8話 勝手に人殺し扱いしないでくれ
「きゃぁぁぁぁぁ!!? 」
「嘘だろ……」
「し、死んでる」
最初は誰もがぽかんとしていたが、次第に状況が飲み込めてきたのか騒然となる。
あと勝手に人殺し扱いしないでくれ。別に俺は殺してなんかない。
〈状態異常付与〉の中にHPが1になるとそこから減らなくなる【強制固定】も付与している。
だから死ぬ事は確実に無い。
いや、一生死ねないと言った方が正しい。
通常なら即死でも死ねない。
老いても死ねない。
……一生この世界に生き続ける。
じゃあ何故ぴくりとも動かないのか、それは地獄の痛みに耐えきれなくて意識を手放したのだろう。
因みに男に付与した状態異常はこれだ。
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【麻痺Lv999999】
【弱体化Lv999999】
【幻覚Lv999999】
【固定ダメージLv999999】
【火傷Lv999999】
【溺水Lv999999】
【毒Lv999999】
【貫通Lv999999】
【強制固定Lv999999】
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まだ状態異常の種類は他にもあるが、【浄化】なんて使っても意味無いしな。
アンデットとかには最適なんだろうけど。
「何の騒ぎだ!!……うっ……」
よく通る声とともに一人の少女が現れる。
黒い髪を後ろで器用に纏めたいわゆるポニーテール。
「貴方ですか!?こんな事をしたのは!……って、え?……」
段々と声が小さくなり、最後は殆ど聞き取る事が出来なかった。
「これ……貴方が本当にやったの?……」
「あ、はい。けど殺してないので安心してください」
「え? 」
これで生きてるの?と言わんばかりに交互に見てくる。
もうちょい苦しんで欲しいところだが強制退去させられても困るし、回復してあげよう。
「〈完全回復〉」
淡い光が男を包み込み、欠損が治っていく。
流れていた血は止まりそして消える。
全身の火傷も無かったかの様に消え、元通りに。
「パ、パーフェクトヒール!?喪われた古代魔法じゃ……」
またボソボソと呟いている。
「そのうち起き上がるだろうから起き上がったら伝言を伝えてくれないか? 」
「……あ、はい……良いですけど」
「次、絡んできたら【強制固定】外すからな? 」
そう言い放ち、その場を後にする。
なんか歩く度に面倒事に巻き込まれてる気が……。
♢
ユノの殺気をモロに受けた騎士団の少女はへなへなとその場に座り込む。
「な、何者なのよあの子……殺気が魔王級なんだけど……とにかくあの子が何なのか調べないと」
王宮に戻ろうとするが声をかけられ阻まれる。
一分一秒でも時間が惜しいのに。
「な、なにーー」
「あれを放置されても困るのですが」
指先には外傷が全て癒えたのにくたばっている男が一人。
あの子の伝言も伝えないと行けないし、無視して走り去る訳にもいかない、。
「ああもう!早く起きなさいよ! 」
そう願うが虚しくーー
ーー一時間待たされるのであった。
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