15話 どんな騒ぎを起こしてくれることやら (学園長視点)
ユノが寝付けないのと同時刻。
魔法学園では試験結果の会議が行われていた。
「ユノ=ミナトの試験結果だが……前代未聞だ」
重々しく口を開いたのは学園長であるリーザス=マルトリア。
「筆記試験の試験監督は私がしておりましたが……彼、十分程で全て解き終え残りの時間は寝て過ごしておりました。最初こそ諦めたのかと落胆してましたがこの通りーー満点でした」
ユノの答案用紙を周囲に回していく男性教師。
「魔法試験は更にとんでもなかったです。オリハルコンで作成された的を初級魔法〈ファイヤーボール〉で木っ端微塵にし、更には後続を気遣って修復し、元通りに! 」
そこまで聞いた学園長が結論を出す。
「筆記試験は満点、魔法試験に至っては100点では物足りないくらいだ」
「しかし学園長。身分に関する情報が一切ありません!貴族を差し置いて平民を首席にしようものなら貴族からの反発は免れません! 」
副学園長であるアタマ=ヨワイが痛いところをつく。
これまで平民が首席になった事例は一切なく、貴族は平民を見下している。
もしユノ=ミナトを首席にすれば貴族からは大ブーイングだろう。
そこでふと資料に目を落とす。
「自然に話してたが家名はあるな。だが耳にしたことの無い家名ではある」
家名は貴族にしか名乗れないがありさ達が知るはずもなく、日本の知識でつけている。
その為ミナトの仮名は学園長はもちろんミナト家の人間以外は誰も聞くはずがない。
「筆記試験が100点、魔法試験が1000点、合計1100点で首席これは決定だ」
「学・園・長!! 」
机をバンッと叩き大声を上げるアタマ。
「では副学園長。君は公正であるべき試験結果を捻じ曲げる……この私の、いや学園に泥を塗るのか? 」
「ぐぬぬっ……」
今度はアタマが唸る番であった。
「次席!次席は貴族なのだろうなァ!! 」
近くにいた職員が慌てて確認をする。
「はい、貴族です。アリシア=ユーマス……リーガンド様の娘様ですね。筆記試験93点、魔法試験85点ーー合計」
「おお!テヒカラ様の息子か!! 」
貴族こそ相応しいと舞い上がる。
次席が貴族で安心したのか、もう用は無いと言い残し部屋を後にした。
「ユノ=ミナト……か。これからどんな騒ぎを起こしてくれるか見物だな」
そう呟くと、これからくるであろう厄介事に頭を悩ませるのであったーーー
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