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第六話 夕食はパーティータイム/三神家の食卓

 言い忘れていたが、ゆうたくんとゆうひさんの髪の毛は真っ赤だ。目も。

 六つ子の髪は薄い紫(そこにそれぞれの色をしている)。目は黒。父くろきの髪は真っ黒。目も。


~○~○~○~○~


「親から許可出たから一緒にご飯食べれるよ!」


 ゆうたの喜んでいる顔の隣に怖い顔が並ぶ。


「俺らの椅子どれだ」

「あっ! これです。どうぞお座りください。ゆうたくんはこっちね」


 ゆうひの声にしゅうやが反応し、椅子を丁寧に引いた。


「なんで俺だけ敬語……」



「いただきマンモース!」


 みんなが一斉に手を合わせる。ゆうたとゆうひは変な掛け声についていけず、手を合わせるだけだった。


「んっ! これおいしっ!」

「ほんとだ」


 ゆうたとゆうひは真っ赤な髪をなびかせながら麻婆豆腐を頬張る。


「でも、辛かったらもっといい」


 ゆうひはそんなことを言いながらキッチンを見渡す。お目当てのものを見つけ、自分のお皿に大量に振りかけた。


「そんなに辛くして大丈夫かい? ゆうひくん。水が欲しかったら言ってね」


 ゆうひはくろきに心配されながらも真っ赤になった麻婆豆腐を完食し、さらにおかわりまでした。ゆうたは青椒肉絲の方が気に入ったのか、そればかりをおかわりしていた。

 六つ子はというと、ずっと北京ダックを食べていた。


「みんな偏食だね。青椒肉絲もおいしいよ?」

「麻婆豆腐も美味しいぞ」


 ゆうたとゆうひが他の料理を勧めると、六人は揃って首を振った。


「ここは揃うんだ。さっきまでのババ抜きみんな弱かったのに」

「そんなに北京ダック美味しいのか? 俺も食べてみよーっと」


 ゆうひは皮にソースを付けて、きゅうりと白い野菜を乗っける。北京ダックを乗せて包むと、完成だ。食べてみると……。


「なにこれうまっ!」


 こうなる。その反応を聞いてしまったゆうたは……。


「えっ! 僕も食べてみたい!」


 と言った時にはもう食べている。これが北京ダックという料理だ。




「美味しかったー。すごいですね、お父さん。これだけの料理を作るなんて」


 ゆうたは手を合わせてごちそうさまをする。ゆうひも手を合わせる。六つ子はゆうたの言葉に意味不明という顔になっている。父くろきはハッと気づきゆうたとゆうひに笑いかける。


「私は作ってないよ」


 その言葉にゆうたは固まる。


「え? ご飯を食べようって、家から移動しましたよね? ここは家の一室なんじゃないんですか?」

「ちがうよー。ね、しん」

「ね、しんや。ぜーんぜんちがうね」


 ゆうたの言葉にしんとしんやが笑う。それに続き、しゅうが説明する。


「ここは隣の中華屋さん。家が繋がっているわけでもなく、家の一室でもない。あと、お父さんはぜんぜん料理が出来ません」


 ゆうたとゆうひは口をへの字にした。


「そうだったんだ。ごめんなさい。誤解して」

「じゃあ外食したってことか……」


 二人とも違う意味で不満そうだ。

 ゆうたくんは誤解した自分に。ゆうひさんは外食に。


「じゃあ、お父さんはお会計してくるから。みんなはゆうたくんとゆうひくんをを送ってあげて」

「「「「「「はーい」」」」」」


 六つ子はゆうたとゆうひと家に帰り、二人の帰る準備を待つ。準備が終わった頃にくろきが帰ってきた。


「遅かったですね。なにかありました?」

「雑談してた」

「そうですか」


 くろきに一番に駆け寄ったしゅうとの会話を素早く終わらせ、くろきは玄関を開けるゆうたとゆうひを家まで車で送ろうかと話す。


「そんな、大丈夫です! 歩いて帰れる距離なんで。ね? ゆうひお兄ちゃん」

「うん。ゆうたと家近いから途中まで一緒だし」

「そうか。気を付けてね。二人とも」


 二人は帰った。



「どうするんですか? 作戦。しゅうとじゃないのなら考え直さないと」

「明日やろう。もう寝なさい」

「はーい」


 しゅうはあっさりくろきの部屋を出て行った。


 くろきはパソコンに向き直り、何件かメールを見る。

 コンコン コンコン

 扉をノックした音だ。このノックはしゅう。他の奴らはノックなんてしないから。


「どうした? まだ言ってないことがあったのか?」


 くろきは何も疑うこともなく扉を開け、しゅうを部屋に入れる。

 オレンジメッシュが取れかけなのはこれからお風呂に入るからだろう。


「ねえ、お父さん」

「どうした? しゅう」


 くろきはベッドに座ったしゅうを見ず、パソコンを打つ。


「僕達って付き合ってるんですか?」


 くろきはしゅうの問いにすぐには答えられなかった。


「どうだろうね。恋人がやることはやったけど、付き合おうとは言ってないね。どうしたい?」


 くろきはまだパソコンを打つ。


「……よろしくお願いしまーす。お父さん♡」


 しゅうは口を歪めるのと同時にくろきにバックハグをした。


「今はやめ……しゅうくん、君はもう、お風呂に入ったのかい? 生暖かいよ」


 くろきは自分を抱きしめる手に冷や汗を垂らす。


「浴びましたよ。今さっき」


 しゅうはこれからお風呂だ。じゃあ、背後のは一体……


「良いこと聞いちゃった♡ お父さんとしゅう、そういう関係なんだ。やっぱり昨日の朝見たのはホントだった」


 『しゅうに変装した兄弟の誰か』はやっぱり昨日の朝くろきとしゅうの口づけを見たらしい。


「誰だと思います? ぼく」

「今気づいたよ。おまえ、ピアスしてたんだな」


 『しゅうに変装した兄弟の誰か』は明らかにやべっという顔をする。


「‘しんや’くん。いつからピアス、開けてたの?」


 『しゅうに変装した兄弟の誰か』は次男のしんやだった。

次回 Watch your step !

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