7話 いや初めて聞いた名前だな
「ユノ様……改めて助けてくれてありがとうございました!何処に向かっているんですか? 」
二人並んで歩いていると、ミリアが聞いてくる。
「あ、そうだ!ミリアは魔法学園って何処か知ってる? 」
「魔法学園ってザニア魔法学園の事ですか?それなら知ってますよ! 」
「おお!本当か?!助かる!! 」
「案内しますね!早速お役にたてそうで嬉しいです! 」
えへんと胸を張るミリア。
ぼいんぼいんと揺れ、目のやり場に困る。
そして気づく。
ーー魔法学園って奴隷も入学させてもらえるのだろうか?
入学出来たとしても虐められないか?、ミリアを傷つけてしまわないだろうか?
感情が脳を埋め尽くす。
それを察したのか口を開く。
「わたしは全然構いませんよ。ユノ様と一緒に入れるだけで幸せですから」
「そう、だよな……」
俺が弱気になってどうするんだ。
守るって決めたばっかなのにもう弱音吐いてるんじゃ呆れられてしまう。
そうやって歩いていると、先程の静けさとは打って変わったかのように賑やかになる。
道行く人は皆笑顔で、談笑が聞こえてくる。
……だが、こちらを向くと眉をひそめ小声で何かを話しながら指を指してくる。
向いている指の先はミリア。
「汚ったねぇ服……」
「奴隷かよ……大通りに連れてくんなよ、気持ちわりぃ」
「気分冷めたわ」
そんな声が聞こえてくる。
「ユノ様……ごめんなさい……わたしのせいで……」
服の裾をちょこんと掴み、今にも泣きそうになっている。
「謝るなって、ほらっ」
安心させるために、ぽんっと頭を撫でようとしてーー
「誰の許可得てこの大通りに奴隷引き連れてんだよガキ、ツラ貸せや」
こちらを睨みながら
歳は20~25くらいだろうか、腰には剣をぶら下げている。
こいつも冒険者なんだろうか?
こいつは気になる事を一つ言った。
誰の許可を得て……か。
まさか大通りに奴隷を連れ出してはいけないルールがあるのだろうか。
だったら路地裏にあいつらが居た理由もわかる。
「すまない、今日初めて街に来たからルールを把握していない。……しかしそんなルールがあるのか? 」
「ハッ!この俺、ノグソ=カイザーを知らねえ訳ないよな?ルールなんぞの話じゃねぇ。俺が引き連れんなと言ってるんだからさっさと失せろ」
野糞かいい名前だな。お前にピッタリだ。
「いや初めて聞いた名前だな、あと俺は街のルールを聞いているんだが……? 」
「て、てめぇ……俺はBランク冒険者だぞ!!刃向かったらどうなるかわかってんだろうな!! 」
そう言うと剣を引き抜き、剣先を向けてくる。
「ひっ!? 」
「おいおいあいつ死んだぞ」
「早く!誰か騎士団呼んできて!! 」
笑う者、目をそらす者、そさくさと逃げだす者、助けを呼ぶ者など様々。
周りの反応を見るに、目の前の男は相当の実力者なのだろうか?
「逃げるなよガキ、俺に反抗した事を後悔させてやる、ぶち殺してやる」
そんな犯行宣言をするもんだからーー
「なぁ、ミリア。街のルールに殺しは含まれているか分かるか? 」
「はい……含まれています……」
「おっけーありがとう」
1歩前に踏み出し、
「〈状態異常付与〉〈ダメージ改変-Lv999999〉」
あらゆる状態異常の全てを付与する。
「ギャハハ!お前ら聞いたか?Lv999999っーー
がはっ……」
血を噴き出すとバタリと倒れ、ぴくりとも動かなくなった。
そして自警団とやらが到着したのはこのすぐ後であったーー
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