員が首を傾げて反論の言葉を探す。誰かが反論する前に末っ子しやが口を開いた。
「僕もー……」
「ブラジル?」
「うるさいしゅうや兄さん黙って」
しやの言葉をしゅうやが遮った。しやはそれに舌打ちをしてまた話し始めた。
「僕もー、ハワイ行きたい。綺麗な海で泳ぎたーい」
みんなの意見が出し終わるとみんな揃って考え出した。
1「ハワイ多いけど何回か行ったよね? もうよくない?」
2「えー! 多数決でしょ!? ハワイでしょ」
3「ハワイかなぁ」
4「ハワイに決定だね」
5「えー、ブラジル行きたかったなー」
6「やったー! ハワイー!」
しんやとしやは抱きしめあって喜んでいる。他兄弟たちは納得のいっていなさそうな顔をしながらそれを見る。
「みんな、あの二人は超絶うざいけど、手は出したらダメだよ。こっちが負ける」
「しっとるわ!」
しゅうの言葉にしんが叫ぶ。
そのまま三神家の論争は終わりとなった。
「ただいまー」
「「「「「「おかえりなさい」」」」」」
くろきは兄弟みんなして出迎えてくれるので自然と笑顔になった。
「決まりましたか?」
「はい。ハワイになりました」
しゅうは料理の作っているくろきに報告する。
「そっかー、ハワイか。わかった。しゅうくん、お父さんに電話かけてくれないかい?」
「わかりました」
くろきは電話を持ってきてポチポチ番号を押すしゅうを見る。
「できましたよ!」
「はいありがとう」
くろきは手を洗って電話を掛ける。くろきの父は思った以上に早く電話に出た。
「もしもし。お父さん? 今年なんだけど、ハワイに行くんだ。……うん。……そうそう、行きたいって。……はい、ありがとうございます」
くろきは電話を切った。
「なにがありがとうなんですか?」
「お父さんが飛行機手配してくれたんだ。コネがあるらしいから毎回頼めって言うの」
「へー、どんなコネなんですか?」
「知らなーい」
くろきはしゅうに電話を戻すよう言ってまた料理に戻った。しゅうは首を傾げて電話を直した。
「お父さんって、何の仕事してるのかなぁ」
六つ子がベッドに入り、寝ようとしたところ、しゅうの疑問でみんなの眠気はどこかへ飛んで行った。
「なんだろね」
しんやは目をこすりながら言った。
「東京都内に一軒家を持ってて、七人を十分に過ごせるぐらいの経済力を持ったお仕事」
しゅうとは一人呟く。
「社長?」
しゅうやは口を開いた。
「株主?」
しやも口を開いた。
「人間国宝?」
しんも起きて口を開いた。
「土地持ち?」
しゅうも考えてみた。
「なんだろーね」
しんやは眠気が帰って来て話を終わらした。
「でも、感謝しないとね。ここまで育ててくれて」
しゅうは布団にもぐりながら言った。




