5話 茶番か何かなのか?
「てめぇ!もう1回殴られてぇのか!! 」
「きゃっ!? 」
少女の顔に男の拳が振り下ろされるーー
瞬時に詰め寄り、拳を掴む。
「な……!?Cランク冒険者の俺様の拳を受け止めるだと!? 」
Cランク……?冒険者……?聞いたことがあるようで無い。
何処で聞いたんだったか忘れたが、そんなことは関係ない。
多分何かの格付けだろう。
しかし、何故こんなに慌てているのだろう?〈身体強化〉も〈付与魔法〉も使わずに殴ろうとするなんて。止めてくださいと言ってるようなものだ。
あ、目の前の奴は俺と同じなのか。
〈身体強化〉を常時発動出来るようになると〈身体強化〉を使用しなくても、使用している時と同じステータスになる。
それで強くなったと慢心してるのだ。俺もそうだったがお姉ちゃん達にフルボッコにされ、ようやく分かった。
「ちぃぃぃぃぃ!!二人で畳み掛けるぞ!! 」
「あばよクソガキ! 」
一人では割に合わないと感じたのか二人同時に襲いかかってくるがーー
「茶番か何かなのか? 」
攻撃が遅すぎるのだ。
カメを連想させるような遅さに、思わず欠伸が出そうになる。
剣折っちゃっても構わないよね?
「〈マジックボックス〉」
そう唱え、一振の剣を取り出す。
そしてーーー、一閃。
「あひゃひゃ!どこ狙ってんーー」
「届いてすらーー」
言葉を最後まで発することも出来ず、倒れるとピクリともしなくなる。
「す、すごい……!どうやったのですか!?剣は届いて無かったはずなのに」
こちらに駆け寄ってきて、そう質問をしてくる。
「剣圧を男の弱点に当てただけだよ。まさか1発で倒れるとは思わなかったが」
「剣圧……?男の弱点……? 」
あまりよく分かって無さそうだったので前者だけもう一度実践しよう。
……後者はまた機会があればと言うことで。
「剣圧ってのは剣を振った時に風を切ってるでしょ? 」
「剣を触らせて頂いたことがありませんので……」
「じゃあ一緒に握ってみるか? 」
「……!いいんですか? 」
キラキラとした目で見つめてくる。
少女の後ろに立ち、手をかざす。
近くで見て改めて思ったが本当に酷い扱いを受けてきたんだな。
手は痣だらけで、髪はボサボサ。服もヨレヨレだ。風呂にも入らせてもらえないのか首の辺りはホコリすらも被っている。
助けたのはいいもののこの少女は、また酷い扱いを受けるのではないか。そう考えるとーー
「あ、あの……」
固まったのを不安に思ったのか恐る恐ると振り返ってくる。
「なぁ、もし良ければなんだが俺の仲間にならないか? 」
「!?……その気持ちは嬉しいのですが……」
そうだよな。初対面の人に仲間にならないか?なんて言われて頷く人は居ないだろう。
「悪かった。忘れてくーー」
「ーー奴隷にして下さい! 」
え?仲間じゃなくて?奴隷になんかさせない為に言ったのに俺がそれをやっちゃったら本末転倒なんだけど。
「この首輪が外れない限りーー」
少女から出た次の言葉に俺は驚愕するのであった。
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