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旅するレストラン~六神王の巫女と紅き王の花嫁~  作者: 琴葉悠
六神王と一緒~過去にさよなら~
10/27

白き王を崇拝する狼たち~犯罪は駄目絶対~

プラチナウルフに襲われる地点に着くと、白き王がプラチナウルフに語りかける。

そして何故襲っているのか事情を聞く──




 街道を私達は歩いていた。

「ここら辺でプラチナウルフに襲われてるんだよね」

「そうらしいな」

 とキョロキョロと私が周囲を見渡すと紅き王が私を引っ張り抱きしめた。

「あ、紅き王⁈」

「そこに居るのはわかっている出てこい」

「まぁ、紅。もう少し優しく言えないの?」


「そ、そこにおられるのは神王様達ですか?」


「いかにも」

 黒さんが答える。

「私、白き王もいますよ。どうしたのです我が子等よ」

 白さんがそう言うと、ずざざざーっと平伏しているような姿で白金色の巨大な狼達が姿を現した。

「白き王よ……何故人間といるのですか」

「このものと契約したのです」

「なんと⁈」

 狼さん全員が驚いて私を見る、懐疑のまなざしをむけられ私は視線をそらす。

「何故、このような取り柄のなさそうな人間を?」

「この子と一緒にいればね、とっても美味しい料理が食べられるの」

「りょう、り?」

「貴方達も食べれば分かるわ」

「え、でも今街でスキル使ってて……」

「カズエ、たしかニゴウテンなる要素が追加されただろう」

「あ」

 紅き王に言われ思い出し、私はきょろきょろと周囲を見てから叫ぶ。

「旅するレストラン二号店!」

 すると小さなレストランが現れた。

「おおー……二号店って書いてある」

「そうなのか?」

 看板に小さく二号店と書かれていた。

「で、でも狼さん達大きいから入れないんじゃ……」

「問題ない」

  ピカッと光る。

 目をつぶり開けると、狼さん達は二足歩行になって、小柄になっていた。

 ズボンも履いてる。

「では、どうぞ」

 私は店に入り、促す。

「ようこそ、オーナー様」

「あ、ここの方々私のお客様なので料金はその……」

「畏まりました」

「肉だ、肉を食わせろ」

「肉を寄越せ」

「では、ステーキかローストビーフはいかがでしょう?」

「よく分からないからそれでいい」

「ああ」

「畏まりました」

 少しして、注文した物が狼さん達の前に並べられた。


「ずいぶんと薄い肉だな……んん⁈ う、美味い‼ なんだこの肉は‼」

「こちらの肉は液体とからめるとより美味くなる! 美味い、美味いぞ!」


 反応は上々、そして食事を終えると、狼さん達は正座をして、私達に土下座をした。


「先ほどの無礼、お許しください。神王の契約者様」

「い、いいええ!」

「ところで、お前達は人間を襲うような輩では無かったはずです、どうしたのです……」

「実は……」


 狼さん達が話した内容はこうだった。

 今年生まれたばかりの子ども達がさらわれたと言うのだ。

 どうやらベルドの街から出る馬車から匂いがかすかにするらしく襲っていたらしい。


「つまり、ベルドの街に悪の拠点が?」

 私はそう呟く。

「まぁ、そうなるなぁ」

「見つけ出して成敗して、警備兵さん達に突き出しましょう!」

「そうだな」

「分かりました、では私達でベルドの街を探して見ます」

「白き王よ、お頼みします……」


 そう言ってベルドの街に戻り、いったんギルドマスターに報告を。

「何だとそんな事情が⁈」

「だからこの町のどこかにいるプラチナウルフたちの子どもを見つけないと被害は拡大する一方ですよ」

「しかし、そんな場所どこに……」

「私が探知魔法で調べてみましょう」

「え、そんなのあるの⁈」

「ええ」

 白さんの発現に驚きつつ、私は白さんが探知魔法を発動するのをじっと見ていた。

 赤い球体が光り出し、自我をもった糸のように動き出す。


 すると古い一軒家が。

「ここですね」

「ここ、アレじゃねぇか、大衆食堂の金持ち逃げしてのこのこ帰って来た馬鹿息子達が居る家」

「え」

 私が驚いていると白さんは扉を蹴り飛ばす。


「な、なんだ⁈」

「プラチナウルフの子ども達を、返していただきます」


 家の中に入ろうとすると、紅き王に止められ、家が崩れた。

 すると、床が見え、そこから白い何かが見えた。

 結界で無事だった白き王が床をめくる。


 小さな白金の狼さんがたくさん居た。


「よしよし、可愛い子。ちゃんとお母さんとお父さん達の所に返してあげますね」


 白さんは小さな子ども達を抱きかかえながら優しく微笑んでいた。


 馬車に子ども達を乗せ、プラチナウルフさんたちが居たところにつくと、わっと狼さん達はでてきた。


 馬車の中を見て我が子を抱きかかえて抱きしめている。


「白き王、有り難うございます!」

「有り難うございます!」

「いいえ、私はやるべき事をやったまで、それを手伝ってくれたカズエちゃんにもお礼を言って頂戴ね」

「カズエ、いや、カズエ様、有り難う」

「いいえぇ! 家族を大事にしてくださいね!」

「勿論です」


「本当に申し訳ない、そして助かった!」

 再び街に戻り、ギルドに戻るとギルドマスターさんが頭を下げていた。

「いやぁ、まさかあんな事態になってたなんて私も思わなかったので頭を上げてください」

「あの屑共が帰って来て何か企んでるとは予想してたがプラチナウルフの子どもを誘拐するなんて自殺行為するとは! もう少しでプラチナウルフの群れに街が崩壊させられるとこだったぜ!」

「え?」

 私が驚いて白さんを見ると、白さんはにこやかに微笑んだまま頷いていた。


──マジかー! 九死に一生とはこのこと!──


 私は血の気が引いた。

 白さんが居なかったら街はそうなっていたと思うとぞっとする。

「私と契約して良かったでしょう?」

「おい、白。脅すように言うのは止めろ」

 黒さんが白さんを咎める。

「あら、ごめんなさい。私をあがめる子達が被害に遭ってたからつい」

「全く……」

「色んな種族が崇拝しているんですか? 人だけじゃなくて?」

「勿論よ、プラチナウルフは私を崇拝しているし、フェンリルも私を崇拝しているわ」

「フェンリル……」


──聞いた事あるぞー! 絶対伝説級の魔獣だ!──


「紅は鍛冶も司るし火も司るからドワーフや、ラミアからも信仰されてるものね」

「まぁな」


──なるほど──


「まぁ、こういったように我らは魔族も含めて多くの者から信仰されている、故に神王達と呼ばれるのだ」

「な、なるほど、べ、勉強になります」

 私はまだまだこの世界の初心者なのだなと理解した。

「ここが終わったらダンジョンに行こう、其方のレベル上げだ」

「うへぇ」

 紅の王の言葉に異論を唱える勇気などなく、私は力なく頷いた。

「で、あれば食事だ、食事!」

「そうね、料理を食べましょう!」

「英気を養うのは大事だ、食べるぞカズエ」

「ふぁい……」

 私はずるずると引きずられ、レストランで食事をした。

 以前取ったサンドシャークのフカヒレを調理して貰い、スープにして貰った。

 食感も良ければ味も良し、農耕なフカヒレスープだった。

 これには神王様達もご満悦のご様子。


 その後、またお肉を食べたり、デザートのケーキを食べたりアイスを食べたり色々やってた。

 まぁ、只だから食べるんだろうなぁと思った──







子どもさらわれてたならそうなりますよね。

子どもは危なっかしいですからね、そして街の危機を救ったカズエ一行。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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