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第八話 車で遠出、だれがどの席? 助手席を奪い合え! 三神家のバトルロワイアル

「出発したいんだけど……」


 父くろきはが運転席に乗り、車のエンジンをかけ、曲をかけてから十分が経とうとしたところ。

 だが、車にはくろきしか乗っていない。六人の子供達は助手席の扉を全開にしてなにか争っている。


1「やだ! 俺が助手席!」

2「はああ? この前乗ってたじゃん!」

3「ねー、喧嘩はやめようよぉ」

4「じゃま、しん兄さん」

5「僕も乗るぅ!!」

6「みんなどいてー、しやの席だから!」


 兄弟みんな、助手席に乗りたいようだ。しゅうも後ろの席に乗らないからきっと助手席に乗りたいに違いない。

 くろきはため息を吐く。


「空港までだから何時間もないよ。早く決めなさい」


 くろきの言葉に『助手席バトルロワイアル』は開戦した。



緑コーナー:長男しん

青コーナー:次男しんや


 しんは大きく深呼吸をした。しんやは負けじとしんを睨む。


「しんや、ここは長男の俺に譲りたまえ!」


 おおーっと! しんが先陣を切った!


「年は同じだぞ! たった何時間の差で助手席を譲ってたまるか!」


 やばい! しんやはしんの後ろに周り、見事な膝カックンをかました!


「ぐわわあああぁぁぁ!」


 しん、戦闘不能! しんやの勝利!



橙コーナー:三男しゅう

紫コーナー:四男しゅうと


 しゅうは倒れたしんを横目に肩を竦める。しゅうとはメガネをとって戦闘体制に入る。


「覚悟しろ! しゅう!」


 やばい! 兄弟一体力のあるしゅうとがしゅう目掛けて走る! さーて! しゅうはどうする!


「うわ! やめてやめて! ぼく、戦う気ゼロだから! 助手席譲るから!」


 おっと……気の弱いしゅうはあっさり引いた。なんとひ弱なやつ。

 この戦いはしゅうの棄権によりしゅうとの勝ちとなった。



黄コーナー:五男しゅうや

桃コーナー:六男しや


 しやはフライングし、しゅうやの後ろから自分の付けていたピンを投げる。


「ていっ!」

「なっ!?」


 しゅうやはしやの攻撃にビビったものの、即座に判断しピンを避ける。


「しや、もっとやってみろよ」


 な、な、なんだとー! しゅうやがしやを煽る!

 しやはそれにブチっと切れ、大きくジャンプをし、しゅうやの上からパンチをしようとする。しかし、しゅうやはこの攻撃までも避けてしまった。


「くっ! なんてやつなんだ! しゅうや兄さんは!」


 しやは力なく倒れてしまった。

 しや、戦闘不能! しゅうやの勝利!



「決勝戦と行こう」


決勝戦進出メンバー

青コーナー:しんや

紫コーナー:しゅうと

黄コーナー:しゅうや


 しんやは勝ったメンバー、しゅうと、しゅうやの顔を見る。みんな顔には疲労が溜まっていた。


「ま、決勝戦となればそうなるか……」


 しんやは嫌みそうに笑い、しゅうやの太ももを思いっきり蹴った。しゅうやは不意打ちに対抗できず、あっけなく倒されてしまった。

 その光景を見ていたしゅうとは歯を食いしばり、しゅうやを見る。


「しゅうやの意思、俺が継ぐ」


 しゅうとはそう言った後しんやに歩いていく。しんやは真剣な表情のしゅうとを見て目を見開き、また真顔に戻った。


「うそっ! 正面から行くの? それも歩き? しゅうと兄さん! 無謀だよ!」


 しやは悲劇のヒロインばりに叫ぶ。しゅうとはしやに親指を立てながらしんやの目の前に立つ。

 戦いに巻き込まれないよう後ろの席に乗るしゅうはその光景を見て呆れを隠せなかった。


「しんや、平和に行こう」


 なっ! しゅうとがしんやに手を差し伸べた!? 他兄弟たちもその様子に驚いている!


「しゅうと……俺もそう思っていたよ。いい戦いだった」


 しんやはそれに応じ、手を差し出す。


「あぁ、いい戦いだったよ。しんや」


 しゅうとがしんやの手をがっちりと握る。しんやは不思議に思いながらも握り返した。

 その時! しゅうとがしんやを背負い投げした。


「いたぁいっ!」


 しんやは悲鳴を上げた。コンクリの床に投げつけられたら流石に痛いだろう。しやとしゅうやがしんやの元に駆け込む。しゅうとを睨みながら。しゅうとは静かに助手席に乗った。


 三神家助手席バトルロワイアルはしゅうとの勝利となった、が……


「待って。俺、クソ親父の隣嫌だわ」


 しゅうとは反抗期により優勝賞品『助手席』を破棄し、しんやに譲った。




 車は空港の駐車場に着いた。


「みんな、着いたよー。降りれる?」


 くろきはあくびをしているしゅうとを横目に後ろを見る。みんなぐっすり眠っていた。



「お父さん、どの便ですか?」

「あれだよ。もう行こうか。あ、しゅうくん、トイレ大丈夫?」


 くろきが隣にいるしゅうを心配そうに見つめるとしゅうはムッとした。


「子供扱いしないでください。もう高校生です」


 くろきはしゅうの言葉に驚きながら他の子供たちを見る。全員そろっている。


「じゃあもう行こっか」


 くろきがしんに声を掛けようとしたところでしゅうはくろきのシャツの袖をつかんだ。


「トイレ行くから待っててください」


 くろきは目を逸らしながらもじもじしているしゅうを見てほほ笑んだ。


「待っとくから、いってらっしゃい」




 そして飛行機で過ごすこと数時間。

 飛行機は目的の地に着いた。


「きたー! ワイハー!」


 しんが空港から出て空を見あげて大声をあげる。


 六つ子の家族旅行はハワイだった。



~四日後~



「やだっ! 帰りたくない!」

「帰りたくない! もう、ずーっと旅行がいい!」


 しんやとしやがしゃがみながらしんやはしんの、しやはくろきの服を掴む。

 その光景にしゅうは呆れて大声を出した。


「それ、旅行先でするやつだから! あと数歩で家に着くから! そういうの玄関でしないからっ!」

次回 第九話 ぼくの決断 あなたの決断

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